高畠華宵没後55年特別展「この道はいつか来た道−山中現と渡邊加奈子のメルヘン版画」が、高畠華宵大正ロマン館(愛媛県東温市)で開催されている。

 メルヘンとは昔の人々の体験、記憶が想像の力でよみがえり語り継がれてきたもの。美しさと醜さを内包し、遠い世界を受け継ぐことで、人々は想像力という生命の糧を得てきた。

 現代版画家の山中現、渡邊加奈子の作品世界には、ここではないどこかにありそうな、ぼんやりとした不思議な記憶の風景、懐かしいような、寂しいような、少し悲しいような、そんな風景が広がる。

 柔らかくシンプルな形が紡ぎ出す山中現の作品は、私たちの心象風景とゆっくり静かにつながる。

 一方、モノクロのヴェールに包まれた渡邊加奈子の作品には、日本の重苦しい因習のなかでひっそりと息づいている、大人には見えない童女の戯れのようなシーンがしばしば描かれる。それが私たちの遙かな記憶を呼び覚ます。

 この道はいつか来た道…。2人の作品世界には高畠華宵が生きた大正時代の道を経て、人々の心の奥に眠るメルヘンの世界へと私たちを誘う。日常の喧噪(けんそう)から離れて、想像力の翼を羽ばたかせる。

 会期は今月28日まで。11〜17時。毎週土日、開館。入館料は一般600円、中高大学生・65歳以上・障害者手帳を持参の方500円。問い合わせは同館TEL089・964・7077まで。