ヨーロッパや韓国でも自殺者が

 大人気の恋愛リアリティ番組「テラスハウス」に出演していた女子プロレスラー・木村花さんが5月23日、亡くなったことがわかった。ネットの中傷が彼女を追い詰めたとされるが、実は海外でも「リアリティ番組」に出演後、自殺する例が後を絶たないのをご存知だろうか。

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 花さんの死因は公表されていない。しかし、シーズン第38話(3月31日放送)で花さんが共演者の男性を強く非難する様子が放送されたことが原因なのではないかとみられている。

 この回が放送されると、ネット上では花さんに対して「早く消えろ」など心ない誹謗中傷が巻き起こり、彼女自身のSNSにもリストカットを行ったと思われるショッキングな投稿がなされた。そして、23日未明には自傷した写真と共に「もう人間なんかやりたくない」、「愛されたかった人生でした」、「みんなありがとう、大好きだよ」、「ばいばい」というツイートを残し、直後命を落としている。

 花さんの死をめぐる衝撃は国内だけにとどまらず、海外メディアでも盛んに報道されている。在欧ジャーナリストによると、

「ヨーロッパでも、テレビ、ネット問わず花さんの死は大きく報じられています。背景には、世界各国で『テラスハウス』のようなリアリティ番組が人気を博す一方、出演者の自殺が後を絶たない、という事情があります。その数は世界中で30名をも超えると報じられています」

「昨年、英ITVが放送していた人気リアリティ番組『ジェレミー・カイル・ショー』に出演していた63歳の男性が自殺し、番組は打ち切りとなりました。彼は婚約者に対して浮気をしていないことをウソ発見器で証明しようとするも失敗。その後、婚約者と破局することになり、男性は薬物の大量摂取で自殺したとされます。そのほか、2013年に仏TF1で放送された、出演者が無人島でサバイバル生活を送る番組「コー・ランタ」では2名が死亡しまた。ことの発端は、出演者の一人が心臓発作をおこし、撮影中に命を落としたこと。すると、無人島に同行していた男性医師に対して責任を追及するバッシングが広がり、それを苦に彼まで自殺したのです。さらにお隣の韓国でも、2014年に恋愛リアリティ番組に出演した女性が、番組内での自身の描かれ方に不満を持ち、『放送されれば韓国で生きていけない』と母親に漏らした直後、自殺しています」

イギリスでは社会問題に

 彼らが死に至る経緯はそれぞれ異なり、花さんのケースとひとくくりにして論じることはできない。しかし、リアリティショーの中で出演者たちのプライバシーが過剰にさらされ、メディアやインターネットでの誹謗中傷が彼らの心を蝕んでいるという構図は同じだ。さらに、本来出演者の立場を守るべき番組側が彼らの異常を感知することができず、あるいは見過ごしたことで、最悪の事態を招いているという点も共通している。自殺までいかずとも、精神的、肉体的に大きな負担を強いられているケースは数えきれないだろう。

「一般人を番組に出演させ、彼らの素の反応を楽しむというリアリティ番組がこれまで以上に流行し、世界中で娯楽として消費されるなかで、出演者のケアは各国で社会問題にまで発展しています。イギリスでは、上記の自殺を受けて国会議員、精神科医などを巻き込んだ議論が起こりました。今後、日本でも番組を監視する体制を築いたり、出演者のケアを行う心理学者の同行を義務付けたりするなど、構造的な変化が求められるでしょう」(同)

「テラスハウス」の爆発的流行の影響で、日本でもここ数年、恋愛リアリティ番組が乱造されている。なかには、人間の本性を暴き出す面白さから、視聴率的な成功を収めているものも多い。しかし、その弊害が可視化された以上、視聴者の過激な反応を煽るような番組作りに対し、見直しが必要なのは間違いないだろう。

週刊新潮WEB取材班

2020年5月25日 掲載