中国は2016年3月、国連安全保障理事会で採択された対北朝鮮制裁決議に基づき、北朝鮮産の石炭の輸入を禁止した。そして2017年8月には、北朝鮮産石炭の輸出を全面的に禁じる制裁決議が国連安保理で採択された。

それにもかかわらず、その後も密輸出が続けられていたが、北朝鮮がコロナ禍で国境を封鎖したため、ごく一部の例外を除き貿易が完全にストップしてしまった。

今年9月25日、北朝鮮と中国を結ぶ国際貨物列車の運行がようやく再開されたが、外貨不足に悩まされている北朝鮮は、制裁を無視して石炭の輸出を行っている。しかし、国際価格の低下で、儲けは大幅に少なくなっている。

中国のデイリーNK情報筋によると、北朝鮮は今年8月まで、中国の業者に石炭を輸出し、1トンあたり100ドル(約1万4000円)を受け取っていた。それが今では、平均してその半分にまで下落してしまった。国際的な石炭価格の下落に加え、北朝鮮からの輸出量が増えたことで暴落しているのだ。中には1トン40ドル(約5700円)で輸出している会社もあるという。

その一方で、北朝鮮国内の石炭供給は減りつつあり、価格が上昇傾向にある。

平安北道(ピョンアンブクト)のデイリーNK内部情報筋によると、新義州(シニジュ)の市場では、石炭1トンが40ドルから50ドル(約7000円)で販売されている。これは、かつての4〜5倍にもなる数字だ。

一般的に国内向けの石炭は、輸出用より質が悪く価格も安いが、冬を迎えて需要が増えているのに、輸出が増えて国内向けの供給が減ったことで、輸出用と価格が同レベルになるほど上昇しているのだ。

ちなみに炭鉱では、1トン35ドル(約4900円)で卸し、そこに輸送距離が加味されて小売価格が決まる。

各貿易会社は年末の総和(総括)を控え、年初に国から課された外貨獲得の課題(ノルマ)を達成しなければならないため、国内向けの石炭をかき集めて、大慌てで中国に輸出している。

当局は、北朝鮮国内で流通する外貨を様々な手を尽くして国庫に収め、貿易に使おうとしているが、どれもうまくいかないようで、手っ取り早い「制裁破り」に手を染めたということだ。