金正恩総書記がぶち上げた最新のビッグプロジェクトは、アイスクリーム工場だった。

北朝鮮の国営朝鮮中央通信は先月27日、平壌市郊外に大城山(テソンサン)アイスクリーム工場が竣工したと報じた。以下、記事より一部抜粋する。

演説者は、敬愛する金正恩総書記がわが人民と子どもたちによりよいアイスクリームを食べさせようと工場の建設を直接発起し、敷地も定めてくれたし、設計と建設陣容の編成、施工と園林緑化をはじめ、建設において提起される問題を具体的に指導したと述べた。

また、大城山アイスクリーム工場は人民の志向と要求を実現し、人民の生活を絶えず向上させることを活動の最高の原則に掲げる朝鮮労働党の志を一意専心して支えた党員と勤労者の献身的闘争による誇らしい建造物であると強調した。

だが、朝鮮語の原文すべてが和訳されているわけではない。訳されていない部分にはこのような内容がある。

演説者は、いかに試練が厳しかろうとも、人民の福利増進のための事業は一瞬たりとも遅らせられず、人民のための創造物はいかなる条件でも必ず建てなければならないという党中央の確固たる意思により、工場建設が党中央委員会総会の決定として採択され、国家的な重点対象として推進されたことについて言及した。

さて、国営メディアが大はしゃぎしているアイスクリーム工場だが、その恩恵を受ける市民のリアクションは冷淡なものだと、平壌のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

当局は「蒸し暑い夏に人民と子どもたちが冷たいアイスクリームを食べさせようとする元帥様(金正恩氏)の愛とご配慮の中で建設された」と宣伝しているが、平壌市民はまず「季節外れだ」とツッコミを入れている。

今の季節、平壌の気温は摂氏10度前後。アイスクリームを食べるには少し肌寒い。12月には最高気温が平均1度ほどにしかならず、最低気温はマイナス10度を下回ることも珍しくない。

「夏でもなく、これから厳しい冬を迎える時期にアイスクリーム工場を建てて人民愛を叫んでいるが、一体それのどこが人民のための愛なのか問いたい」(平壌市民)

さらに反発を呼んだのは、なんといっても食糧難の中で何故、アイスクリーム工場建設なのかということだ。

他の地方に比べればマシとは言え、平壌市民も食糧難に直面しており、工場のできた大城(テソン)区域の大城1洞の住民の中には、今年5月から食糧配給を受け取れていない人が多い。地方と異なり、配給に依存して暮らす人の割合の高い平壌では死活問題だ。

平壌市民に対しては10月10日の朝鮮労働党創建日など、国家的祝日に10日分の食糧配給が行われたが、おりからの食糧難で、配給の遅配はもちろん、一度たりとも受け取れていない人もいるのだ。それ故、アイスクリーム工場建設を批判的に見る人の方が多い。

「アイスクリームがコメの代わりになるのか」
「飢えと寒さに震える住民をほったらかしにして、人民愛を叫びつつけるのを聞くだけでムカつく」(情報筋)

アイスクリーム工場より、まずは試練をどうにかしろということだが、地方より食糧事情のいい平壌ですらこれほどの悪評が立つのだから、餓死者が出るほど食糧難が深刻な地方での反応は推して知るべしだ。