「自分はバレない、大丈夫だと思った」と語る男。でも周囲からは、「あの人ならやりかねない」と言われる。大麻所持で逮捕の伊勢谷友介といい、ゲス不倫で謹慎中の渡部建といい、なぜ自分だけは大丈夫と自信を持ってしまうのだろう。いい年して悪事をするのも恥ずかしいが、ズレた自信を持っていることが世の中にバレるのも相当に恥ずかしいだろう。

 彼らによる不祥事の影響は、事務所はもちろん、家族や過去の彼女たちにも飛び火した。伊勢谷と交際報道のあった森星は、事務所がすでに破局していることを早々に発表。しかし過去に交際が噂されていた広末涼子や長澤まさみの名前も出る始末だ。ただただ迷惑に違いない。一方、渡部の妻・佐々木希も、24時間テレビの笑点に出たり、下着姿で女性誌の表紙を飾るなど体を張りまくっている。夫の代わりに二馬力並みの働きぶりを見せるのんちゃん、ちょっと切なくなってしまう。

 思えば長澤まさみも佐々木希も、同じジャニーズタレントとの交際が報道されたことがある。しかし当の彼と別れた後、長澤は伊勢谷と、佐々木は渡部と熱愛が報じられた。アイドルから、10歳以上年上の男性へ。このパターンは最近お騒がせのこじるりも同じだし、上戸彩も当てはまる。

 長澤も佐々木も、若くしてトップの知名度を手に入れ、着々とキャリアを積んでいた。そういう意味では森星も、下から慶應でバイリンガルの人気モデル。同世代の同業男性たちとは、見える景色や精神年齢が釣り合わないこともあるだろう。また、ジャニーズのように男女交際に厳しい事務所だとしたら、不満も募るに違いない。そんな時に年上の自由な俺様タイプが来たら、さも頼りがいがあるように見えるのではないか。きっと年の差があろうと相手が人気女優だろうと、「俺なら大丈夫」と近づいてきただろう。

 むしろ彼らは自信家だからこそ、若く美しく有名な女性を手に入れることに興奮を覚えていたはずだ。けれども一方で、知名度のない女性たちのことは踏みにじってきた。渡部は多目的トイレでの不倫、伊勢谷は過去の交際相手への暴力。バカにしていたはずの女性たちに彼らは告発され、痛い目を見ることになったのである。

自信家ほど一般女性に「とどめを刺される」危険性 思えば新井浩文も

 そう思うと彼らの共通点は、ジャニーズとの交際歴がある女性との恋愛遍歴、ということではない。むしろ徹底した自己愛であると思う。「トロフィーワイフ」を手に入れたことも「成功体験」。本業以外の事業に手を出して名を売るのも「成功体験」。一方で、一般人女性をぞんざいに扱おうが犯罪に手を染めようがバレないことも「成功体験」。何をやっても上手くいく俺、最後に帳尻を合わせられる俺。だから「自分は大丈夫と思った」「安全な遊び方だった」と言えてしまうのだろう。そこには巻き込まれた女性や、周囲への視線は抜け落ちている。きっと自分に自信があるから、周りが止めようと聞く耳も持たないだろう。だから「あの人ならいつかそうなると思った」と呆れ気味に言われてしまう。

 周囲と温度差があったパターンとして、かつて強制性交で逮捕された新井浩文を思い出した。「首を絞めて気絶させても、すぐ起こせるから大丈夫」と吹聴していたそうだが、彼も旬の年若い女優とよく交際報道が出ていたものだ。オンオフ問わず、彼なりの「成功体験」を積み重ねていたのだろう。でも最後に、やはり一般女性によって訴えられた。そして逮捕後は一様に「驚かない。彼にはそういう噂があった」と言われていた。

 伊勢谷にしろ渡部にしろ新井にしろ、メインを張るタイプというよりは「名バイプレイヤー」と称されるタイプだった。でも自信家の彼らのことだ、主役になりたい、中心にいたいという野心はずっとあったことだろう。きっと自分より知名度も腕力も無い女性の前では、主役然として振る舞えたのかもしれない。もしそうだとしたら、抱えた葛藤には少し同情する部分もある。しかしだからといって、扱いのひどさや、犯罪行為は許せるものではない。

 自分だけはバレないと思っていたのに、恥ずべき部分はずっと前から見えていた。そしていちばんバカにしていた存在が、彼らにとどめ刺す。まるで「裸の王様」のようである。皮肉なことに、彼らは失態を通じてようやく主役になれたのだろう。自信家の彼らにとって、最も望まない形で。

冨士海ネコ

2020年9月13日 掲載