今から30年ほど前、東大卒業生の就職先は日本電信電話(NTT)がトップだった。次いで大手銀行、中央官庁が上位を占めていたものである。だが、先ごろ東京大学新聞社が発表した「21卒 東大生就職状況(学部卒業者)」によると、NTTはランク外。1位は楽天、そしてトップ10のうち4社が経営コンサルティング会社(以下コンサル)だ。さらに13位には東京海上日動火災と並んで「クニエ」という会社が登場している。聞き馴染みのない社名だが、ここもコンサルである。しかも、NTTの孫会社だという。

 中堅コンサル会社の関係者が言う。

「コンサルといえば大前研一氏がいたマッキンゼーや堀紘一氏が率いたボストンコンサルティンググループが知られていますが、最近は日系コンサルの台頭が目立ちます。クニエも日系の中堅どころです」

新卒の43%が東大生

 同社はNTTデータの子会社として、2009年に外資系コンサルを吸収する形で設立された。主にメーカーを顧客にしており、社員は約900人だ。

 平均年収は公表していないが、転職の口コミサイトによると約910万円で親会社のNTTデータより高い。コンサル職になると上は1610万円とある。

「クニエがこれまで学生の人気企業として注目されてこなかったのは、8割近くが中途採用だからです。それが、ここ数年、積極的に新卒を採るようになった。直近3年では43%が東大の卒業生です」(前出の関係者)

 それにしても、なぜコンサルにこれほど東大生が集まるのだろうか。

 そこでクニエに聞くと、

「意図的に東京大学から採用をしているということはございません。新卒採用の選考過程においては、筆記試験も厳しいものを設け、インターンシップや複数回の面接を重ね、能力を確認しております」(広報担当者)

 千葉商科大学准教授で、就活事情に詳しい常見陽平氏が言う。

「コンサルの入社面接は“ゴルフ場に芝は何本生えているか”などといった無理難題のような質問をぶつけ、受験者の論理の組み立て方をテストしたりする。『フェルミ推定』というのですが、論理的思考が得意な学生にとっては、むしろ楽しい入社試験なのです」

 ちなみに学部卒業者のランキングの20位内に製造業は一社もない。

「週刊新潮」2021年10月7日号 掲載