11月26日の「七人の秘書」(テレビ朝日)第6話を絶賛する声がネット上に溢れている。この回の主役は韓国人女優のシム・ウンギョン(26)で、生き別れとなっていた父(リリー・フランキー[57])との再会と和解が描かれた。日本アカデミー賞最優秀主演女優の彼女と、最優秀助演男優のリリーの熱演は、演技を超えたとまで言われている。

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「七人の秘書」は、木村文乃(33)ら“影の秘書軍団”が弱者の恨みを晴らす勧善懲悪ドラマだ。毎回、秘書たちの1人が主役となり、理不尽な権力者を懲らしめ、退治するのだが、この日はちょっと毛色が違った。

 ある日、秘書軍団の助けを求めて、八百屋のおばちゃんがやって来る。夫の心臓手術がようやく決まったものの、突然キャンセルされたというのだ。その執刀医こそ“ゴッド・ハンド”と呼ばれるリリー・フランキーだった。だが、彼は政治家の手術を優先して、一般患者をドタキャン。秘書たちがリリーと権力者(岸部一徳)を懲らしめ、めでたし、めでたしとなるところだが……。代わりに描かれたのが、シム・ウンギョンと彼女を捨てた父(リリー)との和解が描かれたのだ。

迫真の演技

 いつもの勧善懲悪を期待する視聴者なら、物足りなさを感じても不思議でないが、SNSでは、絶賛の嵐である。

〈ドラマ「七人の秘書」録画視聴。シム・ウンギョンの演技素晴らしかった!〉

〈シム・ウンギョン、今どうしようもなく尊敬するのはあなたの存在感と演技力。〉

〈サラン演じるシム・ウンギョンさんがめちゃ良かった/リリーさんとのラストのシーンは感動〉

 民放プロデューサーが語る。

「彼女がメインで出番も多かったので、ようやく本来の演技力が見られましたね。これまでの割とおっとりしたキャラクターとは違い、岸部と対峙した時などは殴りかからんばかりの迫力を感じました。ドラマスタート時は、彼女の日本語が上手くないと批判する書き込みも見かけたのですが、今回は台詞など二の次とでも言うような迫真の演技で、それも吹き飛ばしました。今ではむしろ、ちょっとたどたどしさの残る日本語が可愛いとまで言われるようになっています」

 韓国ではトップスターの一人だ。

韓流ブームもないのに高評価

「子役出身で、日本でいえば安達祐実や井上真央といったところでしょうか。『サニー 永遠の仲間たち』や『怪しい彼女』などコミカルな作品からシリアスなものまで出演作は多数で、映画賞も数多く受賞しています。日本でも放送された『春のワルツ』『太王四神記』『ファン・ジニ』(いずれもNHK)にも出演しているので、韓流ファンにはお馴染みかもしれません。また、邦画にも出演しており、昨年、松坂桃李とW主演を務めた映画『新聞記者』では、日本アカデミー賞の最優秀主演女優賞も獲得しました。彼女が授賞式で号泣したのを覚えている方も少なくないと思います。外国人が最優秀主演賞を取ったのは初めてのことです。そして『七人の秘書』では図らずも、日本アカデミー賞の最優秀助演男優賞を受賞しているリリーさんとの親子対決ということになったのです」

 韓国の俳優が日本の連ドラに出演するのは珍しいのだろうか。

「過去には、“冬ソナ”の大御所チェ・ジウが竹野内豊とW主演した『輪舞曲(ロンド)』(06年・TBS)が平均15・9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区・世帯:以下同)の高視聴率を記録しました。他には元東方神起のジェジュンは、瑛太と上野樹里がW主演した『素直になれなくて』(10年・フジテレビ)に出演しました。西島秀俊とキム・テヒのW主演で『僕とスターの99日』(11年・フジ)、イ・ビョンホンが特別出演した織田裕二の『外交官 黒田康作』(11年・フジ)などもありました。チェ・ジウは第1次韓流ブームですが、それ以外は第2次ブームの頃に放送されました」

 今、ウンギョンがこれほど評価されるのは?

「彼女は本当に日本が好きで、一時は日本に住んで、韓国翻訳の第一人者である根本理恵氏から日本語を習っていたそうです。岩井俊二監督の『リリイ・シュシュのすべて』、是枝裕和監督の『誰も知らない』を見て、日本映画にはまり、高校の時にはJ-POPを聞いていたそうです。言葉にたどたどしさはあっても、彼女に真の日本好きを感じる人も少なくないのかもしれません」

 第6話の視聴率は14・6%と上々だった。もっとも、番組最後には、ウンギョンが岸部一徳に取り込まれると思しきシーンが……。今後も要注目である。

週刊新潮WEB取材班

2020年12月3日 掲載