北朝鮮の尋常でないミサイル乱射に、同国の幹部や貿易関係者らが不満を募らせていると、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が伝えている。

北朝鮮は2日、少なくとも23発のミサイルを発射した。その翌日、中国に駐在する北朝鮮の貿易関係者は、RFAに対して次のように語ったという。

「昨日、1日の間に元山(ウォンサン)など様々な地域から多発的に弾道ミサイルが発射されたニュースをインターネットで見て、言葉を失った。ミサイル一発を発射すれば、数十、数百万ドルが消えるのに、何を考えてあれほど多くのミサイルを1日で発射できるのか。正気とは思えない」

特に、北朝鮮が史上初めて、南北の海上境界線である北方限界線(NLL)を越えて韓国の領海近くにミサイルを落下させた件については「戦争の雰囲気を助長するかのような(北朝鮮)当局の行動に、中国に駐在する貿易関係者らは言葉を失っている」という。

貿易関係者らが恐れるのはもちろん、対北経済制裁のいっそうの強化だ。北朝鮮経済は、長きにわたる制裁と新型コロナウイルス対策の国境封鎖で瀕死の状態にある。国連安全保障理事会では、ウクライナに侵攻中のロシアと欧米の対立で、新たな対北制裁決議が出る見通しは立っていない。

それでも、無用に緊張を煽る行為は「頼みの綱」である中国からも不興を買いかねず、その点も貿易関係者には不安なのだろう。

一方、平安北道(ピョンアンブクト)の国境警備隊の幹部はRFAに対し、一連のミサイル発射直後に「戦闘態勢」が発令されたと明かした。その上で「国境警備隊の幹部たちは、ここまで経済が苦しい中で戦争の雰囲気を高める意図が何なのかわからないとの反応を見せている」と述べている。

言うまでもなく、北朝鮮国内でこうした意見は、あけっぴろげに述べられるものではない。当局に密告されたら、どのような重罰を受けるかわからない。

それでも人間には、何か意見を言わずにはいられないときがある。現在の情勢は北朝鮮の人々にとって、政治的なリスクを冒してでもひとこと言わずにはいられないほど、理不尽きわまりないものだということだ。