「万馬券クラス」との声も

 日刊スポーツは11月21日、沢尻容疑者大河の代役は川口春奈『気高さと強さを』」と報道、YAHOO!ニュースのトピックスに掲載された。記事の冒頭を引用させていただく。

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《MDMAを所持したとして、麻薬取締法違反容疑(所持)で警視庁に逮捕された女優沢尻エリカ容疑者(33)が出演予定だった来年のNHK大河ドラマ「麒麟がくる」(1月5日スタート、日曜午後8時)について、NHKは21日、代役を女優川口春奈(24)が務めると発表した。

 NHKは「確かな演技力があり、戦国武将の娘としての気高さと強さを表現していただけると考えた」と起用理由を説明した。また、沢尻は正式に降板し、川口は初回から登場する。川口は時代劇初挑戦という》(註:引用はデイリー新潮の表記法に合わせた、以下同)

 YAHOO!ニュースに表示された掲載時間は午後5時5分。NHKのニュースサイト「NHK NEWS WEB」が「大河ドラマ『麒麟がくる』代役に川口春奈さん」の記事を配信したのは午後5時15分だった。テレビ担当記者が解説する。

「日刊スポーツの記事には『NHKが発表した』との記述がありますから、いわゆるスクープではありません。それでも一分一秒を争って速報したのでしょう。記事の反響は非常に大きなものがありました。ツイッターを見てみると、『大変だろうけど、大女優へのビッグチャンス』、『普通じゃない状況での初大河、どうか彼女のキャリアに大きくプラスになってほしい』と称賛や応援の声が相次ぎ、『大河ドラマ×川口春奈』もホットワードとして発表されました」

 ご記憶の方も多いと思うが、これまでに何人もの女優が「代役候補」として芸能メディアに名前を報じられてきた。主なものを振り返っておこう。

 最初はニュースサイトの「週刊女性PRIME」だ。11月19日に「沢尻エリカの“尻ぬぐい”は誰がする!? 大河『麒麟がくる』、代役にあがった女優の名前」を配信した。

 この記事は冒頭から候補者として、綾瀬はるか(34)や小雪(42)という合計15人の有名女優を列挙したものの、「可能性は低い」と結論づけてしまう。

 最後に「スポーツ紙記者」が登場。「名前があがっているのが菊地凛子(38)や満島ひかり(33)、栗山千明(35)、比嘉愛未(33)だそうです」と明かした。

 スポニチアネックス(電子版)は翌20日、「大河『麒麟がくる』“代役”絞られた!候補女優は数人、時代劇経験重視 今週中に決定へ」を報じた。こちらは該当部分を引用させていただく。

《候補に挙がるのは、10年の大河ドラマ「龍馬伝」に出演した蒼井優(34)や広末涼子(39)ら。関係者は「話題性なら山里亮太さんと結婚した蒼井さん、格を重視するなら広末さん。大河4作に出演経験がある貫地谷(しほり)さんも取り沙汰されている」と語る》

中日スポーツは「剛力彩芽」説

 同じ20日の夜には中日スポーツと東京中日スポーツの公式サイトが「大河ドラマ出演者に薬物検査検討とNHK側。沢尻容疑者代役に蒼井優や柴咲コウ、剛力彩芽ら浮上か」との記事を掲載した。こちらは文中で蒼井優、柴咲コウ(38)、剛力彩芽(27)、のん(26)の名前を列挙した。

 最後にご紹介するのは、サンスポの電子版。21日にアップされた「沢尻エリカ容疑者の代役絞られた…帰蝶役に貫地谷しほり、水川あさみ、満島ひかりら5人前後に」の記事だ。

 ご覧の通り、見出しには「5人前後」とある。ところが実際に読み進めると、上に書かれている貫地谷しほり(33)、水川あさみ(36)、満島ひかり(33)の3人しか名前が出ていない。

 この他にもネットメディアなどが多くの記事を掲載していたが、こうした芸能メディアによる“新聞辞令”は全て外れたわけだ。民放キー局でドラマの制作に携わるスタッフは「私の予想も外れました」と苦笑する。

「剛力さんと菜々緒さん(31)という大穴2人を予想していました。ところが、更に大穴、競馬で言えば万馬券クラスの川口さんだとは思ってもみませんでしたね。もっとも、スポーツ紙の報道に違和感を覚えていたのは事実です。例えば多くの社が『スケジュールを確保するのが大変』と書いていましたが、実際は、役者のスケジュールというものは意外に余裕があります。代役を依頼するのが大変な理由は、全く別にあります」

 このスタッフ氏によると、梅沢富美男(69)が「ミヤネ屋」(読売テレビ制作/日本テレビ系列・月〜金・13:55)で指摘したことが「当を得ている」という。それは「代役を受ける役者などいません」という発言だ。

「スケジュールは空いていても、代役はプライドが許さないというのが役者です。事務所にとっても、メリットよりデメリットの方が大きい。スケジュール調整などで、関係各位に頭を下げて回ります。そんな苦労を背負い込んでも、世間からは“よっぽど仕事がなかったんだな”と誤解されることも少なくありません。場合によってはイメージダウンにつながりかねず、仕事が減る可能性もあります」

 スタッフ氏が剛力と菜々緒を予想したのも、プロの経験に基づいた根拠があった。前澤友作氏と破局したばかりの剛力のスケジュールが空いているのは言うまでもない。現時点でのイメージも決して良くはない。代役を引き受けることはプラスでしかないというのだ。

 菜々緒の場合は「親会社の不祥事を、子会社がカバーする」という意味から予想したという。

「沢尻容疑者は2010年、スペインで個人事務所を設立。11年にエイベックス・マネジメントと業務委託契約を結んでいます。エイベックスのCEOである松浦勝人氏(55)との親交も有名です。つまり沢尻容疑者の逮捕は、エイベックスグループの不祥事と言えます。そしてエイベックスは業界で強引なマネジメントが目立ち、対立している事務所が少なくありません。苦境を助けようとする人は少ないはずなんです」(同)

 菜々緒の所属事務所はプラチナムプロダクション。同社はエイベックスグループに属している。つまり親会社のピンチを助ける“必然性”があるという。

川口は“最低視聴率”の記録保持者

 しかし最終的には、川口に白羽の矢が立った。彼女のプロフィールを確認しておこう。1995年生まれ、長崎県の出身。そして所属事務所は研音だ。スタッフ氏が解説する。

「沢尻容疑者と親交があったため、片瀬那奈さん(38)にもマスコミや世間の注目が集まっています。そして片瀬さんの所属事務所も研音です。かつて中山秀征さん(52)と沢尻容疑者の間に確執があったが、『シューイチ』(日本テレビ系列・日曜・7:30)で中山さんと共演している片瀬さんが仲をとりもったと言われるほど、沢尻と片瀬さんは親密な関係でした。研音はNHKに協力することで、火の粉が降りかかってこないように予防線を張ったのかもしれません」

 さらに抜擢された川口については、その実力を高く評価しながらも、不安も拭えないと指摘する。

「川口さんは確かに綺麗です。濃姫役は、はまるかもしれません。映画の主演作も公開されていますから、24歳という年齢にしては場数も踏んでいます。真面目な優等生タイプで、不祥事などとは無縁です。NHKからするとありがたく、その点は高く評価したでしょう。しかしながら、私たち民放のドラマ関係者の間では、『連ドラ史上最低視聴率記録』を持つ女優さんとして有名です」

 2013年10月、TBS系列は川口春奈主演で連続ドラマ「夫のカノジョ」を木曜の午後9時からスタートさせた。ところが裏番組の1つがテレビ朝日系列の「ドクターX」だったこともあり、視聴率は第1回から低迷した。

 そして第5話は平均視聴率3・0%を記録。これが「テレビ東京を除く、プライムタイムに放送された連続テレビドラマにおける最低視聴率」を更新してしまったのだ。

 このためスタッフ氏は「NHKは本当に川口さんで大丈夫なのか、民放の私たちが不安に感じてしまいます」と漏らす。

「今年1月から日本テレビ系列で放送された『イノセンス 冤罪弁護士』でも川口さんはヒロインを務めましたが、平均視聴率9・1%と苦戦しました。川口さんの容姿は誰もが美人だと認めるでしょうが、それだけではダメです。正直言って、彼女が視聴者を夢中にさせるような演技や存在感を発揮できるとは思えません。沢尻さんや剛力さんは昔からアンチが多く、ネット上で叩かれながらも、視聴者の関心を集めてきたのとは対照的です」

 プロの厳しい指摘、と思う方も多いだろう。ところがツイッターを丁寧に見てみると、決してそうとも言い切れない。

 例えば「初大河が代役の曰く付きってちょっとかわいそう」や「なんか、幸せな出演のしかたじゃないなぁ」というツイートは、先に見た「代役で変なイメージが付く」ことを視聴者が不安視しているということだろう。

 視聴率を不安視するツイートも散見される。

「確かに美系で『濃姫の気品』を感じさせるものがある。ただ運にめぐまれないのか、今まで『これは』といったドラマに起用されていない」

「うーむ。ちょっとパンチが足りないのでは? 川口春奈が出るドラマは軒並み視聴率が低いから、大河もどうなることやら…」

「視聴率取れない女優じゃなかったっけ? 大丈夫かな?」

 さらにNHKにとって不安なのは、多くのツイートは川口に「頑張って」と心からの声援を送りながらも、最後に「でも大河は見ないからね」と付け加えているところだ。

 興味深いことに、川口はコメディエンヌの才があるのか、笑いを取りに行くと好意的な反応が多い。18年の大晦日に放送された「絶対に笑ってはいけないトレジャーハンター24時!」にスケバン役を熱演。松本人志(56)を「うるせぇプロテイン」と罵倒するなどした怪演は視聴者の爆笑を呼び、今でも鮮明な記憶を持つ者が少なくない。

 さらに今回の代役が発表されると、川口が13年の映画「謝罪の王様」[東宝・監督:水田伸生(61)]に出演したシーンが話題となった。何と映画の舞台あいさつに金髪のカツラで登場し、悪態をつきながら「別に……」とつぶやく女優を演じているのだ。

 川口にとって幸いなことに、演じる濃姫は謎の多い女性だ。何しろ没年さえ明らかになっていないほどである。人名として流布している「濃姫」も、実は「美濃国の高貴な女性」という意味でしかなく、本名は「帰蝶」や「胡蝶」など諸説がある。

「笑ってはいけない」や「謝罪の王様」などの活躍を見れば、川口が視聴者に愛される要素を持っていることは間違いない。思い切って川口しか演じられない濃姫/帰蝶役を誕生させれば、良いのではないか。

週刊新潮WEB取材班

2019年11月22日 掲載