広末涼子、竹内結子、矢田亜希子。清楚系女優と言われていた面々の共通点とは何か。それはできちゃった婚をして離婚歴があり、しかもその前夫たちがみな警察沙汰を起こしていることである。ほかにも元夫と薬物所持で逮捕された酒井法子、半グレ集団との交際を噂された前夫を持ち、不倫疑惑がぬぐえないまま結婚した宮崎あおい。清楚系で名をはせた女優ほど、男関係は奔放だなあ、と思っていたのは私だけだろうか。

 そして今回の唐田えりかである。清楚なかわいさが売りの駆け出し女優が、人気女優・杏の夫である東出昌大との不倫を認めて大炎上だ。東出との関係を「匂わせる」行為もあったとされ、「可愛い顔してやることは陰湿」と非難ごうごうである。

 今回は東出側も、「イクメンを売りにしていたのに」と批判されている。2018年に明治安田生命が行った「理想のイクメンランキング」では20〜30代部門の2位になっていた東出。だが根拠となるようなイクメンエピソードは意外とない。仕事をセーブして育休を取った、というような話しか見つからず、モラハラだったという真逆の報道さえある。

「私は清楚系です」「僕はイクメンです」と本人たちが事あるごとに言っていたわけでもない。しかし今回に限っていえば、ただのイメージダウン以上に大きな波紋を呼んでいる。世間からの批判は言うにおよばず、CM降板、ドラマがお蔵入りなどと四面楚歌の状態だ。だが何より致命的なのは、「清楚系」「イクメン・イケメン」以外の誉め言葉が出てこない芸能人ということが明らかになってしまったことではないか。顔や雰囲気以外は褒めようがなかったと言わんばかりである。演技派でもなく、トークが面白いわけでもない。ファッションセンスがあるとか、役者以外の分野でも活躍しているとか、そういった「目印」がない二人。ぼんやりしたイメージしかない似た者どうしだからこそ、惹かれあった部分もあるのかもしれない。朝ドラの主演を務め、歴女で料理もギターもこなす東出の妻・杏には到底理解できない話だろう。

 また唐田は芸歴も浅く知名度も低かっただけに、相当な叩かれようである。彼女が撮った東出の写真に対するコメントや、共演映画でのインタビューでの発言も「匂わせ」と反感を買っている。が、本人にはあまり自覚はなかったのではないか。誤解されるかも、と考える危機感に欠けるというか、幼い印象を受けた。しかしその幼稚さや計算のなさが、まさしく「清楚」なイメージに一役買っていた部分もあるだろう。タレントイメージとは皮肉なものである。

「清楚」イメージとプライベートは別物 だからこそ際立つ杏と唐田の格の違い

 そんな浅い「清楚さ」に振り回されているのは、お茶の間だけではない。芸能界の女性たちも、いいエサが見つかったと言わんばかりにとびついた。「匂わせ」行為を断罪したアンミカ、清楚系って怖いとけなしたみちょぱ。共演歴もあるファーストサマーウイカは「したたかなんやな」と評した。泉ピン子まで出てきて大騒ぎである。とはいえどの面々も、自身のサバサバしたタレントイメージをアピールしようという欲が見えなくもない。妻である杏がいまだにコメントを出していないことを考えれば、好感度欲しさに騒ぐ外野も、唐田と同様に頭が痛い存在だろう。

 確かに今回の騒ぎの非は、唐田と東出に全面的にある。ただ芸能界の「清楚」や「真面目そう」ほどあてにならないものもない。タレントイメージとプライベートは別物。実生活でどんなにダメでも、画面の中では清らかな顔をし続けられるような図太さと実力のある人間が生き残る。少なくとも、東出や唐田が3年は隠しおおせてきたように。そして不倫を繰り返してきた杏の実父・渡辺謙がいまだに「大物」然としているように。その理不尽さにまさに苦しめられ、不条理さを知っているからこそ、杏は生半可なコメントを出して終わりにはできないのだろう。

 逆説的に言うならば、だからこそ杏は東出や唐田より「格上」なのだ。タレントイメージ同様に、まっとうでクリーンな生き方を続けているからである。彼女に匂わせ行為ができるような幼さや無防備さがあったなら、もっと気楽に生きられただろう。でも自分を律し続ける道を選んだからこそ、第一線の女優として花開くことができたともいえるのではないか。

 ちなみに厚生労働省もサポートしている「イクメン オブ ザ イヤー」、2014年の受賞者のひとりは石田純一だ。それこそ元祖・さわやかマスクの不倫俳優。過去のイメージはどこへやら、いまが良ければすべて良し、ということのようである。東出だって何年かあとには、更生したイクメンとして表彰されてしまうかもしれない。世間や杏がそれを許すとも思えないが、夫婦のことは夫婦にしかわからない。「前から大根役者だと思ってた」「ずっと棒読み演技」などさんざんな言われようの東出。せめて今、妻に対してだけは、三文芝居で切り抜けようとせずに真摯に向き合っていると信じたい。

(冨士海ネコ)

2020年2月1日 掲載