北朝鮮の、中国との国境に接する地域では、9月末から新型コロナウイルスのワクチンの接種が始まった。だが、量が充分とは言えず、われ先に接種を受けようと、ワイロが飛び交う事態となっている。

そんな中で、ワクチンとは別に「コロナ予防薬」と称する薬の投与が始まった。人々は不安を感じつつ、投与に応じていると米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

両江道(リャンガンド)の情報筋は、道の防疫指揮部が今月3日から恵山(ヘサン)市民を対象として、コロナ予防薬と称した薬の投与を行っていると伝えた。

市内の病院では、公民証(IDカード)を持った18歳から60歳までの人に投与を行っている。点滴の瓶に入った液体を、両方の鼻に1滴ずつ入れるというものだ。居住する洞(町)別に並ばされ、持参した公民証と、ワクチン接種記録を照らし合わせて、投与し、それを記録する。

病院の医師の話では、60歳以上の老人は、体力や免疫力が弱く、副作用を起こすリスクがあるとして、投与対象から排除されたとのことだ。

一方、咸鏡北道(ハムギョンブクト)の情報筋も、現地でコロナ予防薬の投与が行われていると伝えた。一般庶民は、上部から「投与を受けろ」との指示が下されるだけで、薬がどこで生産されたものか、どのような効果があるのか、深刻な副作用はないのかなど、薬の詳細に関する情報は全く明らかにされていない。

対象となった人々は、不安を覚えつつも言われたとおりに投与に応じるしかない一方で、投与から排除された、年老いた親のいる人々は、不満を口にしているという。

この薬の正体は不明だが、ワクチンと同様の中国製の可能性が高い。ちなみに中国当局は昨年、注射薬形態の新型コロナウイルスの中和抗体治療薬を緊急承認している。