北朝鮮は5月31日、予告していた軍事偵察衛星の打ち上げを断行したが、失敗。その事実を速やかに認め、再挑戦する意向を明らかにした。

北朝鮮のミサイル(ロケット)発射はこのところ、かなりの確率で成功を重ねてきたが、かつては事故続きで死者も出ていた。

昨年3月16日には、首都・平壌郊外の順安(スナン)国際空港付近から、大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星17」を発射したが、直後に空中で爆発して失敗。韓国の情報当局によると、平壌周辺にはミサイルの破片が降り注いだという。

またその際、破片は北朝鮮の工作員養成機関「金正日政治軍事大学」にも落下し、2名が死亡したとの情報も出ている。

2017年11月にICBM「火星15」を発射した際には、軍の兵士と思しき人物が、エンジンから噴出された火炎に焼かれて死亡したとの情報が出ている。しかも北朝鮮が公開した映像に、その場面が映っていたという。

米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が北朝鮮国内の複数の情報筋の話として伝えたところでは、北朝鮮の軍内部ではもちろん、テレビでこれを見た人々の間で衝撃が広がったという。

さらに、2016年10月20日にも、ムスダンと見られる中距離弾道ミサイルの発射実験が失敗に終わっており、このときには直後に起きた火災によって移動発射台が燃えたことがわかっている。人命被害は確認されていないが、兵士らが犠牲になっていたとしても不思議ではない。

朝鮮中央通信によると、今回、衛星を搭載したキャリア・ロケット「チョンリマ―1」型は、「正常飛行中、1段の分離後、2段エンジンの始動不正常によって推進力を失い、朝鮮西海(黄海)に墜落した」という。

だから死傷者は出ていないと思われるが、今後の打ち上げで何が起きるかわからない。日本をはじめ、周辺国も気が抜けない所以だ。