福岡で宴会やゴルフ

 当然の報いなのか、さすがに行きすぎなのか──。タレントで俳優の石田純一(66)に対するバッシングが止まらない。

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 直接のきっかけは、週刊女性PRIMEが8月3日、「石田純一、福岡でも“シャンパン一気&美女お持ち帰り”に『叩かれたって大いに結構』」という記事を配信したことに遡る。

 記事によると、スポンサーに呼ばれた石田は福岡に赴き、数日間にわたってゴルフや宴会を満喫。その間に25歳の女性を“お持ち帰り”したとも報じられ、大きな話題となった。

 とはいえ、もともと石田は、いわゆる“炎上”状態にあった。週刊女性PRIMEの記事が炎上を更に拡大させたに過ぎない。

 こちらの原点は、彼が4月15日に発表した新型コロナウイルスの罹患だ。当初は同情的な意見も少なくなかったが、後に体調不良を訴えた場所が沖縄県のゴルフ場と判明して世論がガラリと変わった。

 その上、沖縄県の前には茨城県でゴルフに興じていたことも発覚し、プレー後に会食した女性が陽性だったことも明るみに出ると、バッシングは本格化した。

 5月に退院しても風向きは変わらず、石田に強烈な逆風が吹く中、週刊女性PRIMEが記事を配信したわけだ。

 記事の配信後、石田は「事実無根」と反論。これに週刊女性側が再反論するなどしたのだが、石田が8月13日にラジオで行った“再々反論”が、より大きな注目を集めてしまう。

ツイッターでも注目

 週刊女性PRIMEも8月18日に「石田純一『組織が俺のことを殺そうと…』大バッシングで唱えはじめた“黒幕説”」の記事で、ラジオの内容を報じた。該当部分を引用させていただく。

《俺は苦しいんですよ。その組織というか団体は、俺のことを殺そうと思っている。俺が出ている番組とか、俺のスポンサーに毎日たくさん電話をかけるんです。組織ぐるみで。今はなくなったレギュラー番組のスタッフも言ってました。“毎日50件の電話をかけてくる”と。そうやって狙われているというわけです》

 この発言に、ネットは敏感に反応。19日の午前には「石田純一」がツイッターのトレンド1位となった。

 ツイッターの現状をチェックしてみると、《石田純一はどうしてこうもダメなのか?》という批判は多い。

 とはいえ、意外と言うべきか、バッシング一色というわけではない。石田を積極的に擁護する意見はないものの、“社会的リンチ”を憂慮するツイートは散見される。

世論がイラつく理由

 お笑い芸人のスマイリーキクチ(48)は、女子高生コンクリート詰め殺人事件の実行犯という事実無根の誹謗中傷を、長期間にわたってネット上に書き込まれたことでも知られている。ツイートをご紹介しよう。

《石田純一さんが話題になっていますね。勿論本人の自覚のなさも問題ですが、わざわざ毎回取り上げるのもどうかと。コロナ禍のストレスの吐口なのか、投下燃料のような扱いをされて今は不憫に思う。相手に非があれば好きなだけ叩いてもいいという風潮に違和感を覚えます。度を越せばいじめと変わらない》

 一体、どのような人たちが石田純一へのバッシングを行っているのか、精神科医の片田珠美氏に取材を依頼すると、まずは“世論の怒り”に一定の理解を示す。

「過度のバッシングは論外ですが、石田純一さんの行動に世間がイラッとするのは、私も理解できます。理由は【1】石田さんは66歳で、いい年をした大人でありながら、全く懲りていない、【2】自分は特別な人間だから、普通の人には許されないことでも許されるという特権意識が透けて見える、【3】自分の責任を棚に上げ、被害者意識が強い発言が少なくない──この3点に集約できるでしょう」

反省ゼロというイメージ

 石田が懲りないのは、過去の“成功体験”が関係している可能性があると片田氏は分析する。

「石田さんは90年代に不倫が発覚、弁明から『不倫は文化』という流行語が誕生しました。ご本人の回想や各種の報道を見ると、影響で仕事が激減し、数千万の借金を抱えたそうです。しかし石田さんはバッシングをものともせず、復活を果たしました。この成功体験は強烈だったはずで、これが『俺は少々のことは許されるから大丈夫』という特権意識を生んだ可能性があります」

 いくら叩かれても、全くめげない。それどころか「黒幕がいる」と理解し難い反論を行う。反省ゼロ、居直りという負のイメージは拡散する一方だから、いっそう世間はイライラしてしまう……。

 しかしテレビや雑誌を見ながら「石田純一も懲りないなあ」と呆れるのと、実際に非難のメッセージを書き込むのは、相当な落差があるはずだ。

 テレビ局に抗議電話をかけるのと比べれば、SNSに書き込むハードルは低いだろう。とはいえ、である。

石田純一への羨望

 石田純一に問題があることは明らかになった。次は“石田純一をバッシングする人の心理”を片田氏に解説してもらおう。

「これも3つのポイントで説明ができます。【1】羨望、【2】ルサンチマン(恨みつらみ)、【3】うっぷん晴らし──です。羨望は、うらやましいという気持ちですが、実は他人の幸福が我慢できない怒りなのです。とくに、他人が楽しそうにしている『他者の享楽』は羨望の対象になりやすく、その最たるものが男女関係、肉体関係でしょう。資産家や社会的名誉を持つ人に、私たちは憧れますが、それほどうらやましいとは思いません。ところが、いわゆる“モテ男”、“モテ女”となると、途端に激しい羨望を覚えるのです」

 誰でも心のどこかで「モテたい」と願っている。それを表に出すか、出さないかの違いがあるだけだ。

 だが、そんな願望が実現するのは、ごく一部の“特権階級”だけだ。まして66歳で25歳の女性を宿泊先に連れ込める男性となると──部屋で何をしたかは明らかになっていないとはいえ──更に人数が少なくなるのは間違いない。

「就職氷河期世代も、間もなく50代です。経済的困窮から恋愛や結婚の機会を逃したという人は男女を問わず、今の日本社会で珍しくありません。つまり恋愛や性的関係に対して、数多くの人々が心の奥底にルサンチマンを抱いている可能性があるのです。ところが、自分が石田純一さんをうらやましく思い、ルサンチマンを抱いていても、誰だって認めたくありません」(同・片田氏)

石田純一は“最適”の芸能人

 石田純一への羨望を認めることは、自分がモテないということを認めることになる。つまり、自分は石田より劣っていると自覚しなければならないのだ。

 ちなみに、この劣等感は男女を問わない。女性でも心の奥底で性的に奔放な石田に羨望を抱くことは充分にあり得るという。

「そんな時、羨望の対象を攻撃すると、自分の心の奥に潜む怒りやルサンチマンに目を向けずにすむ。自分の暗く、ドロドロした感情から一時でも目を逸らすことができるのです。こうした精神的プロセスによって、石田純一さんをバッシングする人が生まれるわけです」(同・片田氏)

 バッシングを後押しした社会状況も重要だろう。1つは芸能人が身近になったことだ。映画の全盛期は、男性スターの派手な女性関係が問題視されることは少なかった。まさに雲の上の人で、憧憬の対象だったので、たとえ大衆が羨望を抱いても、叩かなかったのだ。

 もう1つが新型コロナの影響だ。石田純一に対する攻撃と、“自粛警察”の姿が重なって見える人は少なくないだろう。

「この点に関しては、ニーチェが、こう喝破しています。『正義の根底にはルサンチマンがある』と。羨望やルサンチマンを強く感じている人ほど、あるいは心の奥底深くに隠している人ほど、正義感は強くなります。そうした人々にとって、新型コロナウイルスを撒き散らすかのような行動を止めない石田純一さんは、自身のうっぷん晴らしに最適な、まさに貴重な芸能人というわけです」(同・片田氏)

週刊新潮WEB取材班

2020年8月29日 掲載