フワちゃん(27)を知らない人は、もういないだろう。約2年前にYouTuberとなり、ここ1年ほどはタレントとしてテレビでも大活躍中だ。明るくパワフルなのが売り物。その人気は今後、ますます高まりそうな気配だ。

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「おはぴょ〜ん! フワちゃんで〜す」

 どこでも元気よく声を張り上げるのが、フワちゃん流あいさつ。常に明るくパワフルなキャラクターが売り物だ。

 その持ち味はファッションにも鮮明に表れている。寒い時期であろうが、黄緑など明るい色のスポーツブラに短パン。お腹は丸出し。いつでも体を動かせそうだ。

 かといって体育会系では決してない。なにしろ、目上の人であろうが、敬語というものを一切使わない。礼儀がデタラメ。相手が大先輩であっても一貫してタメ口だ。

 2月11日放送のTBS「バナナサンド 2時間スペシャル」でもそうだった。バナナマンの設楽統(46)と日村勇紀(47)、サンドウィッチマンの伊達みきお(45)富澤たけし(45)に終始タメ口。ゲストだった元横綱・貴乃花(47)にも敬語を使わず、周囲は気色ばんだ。

 これまでに周囲から何度も「おまえタメ口やめろよ」と、たしなめられたが、全然あらためないし、全くめげない。「てへへ」と笑うばかり。

 敬語を使わないだけではない。2月24日放送のテレビ朝日「帰れマンデー見っけ隊!!」で、またサンドウィッチマンや千葉雄大(31)らと共演し、静岡県修善寺方面への路線バス旅行に出向くと、「楽しい〜。今度はみんなで、仕事抜きで来ようよ」と、大はしゃぎ。仕事中の緊張感も全くないのだ。

 もっとも、それがフワちゃんの魅力でもある。誰彼かまわず共演者たちと遊び仲間のように接するので、フワちゃんが出演すると、番組がパッと明るくなる。堅苦しさが消える。

 そもそも、フワちゃんがタメ口オンリーなのは仕方がない面もある。基本的には敬語のない米国ロサンゼルスで、小学校2年生から4年生までの2年間を過ごしたのだ。フワちゃんは今年2月に公開されたYouTube動画「LA里帰り」の中などで、「ロサンゼルスが第2の故郷なんで〜す」と明かしている。

 東京都八王子市で生まれたが、父親の仕事の都合で渡米。このため、「初めて行った大都会は新宿でも渋谷でもなく、ハリウッド」なのだそうだ。

 初共演の相手であろうが、すぐに距離感を縮める術に長けているのも帰国子女であるせいなのだろう。YouTube動画のハリウッドでのロケで、バストの大きいブロンドの女性を発見するや、「わー爆乳だぁー」と抱きついた。でも、相手は嫌な顔ひとつせず、にっこり。

 アメリカには初対面の相手にもフレンドリーな人が少なくない。フワちゃんはそんな文化の中で人格形成期を過ごした。自然と相手との近づき方を身に付けたのだろう。また、フワちゃんが底抜けに明るいので、相手は圧倒されてしまい、思わず胸襟を開くこともあるようだ。

 ノリがいいだけでなく、タレントとして肝心なトークのセンスも抜群。「渋谷にいるヤバそうな奴に職業を聞いてみた結果」というYouTube動画のロケでは、若いにも関わらず地味な服装の女性に近づき、「芸人ですか?」。不躾な言葉だが、フワちゃんが口にすると嫌味が感じられず、女性も思わず吹き出した。

 この女性は浪人生だった。話すうち、やがて女性がフワちゃんに向かって「YouTuberって何が面白いの」などと突っ込む展開に。これにフワちゃんは大喜び。やはり誰とでも瞬時に親しくなれるようだ。

 ボケをかますのもうまい。同じくYouTube動画のロケでハワイへ行った際、飛行中もずっと撮影を続け、キャビンアテンダントが機内をまわり始めると、

「あっ、なんか配っている。ウンコとかだったら嫌だな…」

 そんなはずないし、低俗で品性ゼロの言葉なのだが、意外性があって、間の取り方も抜群なので、思わず大笑いさせられる。こんなネタでもギリギリで下品にならないのは、フワちゃんが明るく健康的だからだろう。

無所属

 YouTube動画のフワちゃんのチャンネル名は「フワちゃんTV」で登録者は約57万人。1位のはじめしゃちょー(27)の約841万人、2位のHIKAKIN(30)による「Hikakin TV」の約805万人には遠くおよばないが、この2年間で人気が急上昇中した。

「フワちゃんTV」の特徴はというと、本人のキャラクターと同じく、元気で明るくて、なによりバカっぽいところ。ラインナップの一部はこうだ。

●「NYで綾部(祐二、42)を見つけるまで帰れまてん」。路上などでアメリカ人に聞き込みを行うが、当然、見つからない。もっとも、たまたま訪米していた渡辺直美(32)と遭遇。ともに驚く。

●「合コンでお持ち帰りされない5つの方法」。最初の乾杯の際、グラス内に指を入れるなど、いろいろ汚く振る舞う。実演した。

●「【原付】渋谷からガソリン満タンでどこまで行けるのか【ガス欠まで走る】」。本人は当初、「燃費がいいから沖縄まで行けるんじゃね」などと豪語していたが、神奈川県の江ノ島、静岡県御殿場市の富士山が過ぎた後、同県富士宮市内でストップ。そこは山の中で、半泣きになる―――。

 フワちゃんはYouTube動画で人気者となり、テレビに進出したものの、元はお笑い芸人。哲学の名門である東洋大学文学部中国哲学文学科を卒業後、大手芸能事務所「ワタナベエンターテインメント」傘下のワタナベコメディスクールでお笑いを学んだ。イモトアヤコ(34)やあばれる君(33)も同校出身者だ。

 フワちゃんも同校を出るとワタナベエンターテインメントに所属。プロになれない卒業生も少なくない中、早くから才能が認められていた。同校在学中から芝山大輔(34)とコンビ「SF世紀宇宙の子」を組んでいたものの、ほどなくピン芸人に。そして事務所の幹部に悪態をついたことから、クビになる。

 なぜ、クビになったのか? フワちゃんがこれまでに明かしたところによると、事務所幹部に説教をされた後、幹部の背中に向かって、「ファック・ユー(くそったれ)」のポーズをとったから。中指を突き立てたのだ。幹部は後ろ向きだったので、見られないはずだった。

 ところが、窓にそのポーズがありありと映っており、幹部にバレてしまう。その無礼な行為がとがめられ、あえなく事務所を去ることになったという。2017年のことだった。

 以来、現在までフリー。どこの事務所にも所属していない。これだけの売れっ子タレントでフリーなのは前代未聞だろう。

 先述した今年2月24日放送の「帰れマンデー見っけ隊!!」では、「私、グレープカンパニー好きなんだ。入れてくんないかな」と、願望を口にした。サンドウィッチマンの事務所で、高橋英樹(76)もいる。

 ところが、高橋を呼び捨てにしたことから、富澤に怒られてしまう。規格外に見えるフワちゃんを包み込んでくれる事務所を探すのは難しいかも…。

 天衣無縫だった20代のころの篠原ともえ(40)とキャラクターが酷似しているとの評もあるが、かなり違うのではないか。篠原は長幼の序はわきまえていたし、センチメンタルな一面もあった。一方、フワちゃんは圧倒的に陽性である上、何をしでかすのか分からない。また、含羞がまったく感じられない。

「勢いがあり、女性タレントでは久々の超有望株。今年の顔になるかも」(民放バラエティー番組制作者)

 予定調和に支配されてしまった感のあるバラエティー界に風穴を開けるのはフワちゃんのような存在なのかもしれない。

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
ライター、エディター。1990年、スポーツニッポン新聞社入社。芸能面などを取材・執筆(放送担当)。2010年退社。週刊誌契約記者を経て、2016年、毎日新聞出版社入社。「サンデー毎日」記者、編集次長を歴任し、2019年4月に退社し独立。

週刊新潮WEB取材班編集

2020年3月17日 掲載