コロナ禍の影響で無観客、対面募金の禁止、チャリティマラソン中止、深夜は録画……。異例ずくめとなった今年の「24時間テレビ43」(日本テレビ)。そこまでして放送する必要があるのか、といった声もあった。しかし、結果は大成功。それもこれも異例とも言える万全の体制で臨んだからだという。

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「新型コロナで、TBSは『オールスター感謝祭2020春』の放送を、フジも『27時間テレビ』を中止しました。いずれも系列局を挙げての恒例の大型番組です。そんな中、なぜ日テレだけが『24時間テレビ』を放送するのかという声は、視聴者のみならず、局内からも上がっていました」

 と言うのは、日テレ関係者である。だが、同社の小杉善信社長の意志は固かった。3月の定例会見で早くも、番組の放送を宣言していたのだ。

「使命感がある。必ずやる、と思っております」

 7月の定例会見では、さらに強調した。

「かねてからどんな形であろうとやると宣言しておりました。コロナの状況に合った、感染につながらない形で、今回の『24時間テレビ』をやるというのは変わりありません」

社内にPCR受診室

 かくして放送が決まった「24時間テレビ」だが、そのために大号令が発せられたという。

〈スタッフから絶対に感染者を出してはならない〉

 そこで取られた対策は……。

「放送1カ月前、スタッフ400名以上にPCR検査を実施しました。もちろん、個人個人が病院で検査を受けるのは、病院にも大変な負担になります。なにより、スタッフがそこで感染する恐れもある。そのため社内に特別スペースを設置したんです」(同)

 社内でPCR検査が受けられる体制を整えたというのだ。

地味なパーソナリティ

「そこに防護服を着た産業医を配置、業者から検査キットを持ち込み、『24時間テレビ』スタッフは、勤務中の空いた時間に受診し、いつでも検査が出来るようにしたんです。もちろん、そのスペースで密になっては意味がない。ソーシャルディスタンスを保てるよう、日テレPCR検査室は3日間にわたって行われました。それも1回だけでなく、放送までに、計3回も実施されたんです」(同)

 自費でのPCR検査は4万円前後と言われるが……。

「軽く3000万円近くかかっているかもしれません」(同)

 さすが6年連続の平均視聴率3冠王である。かなりの徹底ぶりだ。

「さらに、リスクを減らすために気をつけたのは、キャスティングでした」(同)

 今年は、メインパーソナリティが5人になったことも話題となった。

 V6の井ノ原快彦(44)、NEWSの増田貴久(34)、Kis-My-Ft2の北山宏光(34)、ジャニーズWESTの重岡大毅(28)、King&Princeの岸優太(24)という面々だ。

 ジャニーズ事務所に所属する複数のグループからの選抜メンバーというのは、今回が初めてではない。17年の「24時間テレビ」でも、嵐の櫻井翔(38)、KAT-TUNの亀梨和也(34)、NEWSの小山慶一郎(36)の3人がメインパーソナリティを務めたことがある。この時は、いわば“ドリームチーム”だった。

 それに比べて今年は、ファンには申し訳ないけれど、イノッチ以外は地味なメンツである。

「制作発表会見で、キャプテンの井ノ原自身が『みんなとても人気者なんですけど、センターのタイプじゃないよね』と呟いたほどでしたから。本人たちもエース級ではない自覚があるのでしょう。確かに各グループの1番人気を集めたという感じではありません。SNSでも、なぜこのメンツなのかと話題になりました」(同)

“寄せ集め”と報じたメディアもあったほどだ。

「この5人になったのは、2つの理由があるんです。まず、複数のグループから集めたのも、コロナ対策のためです。万が一、放送前にメインパーソナリティを務める人の所属グループから感染者が出た場合、即座に濃厚接触者と判断されてしまうでしょう。となれば、2週間の隔離生活は免れない。ですから、当初から1つのグループにするのは危険だと考えられていました。そこで複数のグループから一人ずつ選ぶ方式になったんです」(同)

 なるほど。では、なぜこの顔ぶれになったのか。

スキャンダルを避けた

「それぞれのグループの中から、特に真面目なメンバーを集めたんです。いずれも超がつくほど真面目で、しかも注意深い。それだけに派手さがなく、地味に見えてしまうのかもしれませんが……」(同)

 たしかに、キャプテンのイノッチは、NHKの帯番組「あさイチ」を何の問題もなく、8年間も勤め上げた実績がある。真面目でなければ、続かないだろう。

 真面目なら“夜の街”にも繰り出さないという、これもコロナ対策ということか。

「そうした一面もありますが、実は日テレが1番恐れたのはスキャンダルでした」(同)

 ジャーニーズタレントは、このところタガが外れたようにスキャンダルが多い。Snow Manリーダー・岩本照(27)の未成年者との“ラブホ”合コンや、緊急事態宣言中の飲み会で退所することになった元NEWS・手越祐也(32)、元NEWS・山下智久(35)の未成年との飲酒とホテル滞在、KAT-TUN・亀梨和也の未成年飲酒など……。

「日テレはジャニーズと太いパイプがありますが、コロナ禍で見る目が厳しい今年の『24時間テレビ』のパーソナリティに、スキャンダルはあってはなりません。当初は、この地味なメンバーを見た上層部から、『こんな弱いキャスティングで、「24時間テレビ」を放送していいのか! 視聴率が取れるのか!』という声が上がったそうです。それらを説き伏せてGOサインを出したのが、小杉社長だと言われています。視聴率よりも、とにかく不安要素を取り除くことを重視したということなんです」(同)

 今年の「24時間テレビ」の視聴率は15・5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区:以下同)だった。昨年の嵐がメインパーソナリティだった16・5%より低い数字だが、一昨年のSexy Zoneの時の15・2%よりも高い。

 さらに放送中に発表された募金総額(正式な総額は例年10月に発表)は、5億5200万5762円(23日午後8時現在)で歴代2位の額という。大成功と言っていいだろう。

「小杉社長は92年と93年にプロデューサーとして『24時間テレビ』を担当していますから、番組への思い入れもかなり強いのでしょう。そして石橋を叩くタイプですからね。放送すると宣言した以上、どんなことをしてでも成功させたかったんでしょう。コロナ禍で減収減益の中、上手くいけば下半期の巻き返しにもつながりますからね」(同)

週刊新潮WEB取材班

2020年9月14日 掲載