2億を売り上げる稼ぎ頭の「藤田ニコル」も退社予備軍に

 古賀誠一会長(80)が一代で築き上げたオスカープロモーションは6500名のタレントを抱え、「美の総合商社」と呼ばれ、生き馬の目を抜く芸能界で大きな足跡を残してきた。しかしここ最近、女優・タレントの流出に歯止めがかからない。どうしてそういうことになっているのか。その“元凶”とされる人物の肉声を紹介する。

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 昨年末から今年にかけて、事務所を去った面々を挙げていくと、剛力彩芽や武井咲と共に「オスカー平成三人娘」に数えられた忽那汐里(くつなしおり)、岡田結実や長谷川潤、ヨンア、草刈民代、堀田茜、福田沙紀、紫吹淳、そして「ドクターX」シリーズの大ヒットで事務所を牽引した米倉涼子。

 退社予備軍として、藤田ニコル、森泉……。

 45歳の米倉は年間3億円を稼いだが、22歳のニコルは2億円。米倉を失った事務所の稼ぎ頭なのだという。

 ニコルとオスカーの取り分はざっと7:3だったが、タレント流出の結果、彼女の仕事が激増。マネージャーや運転手の人件費が嵩むようになり、事務所側が取り分を増やそうとした。

 これにニコルの母親が怒った。オスカー関係者によると、

「“一体、娘がどれくらい稼いでいるのか総額を詳らかにして”と、弁護士を立てて事務所と交渉を続けているところのようです」

「8月に退社した堀田茜は大手のトップコートに移りました。“仕事量に比べて貰っているギャラが少ない”と考えていたようです」

 取り分のことは芸能界のルールがあるのだろうから別として、稼ぎ頭や売れっ子の機嫌を損ねるというのは穏やかではない。

 辞めているのはタレントだけかと言うと、そうではない。

「ここ3年で計50人弱の社員が辞めています。この3月と4月にも、管理職で会社の屋台骨を支える“20年選手”3人が退社しました」

娘可愛さから娘婿が取り立てられ、軋轢が生まれた

「森泉もデビュー当時から慕っていたマネージャーが退職して、事務所に未練はないようです」

 実績あるタレントの優秀なマネージャーまでが逃げ出す理由とは?

「古賀会長の娘婿のパワハラと言われています。彼ら社員はみな古賀会長率いるオスカーを愛してきたけれど、そうではなくなりつつある現実を悲観し、辞めていくんです」

 元々オスカーの社員は160人ほどいたと言うから、その約3割がすでにいないことになる。

 娘婿とは専務の堀和顯(かずあき)氏を指し、古賀社長の長女でオスカー常務・幸子氏の夫に当たる。

「目黒区内の小中学校でふたりは同級生で、同窓会か何かで再会して意気投合。共に酒が好きで量も飲む。良縁に恵まれなかった幸子さんは入れこんでしまった」

「それまで和顯さんは、タクシードライバーなどをやっていたなどと聞きましたけど……。結婚は12年目で、結婚の翌年に役員としてオスカーに入社。初めにデジタル・企画制作部門を担当し、その後に宣伝も担当業務として追加、2018年の夏から財務も担う専務になっています」

 ある大手芸能事務所幹部は、オスカーのゴタゴタは今や業界の常識と断ったうえで、こう総括する。

「要するに、古賀会長が娘可愛さに娘の言うことを鵜呑みにしてしまい、娘婿を取り立てた。その結果、幹部を含めた古参の社員たちが娘婿に反発し、大量に辞めていっているのが真相です」

 では、堀専務の何が問題なのか。

「どうも融通が利かない人間みたいなんですよ。制作現場を知らないのに口を出してきたり、管理部門に移ったら移ったで、経費の使い方を口うるさく言ってきたりするそうです」

「芸能界はやっぱりアナログなところがあって、仕事を取るためにはテレビや制作会社の人間と飲んで関係を維持するための接待費が必要ですよ」

「パワハラ退社」などについて、当事者とされる人物が答える

 しかし、堀専務はそうは考えず、「仕事ができる人間は接待なんてしなくても仕事を取ってこられる」というスタンスなのだという。

 芸能関係者によると、

「自分の意に沿わないと、古賀さんに対しても“会食の経費が高すぎる”“あなたは経営者としての感覚がおかしい”と言い放ち、会長室で騒ぎになることもしばしばあるそうです」

「古賀さんは娘可愛さから娘婿に言い返せず、社員へのパワハラにも口出しできないようですが……。結局、社員は娘婿が古賀さんの後継に収まることを悲観して会社を去り、それに呼応する格好で担当のタレントも離脱しているのです」

 米倉が3月に会社を辞めた理由もまさにここにある。愛する古賀会長が作ったオスカーがその姿を変えていく様を黙って見ているのは耐えられなかったわけだ。

 実際に堀専務にも聞いてみた。「パワハラ退社」については、こう答える。

「デジタル・企画制作部門の担当役員だった際に、私の部署に来た社員の多くは、他の部署の上長らが手を焼いていた方でした。彼らの勤務態度を注意したことはあります」

「それが気に食わなかったのか、“前の部署が良い”と語る者もいました。前の部署の取締役と相談したりもしましたが、その取締役も“要らない”と。結果、辞表を出してくる方が出たということです」

「芸能事務所といえども、クライアントに対してタレントのイベント出演料や制作代を請求する必要があります。それを口約束で済ますのではなく、“メールで文面を残して欲しい”と私は指摘したこともありましたが、その方は退社を選ばれました」

 それから宣伝部を担当する取締役となったが、僅か3カ月で交代となる。

「なぜ私が悪者扱いされるのか」

「原因は、私と現場の人間との感覚の乖離ですかね。宣伝部の仕事は、“社長が売り出すと決めたタレントの宣伝”と“既に売れている所属タレントの宣伝”があります」

「しかし、“自分の好みのタレントを推す”社員がいたんです。“それは、宣伝部の仕事として違うんじゃないの”とは言いました。そうした衝突はありましたが、パワハラはなかったと思います」

 その後、財務担当役員を兼ねるようになっても、苦労は続いた。

「そのタイミングで、大手の監査法人などで勤務経験のある会計士の方に顧問をお願いしたのですが、着任されてすぐ、“これは経理ではなく、事務レベルです”と言われてしまいました。その中で不透明な接待費が見つかったのです」

「芸能事務所は人間関係を通じて仕事を取ってくる部分が多いから、事前に申請を受ければ、キチンと経費を出しています」

「“接待費で落とせなくなった”と言う社員がいるのかもしれませんが、接待費を使わなくても、結果を出している社員の方もいるのです」

 社員の大量退社の元凶とされていることについては?

「私のパワハラが原因で40数名の社員が辞めたと報じられていますが、その中には一度も話したことがないような若い社員の方もいます」

「なぜ私が悪者扱いされるのか。納得がいかなければ、財務担当役員の私にキチンと説明を求めればよいと思うんです。なぜそれをしないのか」

「タレントや社員が辞めている理由に経費の問題があるのなら、それを説明していない管理職なり役員に責任があるのではないでしょうか」

「なぜ悪く言われるのか。社内で私のことを疎ましく思っている人間が吹聴しているのではないでしょうか」

週刊新潮WEB取材班

2020年9月5日 掲載