先月、中央アジアのウズベキスタンの首都・タシュケントにある北朝鮮レストランの女性従業員5人が、脱北して韓国に入国していたことが韓国メディアの報道で明らかになった。

朝鮮日報は、現地の情報筋と情報当局の話を引用し、タシュケント市内の北朝鮮レストラン「ネゴヒャン」(私の故郷)で働いていた女性従業員Aさんがまず今年5月に脱北したと報じた。Aさんは、現地在住の韓国人男性と手紙を交換するなどして、長きにわたって交際し、脱北の意思を示した後、男性の助けを受けて韓国大使館を訪れたと同紙は報じている。

次いで6月に1人、8月に3人と現地の韓国大使館を訪れ、脱北の意思を伝えたとのことだ。その中には、同店の総責任者の女性もいた。

彼女らが脱北に踏み切ったのは、帰国を命じられる日が近づいていると感じ取っていたからかもしれない。

北朝鮮は2020年1月に、新型コロナウイルスの国内流入を防ぐとの理由で、国境を完全に封鎖した。それ以降、外国人の入国はもちろんのこと、自国民の帰国すら許していなかった。

特に5万人いると言われている、中国に派遣された北朝鮮労働者は、中国経済がコロナ禍で沈滞する中でも中国で暮らし、働き続けていたが、ようやく帰国への道が開けそうだ。

中国のデイリーNK情報筋によると、中国駐在の北朝鮮領事館から、労働者の帰国指示が下され、地域、派遣先の企業ごとに帰国する人員の数や順番を決める作業が行われている。具体的な日時は示されていないが、情報筋は今年末か年明けになるものと見ている。

おそらく、これは中国に限った動きではないだろう。タシュケントの「美人ウェイトレス」たちは、当局の動きから帰国の日が近いと感づき、重大な決断を迫られていたものと思われる。

最初に脱北したAさんと韓国人男性との関係について、周囲の人々が知っていたかどうかは定かではない。仮に監視役の保衛指導員(秘密警察)に気付かれたとAさんが感じ取っていたならば、脱北の強い動機になったと思われる。

また、そのような関係を看過した責任者や同僚たちにも、連帯責任が問われる可能性がある。

北朝鮮国内では金正恩総書記の厳命の下、反社会主義・非社会主義に対する摘発の嵐が吹き荒れている。帰国後に、金正恩氏が用意した「残酷な運命」を辿ることを恐れ、彼女らは一か八かの決断を下したのかもしれない。