名門・明徳義塾のエース争いが一気に熱を帯びてきた。今春の四国大会でエースナンバーを背負い、準優勝の原動力となった横手右腕の矢野勢也投手(3年)と、昨夏の甲子園でも登板した変則横手左腕の吉村優聖歩投手(3年)の2人。背番号「1」を争うライバルが互いを高め合い、3大会連続の甲子園出場をつかみ取る。



 高校入学から初めて背負った背番号「1」は、矢野にとって少しだけ重かった。「もらったからには、自分が投げて勝たないといけないというプレッシャーはあった」と、偽らざる思いを口にする。しかし試合となれば「不安はなかった」と、堂々たるマウンドさばきを見せた。

 春の県大会では1番を背負ったのは吉村だったが、センバツに出場した高知とのチャレンジマッチ(順位決定戦)を前に、馬淵史郎監督(66)とある“約束”をした。「一人で投げきったら四国大会では1番をやる」。訪れたチャンスに「気合が入った」矢野は、9回を4安打1失点に抑える好投を見せ、自らの手で憧れのエースナンバーをつかみ取ってみせた。

 吉村へのライバル意識を「めっちゃあります」と話す矢野。昨夏、甲子園のマウンドで投げる吉村をベンチから見つめ、悔しさとともに「自分も負けていられない」と決意を固めた。馬淵監督の助言もあり、センバツ後に「球が遅くてもコントロール重視でいいコースを突ければ抑えられる」と、投球スタイルをチェンジ。サイドスロー独特の変化球を武器に信頼を勝ち取りつつある。

 昨秋の公式戦、四国大会を含めて6試合を一人で投げ抜いた吉村。春も県大会決勝で先発し、8回無失点と安定感を見せているが、馬淵監督は「甲子園の時のような、相手に向かっていく気持ちがない。体が重そうで、キレが足りない」と物足りなさを口にする。「2人がきちっとしてくれないと夏はないね」と、大会までの残り2カ月弱、追い込み期間での奮起を期待した。

 矢野と吉村、どちらが夏の背番号「1」を手にしてもおかしくない。「最後の夏は自分がマウンドに立って投げたい」と思いを込めて語った矢野。ライバルとの切磋琢磨(せっさたくま)が甲子園に続くと信じて、己を磨き続ける。



 矢野勢也(やの・せいや) 2004年5月13日生まれ、福岡県出身、17歳。180センチ、72キロ、右投げ右打ち、投手。小3時に甘木ゴールデンフェニックスで野球を始め、球道ベースボールクラブから明徳義塾へ。好きな言葉は「ありがとう」。



 吉村優聖歩(よしむら・ゆうせふ) 2004年12月8日生まれ、熊本県出身、17歳。181センチ、72キロ、左投げ左打ち、投手。小4時に熊本NJサンダースで野球を始め、熊本中央ボーイズから明徳義塾へ。好きな言葉は「なんくるないさー」。