「35億」のギャグで一世を風靡しながらも、ブレイク後わずか3年で芸能界を去ったブルゾンちえみ。引退後は、本名である藤原史織の名で文化人として活動を再開。スピ系イベントに出演するなど、お笑いとは真逆の世界への傾倒を深めているという。どうした?
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今年3月、藤原は「ワタナベエンターテインメント」を退社。慣れ親しまれてきた「ブルゾンちえみ」の芸名とも決別した。
当初はすぐさまイタリア留学に飛び立つ予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大で延期に。現在は、noteでコラムを掲載するなど、SNSを中心とした活動を続けている。
内容は、書評や映画評が中心で、至って真面目だ。最近のインタビューでは「環境破壊」や「Black Lives Matter」など社会問題への関心も示している藤原。これまでの芸能活動と比べると別人のようだが、彼女の変化はこれに留まらない。もっと深い、一般人には理解が届かない“領域”にまで及んでいるのである。
10月初旬、スピ系出版社「ヒカルランド」主催で行われたオンライン対談イベントに、藤原の姿はあった。
イベント名は「アフターコロナのあたらしい世界を生き抜く方法」。対談相手は、まるの日圭氏という作家だ。聞きなれない名前だが、「宇宙のすべての記憶を持つ男」との肩書きを持つ。
告知文にはこうある。
〈上下関係を重んじるアトランティス思考から完全に卒業し、分け隔てなく自由にはばたけるレムリア思考へ突入するため、すべての日本人に贈る激レアな対談です♪〉

母親の影響で興味を持った“世界”
少々意味不明だが、とにかく内容を見ていこう。
「きょうはたくさんのみなさん、ご参加いただきありがとうございます。元ブルゾンちえみの藤原史織です」
真っ赤に染めたショートボブにルージュの口紅。ド派手な出で立ちで画面に現れたのは紛れもなく“ブルゾン”だ。
続いて、「よろしくお願いしまーす」と登場したのは、地味なピンクのシャツをまとった、どこにでもいそうな中年男性。まるの日氏である。だが、藤原はこの男性を、時にセンセイと呼んで敬うのである。
「私がまるの日さんを知ったきっかけは、5、6年くらい前だと思うんですけど、私の母親がもともとずっと昔から宇宙とか精神世界とかに興味のある母親だったんですね」
と語り始めた藤原。母親の影響で2014年頃から、まるの日氏のイベントに参加し始めたという。
「そのときのイベントはたしか、“あの世ツアー”をしましょう、というような話だったんですね」
と懐かしむ藤原。
どうやら、まるの日氏は、死後の世界を案内できる“能力”をお持ちのようだ。
「そこから、いままでにない体験ができたし、まるの日さんをよく知っている人はわかっていると思うんですが、まるの日さんのフラットなスタンスというのが、私には心地よかったというか、新しかったんですね」
と、まるの日氏にすっかりハマってしまっているようなのだ。ここから話は、より難解な方向へと深まっていく。
「私は昔からアトランティスの話が気になるんですよ」
と話を振り出す藤原。アトランティス?
「いまの人間の精神的なもののプロトタイプというか、精神構造の基本となるものです。それを作るために作られた半霊半物質状態の世界、そんな感じですね」
とは、まるの日氏の解説だ。頑張って話を聞き続けると、どうやら“過去世”の話のようである。藤原はこう続ける。
「なんか昔からアトランティスって聞くと、ちょっと寂しいというか、なんかこう胸がぎゅっとなって悲しいような気持ちになっていて、なんなんだろうな、この気持ちって思っていたんです」
そして、母親を介してアトランティス時代の“リーディング”とやらを、まるの日センセイに依頼したというのだ。
ガンダムのシャアのようなヘルメットを被った女性が、“アトランティス時代”の藤原だった
ここからが“まるの日ワールド”の真骨頂だ。
「じゃあ出してみましょうか」
まるの日氏は、1枚のイラストを取り出した。ガンダムのシャアのようなヘルメットを被った女性。これがアトランティス時代の藤原だという。
「いまの藤原さんに一番近いアトランティス中期の、粒子を管理する技術者として出てきました」
ヘルメットは、「重要な役割を持っている人物の印で、今でいうと課長とか部長とかそういう位置になる人物」とのこと。続いて、まるの日氏は、
「プライベート情報になりますけど、リーディングも出していいですか」
と藤原に許可を求めてから、レポートのような文章も画面に映した。
「個人情報(身長体重スリーサイズはイメージです) 性別:女 名前:ファフタル 身長:178 体重:64 スリーサイズ:80・57・90 趣味は手芸(ビーズアクセサリー)」
一応断っておくが、これはコントではない。二人は真剣に語り合っているのである。藤原はレポートをもらったとき、
「(過去世では)コツコツけっこうやるタイプなのかな。たんたんとしたクールなイメージがして、いま私がやっていること、表に出ている仕事をやっているのと比べてどうなんだろうなあと」
そう思ったそうで、
「自分のもう一つの自分として、コツコツした作業も好きなんですよ。だから、あながち間違ってはいないけど、こういうのを読むと、あなたは表に出るんじゃなくて、コツコツのほうが向いているだよ、って言っているのかなって気がして」
とも振り返った。どうやらこのリーディングは、彼女がまだ芸人だった頃に行われたらしく、彼女の芸能界引退にアトランティスが影響していたような気もしないでもないのだ。
ちなみに、まるの日氏によれば、「35億」で藤原と共演していた「with B」の二人も、アトランティス中期で、藤原をお手伝いするような立場だったんだとか。
2日間に及ぶ対談はまだまだ続くのだが、記者はここで挫折。この先にご興味ある方は、ヒカルランドのホームページを観て欲しい。
週刊新潮WEB取材班
2020年10月28日 掲載