帰化中国人

 謎の「中国系仕手集団」が株式市場を席巻している。目下、ターゲットにされているのは東証スタンダード上場の「三ッ星」。売上高91億円超を誇る老舗の電線メーカーだ。

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 三ッ星の株式を昨夏から秘かに買い集め始めたと見られる「買い本尊」が、その正体を現したのは今年2月のこと。「アダージキャピタル有限責任事業組合」なるファンドが株式4.31%を持つ株主として名乗りを上げ、三ッ星に臨時株主総会の招集請求通知を送り付けた。

 M&Aアナリストの解説によれば、

「アダージら中国系仕手集団は“ウルフパック戦術”を展開します。その名の通り、狼が集団で襲い掛かるように相手企業に攻め込むというもの」

 相手企業に警戒心を抱かせないように各々が無関係を装い、株式を分散取得。続けて、傘下株主の申し立てで臨時株主総会の開催に漕ぎつけると、共闘で乗っ取り劇を演じるのだ。

「その中心人物と目されるのは、2003年10月に日本国籍を取得した本多敏行という帰化中国人です。現在51歳の本多さんは1998年5月から東京・日本橋で“和円商事”という廃プラスティック回収の会社を経営しています」

共同歩調

 最初に、中国系仕手集団によるウルフパック戦術が注目されたのは、「北日本紡績」の株買い占めだった。

「突然、11.7%の株式を取得し、筆頭株主に躍り出たのは、“サクセス・インベストメント”という和円商事の監査役が代表を務める会社でした。さらに、和円商事と繋がりのある個人株主3人が、経営陣の刷新を図ろうと臨時株主総会の招集を要求したのです」

 その結果、2020年5月に開催された臨時株主総会では、社長をはじめとする経営陣が一掃され、和円商事の副社長が北日本紡績の社長として送り込まれた。

 次に狙われたのが、プラスティック加工機メーカーの「プラコー」。和円商事や本多氏個人が株主として名を連ねたうえで、共同歩調を取る「フクジュコーポレーション」なる投資会社が11.11%の株式を取得。結局、20年11月の臨時株主総会の開催前に、プラコーの社長らは辞任した。

 そしていま、三ッ星も飲み込まれようとしている。法的にグレーなウルフパック戦術を用いて、企業買収を手掛ける中国系仕手集団。次々と、株式市場は赤く染められてしまうのか。

「週刊新潮」2022年8月11・18日号「MONEY」欄の有料版では、中国系仕手集団の手口と三ッ星が攻め込まれた経緯、本多氏の主張を詳報する。

「週刊新潮」2022年8月11・18日号 掲載