表情は少し硬かった。5月17日、台湾の空港に到着した安室奈美恵。19、20日に台北アリーナで開かれるライブを前にしての来訪だ。

 集まったファンや報道陣はじつに500人。まさに熱烈歓迎の図なのだが、

「台北アリーナでの公演は5度目となる彼女、かつて空港に殺到したファンと身辺警護役がケンカ同然のもみ合いを演じ、ショックで泣きだした過去があるんです。以来、ゲートをくぐった直後はいつも緊張した面持ちを見せる」

 とは現地記者。されど、肝心の商売のほうは、うってかわって“笑いが止まらない”ほどの大成功を収めた。

 なにしろ2日間分で2万枚用意されたチケットには10万人もの応募があり、わずか3分で完売。ちょっとした席なら日本円で2万円はくだらないお値段なのに、である。

「このためネット上の取引サイトでは価格が高騰し、一番いい席で20万台湾ドル(約75万円)の値をつけたほど。会場外にはチケットを求める地元ファンが何十人も現れ、一方でダフ屋も多数出没し、当局に摘発されています」(同)

 熱気がわかろうというものだ。グッズショップも長蛇の列。気温30度をゆうに超え、おまけに湿度も高い炎暑の下、たとえば1枚約6000円也のTシャツを買うのに2時間待ちという凄まじさだった。

 お客さんは神さまだ。

 安室はここ台湾に続く6月の東京ドームライブでファイナルツアー23公演を終えるが、引退興行でざっと200億円もの売り上げをたたき出すと見られる。ちなみに、

「台北には前夫SAMとの間に生まれた長男も同行。5月19日がちょうど彼の20歳の誕生日ということで、ライブ初日を翌日に控えた18日夜、市内の小籠包屋でお祝いの会を催していました」(同)

 思えば彼女、齢四十を数えるママさんでもある。

 それでも依然、歌って踊ってしこたま稼ぎ、ゆめゆめご子息の面倒見だって忘れない。

 不惑にして惑うことなき、フルコースを成し遂げる旅。

 お母さんは女神さまだ。

「週刊新潮」2018年5月31日号 掲載