注目される“償い”

 10月29日、自動車運転処罰法違反(過失傷害)と道路交通法違反(ひき逃げ)の疑いで逮捕されていた俳優の伊藤健太郎容疑者(23)。同30日、警視庁の東京湾岸署で釈放された。

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 逮捕容疑は28日の夕方、東京都渋谷区の都道で車を運転中にバイクと衝突し、男女2人にケガを負わせながら、そのまま車で逃走したという内容だ。

 伊藤容疑者が釈放されたことで、今後はどのような刑事処分が下るのか、大きな社会的関心となるのは間違いない。

 処分の可能性としては【1】不起訴から始まり、【2】起訴猶予、【3】起訴されて執行猶予つき判決、【4】起訴されて実刑判決──この4パターンが考えられる。

 以上を踏まえ、過去に主な芸能人が犯したひき逃げ事件を見てみよう。表にまとめてみたので、ご覧いただきたい。

 やはり、不起訴から実刑判決まで、かなりのバリエーションが存在することがよく分かる。

 例えば、お笑いコンビのNON STYLEでツッコミを担当する井上裕介(40)は不起訴になった。当時の報道をチェックすると「被害者が『許してあげてほしい』と強く主張している」ことが紹介されている。

死亡事故を起こした芸能人

 飲酒運転の上、ひき逃げ事件を引き起こしたのは吉澤ひとみ(35)だ。当時の報道は「これほど悪質な道交法違反を犯した芸能人は珍しい」とある。

 執行猶予5年は法曹関係者も相当に厳しい判決だとされたが、それよりも吉澤が引退に追い込まれたほうが印象深い。いわゆる刑事罰より社会的制裁が重かった代表例と言えるだろう。

 次に参考のため、芸能人が引き起こした死亡事故を見てみよう。これも表にまとめてみた。

 被害程度が全く異なるため、加害者となった芸能人の「心理的影響」や「社会的制裁」を見てみたい。

 まず現在も活躍しているのは、表の上から堤大二郎(59)、大竹まこと(71)、速水けんたろう(58)の3人だ。

 堤の場合はドラマ撮影中の事故だった。当時の報道を見ると、撮影班が安全策を講じなかったのではないかという指摘も少なくなかった。

 大竹は、被害者が赤信号を無視した可能性が存在した一方で、彼は道交法に違反していなかった。救護義務も果たし、早朝まで実況見分に立ち会った。

重い自責の念

 桜井堅一朗(46)──という名前に心当たりがない方もおられるだろうが、桜井氏は当時、フジテレビのアナウンサーだった。

 大学生の時は早大野球部に所属し、ポジションはピッチャー。1997年、フジテレビにアナウンサーとして入社したが、4年目の2001年に死亡事故を起こした。

 ちなみにこの事故は、桜井氏が回転禁止の直線道路で車をUターンさせようとしていた時、バイクが衝突したというものだ。

 伊藤容疑者も千駄ヶ谷の道をUターンしようとした際、事故を起こした。

 桜井氏は2005年にフジテレビのスポーツ局に移動となり、ディレクターを経て現在はプロデューサーだという。

 一方、死亡事故を引き起こしたことが、芸能活動に大きく影響を及ぼしたのが、故・根津甚八さん(1947〜2016)と、フジの局アナからフリーアナに転進した千野志麻さん(43)だ。

うつ病も発症

 まず根津さんが、死亡した67歳男性の通夜に参列した時のことを報じた記事をご紹介しよう。

 スポーツニッポンは2004年7月9日、「根津甚八フラフラ、夫人に支えられ… 事故被害者の通夜に参列、無言で宙見つめ」の記事を掲載した。

《根津は、足元がおぼつかないほど憔悴(しょうすい)しきった様子。この日、所属事務所を通じて報道各社にファクスで「ただひたすら掌を合わせてお詫(わ)び申し上げます」とコメントした》

《足元をふらつかせ夫人に抱えられるようにして後部座席から降りると、沈痛な面持ちで会場入り。焼香を済ませ、深々と親族席に頭を下げた。そのまま席についたが無言で宙を見つめたままだったという。約15分後には報道陣の呼びかけに答えず、終始うつむいたまま会場を後にした》(註:全角数字を半角とした、以下同)

 根津さんは2009年にうつ病を発症。翌10年に芸能界を引退した。15年には一度限りの復帰を果たし映画に出演したこともあったが、16年に肺炎のため都内の病院で死去した。

伊藤容疑者の反省は?

 次に千野さんだが、事故を起こしたのが2013年1月2日。そして同8日には、サンケイスポーツが「チノパン引退も…『仕事再開する気になれない』」との記事を報じた。

《千野アナに近い関係者によると、今回の事故により憔悴しきっており、とても囲み取材などに応じられる体調ではないという。事故後は知人宅に身を寄せたままほとんど外出せず、仕事についても「被害者のご遺族の気持ちを考えると、とても再開する気にはなれない」ともらしているといい、自粛期間は長期に及ぶのは必至。このまま芸能界を“引退”する可能性も出てきた》

 同年12月28日に日刊スポーツが「千野志麻元フジテレビアナウンサー 男性をはねて死亡させた事件で罰金100万円の略式起訴 即日納付」との記事を掲載した。

 内容は見出しの通りだが、この記事を最後に、千野さんは表舞台に姿を見せていない。

 伊藤容疑者は釈放された際、東京湾岸署で報道陣に向かって頭を下げながら、「自分のせいでケガをしてしまった被害者の方々にも、これから、僕自身、一生かけてつぐなっていきたいと思っています」と謝罪した。

 今回、紹介した11人も、基本的には被害者や死亡者、その遺族に対し「一生かけてつぐないたい」と考えていたはずだ。

 果たして伊藤容疑者は、どのようにして反省と償いを示していくつもりなのだろうか。

週刊新潮WEB取材班

2020年11月1日 掲載