専門家は「児相が動くレベル」

「大変、申し訳ございませんでした!」──華原朋美(46)はカメラの前で涙を浮かべ、最後に深々と頭を下げた。YouTubeで配信した謝罪動画に、大きな注目が集まっている。

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 9月23日、華原は自身のYouTubeチャンネルで、ヴァイオリニストの高嶋ちさ子(52)と、芸能事務所「プロダクション尾木」尾木徹社長(77)に謝罪した。

 華原は1999年から2007年と、2012年から2020年まで、プロダクション尾木に所属していた。

 それでは、動画での発言を、全てご紹介しよう。

「こんばんは、華原朋美です。今回の、高嶋ちさ子さんへの謝罪と、尾木社長への謝罪をしたいと思います。ご迷惑をおかけしました。申し訳ございませんでした。

 私の勘違いであり、そして、虐待ではありませんでした。そのことについて、もの凄く反省しております。大変、申し訳ございませんでした」

 何の説明もなく、いきなり謝罪して終わる。華原朋美の苦痛そうな表情が、ただ事ではないことを伝える。

 視聴者の多くが「高嶋ちさ子」という名前と、「虐待」という単語が登場することから、FRIDAYの報道と関係があると判断したようだ。

 9月25日号に掲載された記事のタイトルは、次のようになっている。

高嶋がシッターを紹介

《現場写真をスクープ入手 紹介されたベビーシッターが、0歳児の赤ちゃんをまさかの逆さ吊り 華原朋美「愛息虐待で高嶋ちさ子と大モメ」 「虐待だ」「遊んでいただけ」と真っ向から意見が対立》

 華原は昨年8月、第1子となる男児を出産した。子供の父親は「外資系企業に勤務する一般男性」とだけ明かされ、入籍はしていないという。

 FRIDAYの記事によると、華原は外出の際、自宅でベビーシッターに子守を依頼していた。

 このシッターを紹介したのが高嶋。彼女自身もこのシッターに子供の面倒を見てもらっていたという。

 ところがシッターに子守を任せると、次第に華原は不信が募っていった。8月には、部屋に設置していたカメラの動画を確認した。

 動画にはシッターが男児の両足を掴み、逆さ吊りしている光景が映っていた。男児は哺乳瓶を口にくわえていたという。

 誌面には、シッターが子供を逆さ吊りにしている写真が掲載されている。動画をキャプチャーしたものだろう。

高嶋は華原に反論

 華原はシッターとの契約を解除し、LINEで高嶋に説明を求めた。

 すると高嶋は虐待を真っ向から否定。高嶋の子供も、このシッターに逆さ吊りをされていたことを明かし、それを喜んでいたとした。

 同時に華原がカメラでシッターを撮影していたことを批判。《そんな人とは絶対私は付き合えない》と強く抗議した。

 記事では、子供の虐待に詳しいNPO理事と、虐待防止団体の理事長を務める医師が実名で取材に応じ、虐待の疑いが強いことを指摘している。

 前者の理事は《危険な行為》と断じ、後者の医師は《警察に相談すべき》と指摘している。

 これに対し、週刊女性PRIMEは9月15日、「華原朋美vs高嶋ちさ子、警察も介入した“愛息虐待騒動”の全真相」の記事を配信した。

 この記事に《ことの真相を知る大手レコード会社幹部》が登場、《すでに“解決済み”》だとした。

警察は虐待を否定!?

《大手レコード会社幹部》のコメントを引用させていただく。

《愛息がこのような仕打ちをうけてパニックになった華原さんですが、結局、警察も介入する事態になったんです》

《そして、さまざまな検証が行われた結果、“虐待ではない”という判断がくだされました。つまり、すでに記事が出る前に終わっていたハズの話なんですよ》

 こうしてFRIDAYと週刊女性の報道が対立するという事態になったわけだ。

 誰もが、華原は週刊女性には反論するだろう、と思っていた。

 ところが突然、華原はYouTubeチャンネルで「我が子への虐待はなかった」と謝罪したのだ。

 おまけに、尾木社長にも頭を下げた。今回の騒動で、尾木社長の名前が出てきたことはない。なぜ謝ったのか、理由も全く分からない。

 とにもかくにも、異様な謝罪動画である。たちまち大きな反響が起きた。

専門家の見解

 SNSでは華原を擁護する意見が大勢を占めた。ツイートの一部をご紹介しよう。

《これを警察に虐待じゃないと言わせ、謝罪までさせられる。悔しいだろうなぁ》

《華原朋美のベビーシッター事件、謝罪したの?! イヤイヤイヤイヤ1歳直前の子を逆さ吊りってあり得ないっしょ……》

《1歳位の子供が逆さ吊りにされる状況なんて普通ないし。そんな遊びも怖くてやらないよね普通なら。異常だよ。

親なら誰でも怖くなるしそんなベビーシッター解雇して当然。謝罪なんかしなくていい。芸能界はクレイジーだね》

(註:引用に際しては改行を省略するなどし、デイリー新潮の表記法に合わせた、以下同)

 なぜ華原が謝罪したのか、真相は藪の中だ。しかし、何より重要な問題は「シッターが男児を逆さ吊りにした」という行為は妥当なのか、虐待にあたるのかということだろう。

 そこで改めて、専門家に話を聞いてみた。

 山脇由貴子氏は『告発 児童相談所が子供を殺す』、『夫のLINEはなぜ不愉快なのか』(共に文春新書)などの著作で知られる。

100%の虐待案件

 横浜市立大学で心理学を学び、東京都に入都。都内児童相談所に心理の専門家として19年間勤務した。

 山脇氏にFRIDAYの記事に目を通してもらうと、「もし児相に相談があれば、100%虐待容疑で動く案件だと思います」と指摘する。

「どんな状況であっても、乳幼児を逆さ吊りにする必要がある場面など、絶対にありません。

 落下の危険は当然ですが、例えば赤ちゃんを逆さ吊りにすると、脳内出血のリスクが高まってしまうからです」

 更に乳幼児を逆さ吊りにして揺らすと、「揺さぶられっ子症候群」になる危険性もある。

「乳幼児は脳が未発達で、頭蓋骨との間に隙間があります。このため頭が強く揺すられると、頭蓋内出血や脳挫傷という深刻なケガを負うケースがあるのです。これを『揺さぶられっ子症候群』と呼びます」(同・山脇氏)

 こうして見てみると、どれだけシッターの行為が危険なものなのか分かる。確かに児童相談所が一発で虐待を認定するレベルだ。

華原朋美にも問題?

 山脇氏が言う。

「FRIDAYに掲載された写真は、充分な証拠能力があると思います。例えば保育園で保育士が園児を逆さ吊りにしていたとします。

 児相の職員が『虐待と断定されても仕方のない行為です』と写真を見せて注意しても、保育士が『遊んでいただけです』と反論するのは珍しいことではありません」

 すると高嶋の華原に対する説明も、よくあるパターンの範囲内ということになる。

 一方で山脇氏は「華原さんには厳しすぎる指摘かもしれませんが」と前置きした上で、「彼女にも脇の甘いところはあったと思います」と指摘する。

 子供を預けた先で虐待疑惑などのトラブルに見舞われた場合、何より必要なのは親がまず児童相談所や警察に相談することだ。

 そして預けた先が公的な施設であればあるほど、スムーズな解決が期待できる。例えば公立保育園で虐待を受けている可能性があるとすれば、迷わず児相に連絡を取ったほうがいいという。

児相の“威力”

 山脇氏が言う。

「保育士が虐待を認めず反論したとしても、児相の担当者が園長に注意喚起を促せば、解決が期待できます」

 責任を感じる園長が大半ですし、『児相の職員が園内に入り、虐待容疑で調査した』と保護者が知ったら大変なことになります。その危機意識が問題解決につながるのです」

 もし「児相が来た」と噂が広まれば、保護者の大半が翌日から我が子を預けるのは止めるだろう。民間施設なら経営危機、公立なら責任問題に発展するのは必至だ。

 そんな事態は絶対に避けたいと、保育園は職員が一丸となって虐待防止を徹底する。そんな効果が期待できるというわけだ。

 一方、例えばママ友や“フリーのベビーシッター”に預かってもらって、虐待疑惑が浮上したとなると、すぐに解決とはいかないケースも多い。

「組織に属していない人が虐待に関与したと疑われる場合、児相の職員は相談者に『相手が逆恨みする危険性は覚悟してください。相手はあなたの住所など個人情報を知っていることもリスクです』と説明します」(同・山脇氏)

解決の難しいケース

 華原の場合は、こちらのケースに近いだろう。

「記事を読む限りでは、このベビーシッターが会社など組織に属しているのか、“フリーのベビーシッター”かは分かりません」(山脇氏)

「前者なら、児相の介入は効果が期待できます。しかし後者は、非を認めなかったり、逆恨みされたりと、なかなか解決できないこともあります」(同)

 やはり“フリーのベビーシッター”に注意が必要だと言わざるを得ない。重大な犯罪を犯したケースがあるからだ。

 今年7月、ベビーシッター仲介サイト「キッズライン」に登録していたシッターの男2人が、利用者宅で男児や女児にわいせつな行為に及んだ。

 逮捕・起訴されていたことが明らかになり、大きなニュースになった。

 このうち、男児の下半身を触るなどした29歳の男は、同様のわいせつ事件で4回逮捕されていたことが報じられている。

華原の“解決策”とは?

 完璧な身元調査は不可能だとはいえ、公立保育園の保育士のほうが入念なチェックを受けているのは間違いない。

 例えば厚生労働省は18年、保育士の犯歴照会を義務化し、登録取消も徹底することを明らかにしている。保護者からすれば、それだけ安心感が増すのは仕方ないだろう。

 少なくとも、知人や友人から気軽に“フリーのベビーシッター”を紹介してもらうのは、止めたほうがよさそうだ。

週刊新潮WEB取材班

2020年9月30日 掲載