【J3今治】ゲキ熱だった高知サッカー界の2023夏
北海道開催のインターハイ男子では高知高が年始選手権Ⅴの岡山学芸館高を壮絶PK戦で下し準々決勝進出を果たすと、JFL所属の高知ユナイテッドSC(以下、高知)は天皇杯でG大阪、横浜FCのJ1勢に連続ジャイアントキリングを果たし16強進出。
8月2日の4回戦は川崎に惜しくも0対1で敗れたものの、県内サッカー競技開催史上最多7243人を飲み込んだ春野陸上競技場のスタンドは「仕留めて焦らせたかった」(吉本岳史監督)という狙い通りの鋭いカウンターでゴールに迫る高知の全力プレーに何度も沸いた。
「お前ここは今治のコラムやないんか?」
「トランキーロ!あっせんなよ」とG1覇者・新日本プロレス内藤哲也選手も言うように。ここからが本題。
そんな高知の奮闘をピッチ際で撮影して感じたのは「確固たる形を出せば人の心は動く」ということ。「止める・蹴るの技術はトップレベル」(キャプテンのDF横竹翼)の格上・川崎であっても怯むことなく走り切った高知イレブンに対し降り注いだのは敵味方問わない万雷の拍手。JFLでは現在J3昇格へ厳しい位置にいる高知だが、この日拍手を贈った観客は時が来た際には再び力となってくれるはずだ。
そして今治に目を転じると、先月からここまでを振り返っても工藤直人新監督就任、FW阪野豊史にヴィニシウス・アラウージョ獲得と今季J2昇格の想いがひとかたではないことは十分伝わった。
さらに彼らには幸いにもどんな相手、スタイルでも形を出せる虎の巻「岡田メソッド」がある。あとはピッチ上で出し切る術を考え、実行するのみだ。
前節ホーム北九州戦で悪性リンパ腫からの復活決勝ゴールを遂げたFWラルフ・セウントイェンスが「自分はあきらめないし戦い続けます。全力を出し続けていきます」と語った決意。これはチーム・クラブへのメッセージでもある。(スポーツライター・寺下友徳)