昨年9月30日、宙(そら)組の娘役だったAさん(享年25)が自死した事件に関して、いまだにパワハラやいじめの存在を認めていない宝塚歌劇団。しかし、遺族側が厳しく追及を続けたかいあって、ようやく風向きが変わってきた。果たして劇団はこの先、どのような謝罪を行うのだろうか。

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 今月1日、Aさんの遺族代理人が事件についての経過報告書を公表した。その内容によれば、劇団は、〈明確に従来の見解を変更し〉と、遺族への配慮を示し始めたとのこと。

「これまで遺族側は劇団に対して、上級生がパワハラやいじめを主導していた事実を認め、謝罪するよう求めてきました。一方の劇団は遺族側の訴えを認めてこなかったのですが、ここにきてやっと水面下で、謝罪に向けた調整が行われるようになったとみられています」(社会部記者)

ヒエラルキーの頂点

 であればポイントは、劇団の親会社にあたる阪急阪神ホールディングスの総帥たる角(すみ)和夫会長(74)だけでなく、名前の挙がっている上級生らも謝罪するかどうかだ。

「上級生の一人は宙組のヒエラルキーの頂点に立ち、普段からAさんをはじめとする下級生に暴言を投げつけていたとされます」(同)

 振り返れば、最初に風向きが変わり出したのは昨年12月18日だった。それまで劇団が〈パワーハラスメントやいじめは確認できなかった〉と、責任逃れの根拠としてきた一方的な調査報告書をホームページ上から削除したのだ。

「口だけ立派」

 以降も遺族側は交渉を重ね、今年に入ってからも劇団の動きが相次いだ。さる劇団関係者によれば、

「1月17日、宙組の生徒を対象に大劇場の教室で“リスペクト・トレーニング”が開催されたのです。これはハラスメント対策として企業研修でよく行われるセミナーだとか。相手を思いやるための言葉遣いについて期ごとに話し合い、最終的には三つに分けられたそれぞれの班の中での意見をシェアしたようです」

 これが開催されたということは、劇団はすでに内部ではパワハラやいじめを認めたのだろうか。いずれにせよ、下級生らには不評だったそうで、

「というのも、いじめを主導していたとされる上級生たちが過去の自分たちの悪行について謝罪もせず、口だけ立派なことを言っていたからです。そんな二人を他の生徒らは“リスペクト・トレーニングの前にやるべきことがあるはず”と冷めた目で眺めていたとか」(同)

「自主退団が待たれている状況」

 また、1月の下旬には西宮労働基準監督署が宙組の生徒らに個別の聞き取り調査を行ったという。

「労基の職員は入念な事前調査を踏まえた上で“契約書の説明をされたことがあるか”などと具体的な質問をいくつもしたようです。生徒が正直に答えると、あまりの内情のひどさにあきれた顔をされたと聞きました。劇団は事件後、一応は過重労働について改めていく方針を表明しましたが、実際にどこまでできるのかは疑問視されています」(同)

 直近まで劇団は活動休止が続く宙組を再建すべく、2月ごろに「ワークショップ」なる身内のコンサートを予定していた。“歌で心をつなぐ”というテーマだったが、これに関しても1月24日に突然中止が決定。相変わらず対応が後手に回っているのではないか。

「今、これまで以上にいじめを主導していたとされる上級生二名は宙組で孤立しており、自主退団が待たれている状況です」(同)

 世間体を気にして生半可な謝罪を行うだけでは、長年にわたって組織に染み付いた劣悪な労働環境とパワハラ体質は変わることがないだろう。

「週刊新潮」2024年2月15日号 掲載