生放送で「彼」の顔を目にしたのは、一体、いつ以来だろうか。稲垣吾郎、草なぎ剛と共にジャニーズを飛び出して、「新しい地図」のメンバーとなった香取慎吾。日テレの「スッキリ」で久々の地上波出演を果たしたわけだが、この復帰劇のウラで、ある「仕掛人」の存在が取り沙汰されていた。

 8月28日放映の「スッキリ」を観て、「ビックリ」した向きも少なくなかろう。

 この日の香取はSMAP時代のように歌やダンスを披露するのではなく、あくまで国際パラリンピック委員会の特別親善大使という立場で、20分以上に亘ってパラリンピックの魅力をアピールしたのだった。

 日テレ関係者によれば、

「『スッキリ』の撮影スタジオには、香取さんが出演する『全日本仮装大賞』のスタッフをはじめ、数多くの関係者が集まるなど、終始、温かい雰囲気でした」

「スッキリ」の視聴率は通常6〜7%だが、この日は「香取効果」で9・2%まで急上昇。平均視聴率(昨年度)9・3%で同時間帯のトップを走る「羽鳥慎一モーニングショー」(テレ朝)にも肉薄した。

 ちなみに香取は本誌(「週刊新潮」)の取材に対して、

「パラリンピックの為にたくさんの時間を作っていただき、嬉しかったです。感謝しております」

 とコメント。

 無論、SMAPの元マネージャーで、香取が所属する「CULEN」の代表・飯島三智氏も日テレに「感謝」したことだろう。

 だが、新しい地図のメンバーを巡っては、「彼らを出演させないようテレビ局に圧力をかけた疑いがあるとして、今年7月、公正取引委員会が古巣のジャニーズ事務所を注意した」(全国紙記者)経緯がある。

 実際に「圧力」があったかはともかく、ジャニーズを独立した3人が地上波への出演から遠ざかっていたのは事実だ。

 今回の一件で日テレはジャニーズの逆鱗に触れたのではないか――。ところが、

「香取の『スッキリ』出演はジャニーズとしても願ったり叶ったりでした」

 とは芸能記者である。

格好の火消し

 公取委は8月27日、芸能界において独占禁止法上の問題となり得るケースを改めて提示した。そこでは、タレントが独立した場合に“出演先や移籍先に圧力をかけて芸能活動を妨害する”という、新しい地図を念頭に置いたようなケースも挙げられている。

「SMAP騒動が蒸し返されそうな状況でしたが、この件が報じられた翌28日に香取が『スッキリ』に出演。格好の火消しとなった。その一方で日テレは、24日〜25日にかけて放映された『24時間テレビ』で、嵐をメインパーソナリティーに据えてジャニーズに花を持たせている」(同)

 つまり、日テレは、「スッキリ」で視聴率を稼ぎつつ、新しい地図に助け船を出し、さらにジャニーズにも恩を売ったことになる。

 この「三方一両得」の戦略を仕掛けたのが、

「6月に就任した日テレの小杉善信社長だと囁かれているんです」(同)

 日テレ関係者が続ける。

「小杉社長は『マジカル頭脳パワー!!』などのバラエティ番組に加え、『家なき子』や『金田一少年の事件簿』といった大ヒットドラマを手掛けた、日テレを代表する“視聴率男”です。その後、編成局長などを経て社長に登りつめた。実は、7月末の定例会見でジャニーズによる圧力について尋ねられた小杉社長は、“一切聞いていません”と全否定しているんです」

 今回の香取の起用は、新社長の発言を裏付けた格好。

 しかも、「スッキリ」のMCである加藤浩次は、かつてフジの連ドラで香取と共演した仲だ。聞けば聞くほど周到さが際立つ。

 そこで小杉社長を直撃すると、

「番組のことには口出ししていません。(香取の出演は)後で聞きました」

 とはいえ、

「『スッキリ』のキャスティングを決めるプロデューサーは、小杉社長と同じ富山の県立高校出身で親しい間柄です。事前に知らなかったはずはないと思います」(前出・日テレ関係者)

 損せず「得」を取るあたり、さすがの手腕である。

「週刊新潮」2019年9月12日号 掲載