番宣ゼロの凄さ

 フジテレビが12月31日の午後2時45分から、「木梨の輪。」というバラエティ番組を放送したことをご存知だろうか。

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 基本は関東ローカルだったため、番組をご存じない方は相当な数にのぼるだろう。だが、出演者の豪華さは、ゴールデンにオンエアされても全く不思議のないものだ。

 タイトルで一目瞭然だが、木梨憲武(58)の冠番組だ。そしてゲストは佐藤浩市(60)、高橋克実(59)、中井貴一(59)、江口洋介(53)、鈴木京香(52)という面々だ。

 ちなみにゲストのうち、佐藤、高橋、江口の3人は番組の冒頭から登場し、中井と鈴木の2人はサプライズ登場して番組を盛り上げた。

 それにしても、この顔ぶれが年末の特別ドラマなら理解できる。これだけの大物俳優がバラエティ番組で一堂に会するのは滅多にないと言っていいだろう。

 番組は佐藤浩市の還暦を祝い、木梨が事前にゲストに「やってみたいこと」を聞き取り、番組がその夢を叶えるという企画だった。

 例えば高橋克実の希望は「階段を使って東京タワーをのぼる」というものだった。そのため木梨、佐藤、江口、高橋の4人は半ば息を切らしながら階段をのぼり続け、全員が10分台という好調なタイムで“完歩”した。

木梨の幅広い人脈

 Twitterで話題になったのは、佐藤浩市が希望した「体力測定」だった。こちらも同じ4人が全力で垂直跳びや反復横跳びに挑戦する。その本気の表情に、笑い転げた視聴者は多かったようだ。

 ライバルの民放キー局で、バラエティ番組の制作に携わるスタッフは、そのクオリティに脱帽したという。

「とにかく出演者の顔ぶれに驚きました。もっとも実際のオンエアを見ると、内容も非常に良かったと思いました。普段はまず見られない、大物俳優の“バラエティ顔”が放送されているのです。衝撃を受けたと言っても過言ではありません」

 放送エリアは関東ローカル。午後2時45分からの75分番組。この時間帯で、これだけの大物を集めることができたのは“奇跡”に近いという。

「何しろ番宣の要素はゼロです。にもかかわらず、これだけの方々が集まったのは、確かに佐藤浩市さんの人柄もあるのでしょう。しかし、最も大きな理由は、やはり木梨さんの幅広い人脈のなせる技だと思います。ゲストの皆さんは、『憲さんの番組なら出るよ』と快諾したということでしょう」(同・スタッフ)

とんねるずの“タレント力”

 Twitterでの評価は高く、TVerで視聴したというツイートも多い。こんな番組を、1回で終わらせるのはもったいない。レギュラー特番化も現実味を帯びる。

「前例もあります。佐藤さんと中井さん、そしてヒロミさん(55)と木梨さんの4人が出演する特番が、テレビ朝日で制作されていたことがありました。また同局は、木梨さんと水谷豊さん(68)との特番も放送しています。こちらは最新版が一昨年は5月にオンエアされました」(同)

 木梨と交友関係のある大物芸能人を改めて列挙してみると、北島三郎(84)、宇崎竜童(74)、秋元康(62)、三谷幸喜(59)、藤井フミヤ(58)、武豊(51)、森山直太朗(44)──と、これでもごく一部だろう。この幅広さを考えると、特番の“ネタ”が尽きることはなさそうだ。

「石橋貴明さん(59)もスポーツ界に友人が多いことで知られています。もちろんタモリさん(75)、ビートたけしさん(73)、明石家さんまさん(65)といった“BIG3”の交友関係も凄いでしょう。ところが、とんねるずの2人は先輩から後輩まで分け隔てなく仲が良いところがあり、おまけにバラエティ番組でコラボできることが、他の大物お笑い芸人にはない“タレント力”だと思います」(同)

有吉弘行との“差”

 なぜ木梨は、これほど他ジャンルの大物と仲良くなれるのか、謎を解く鍵は“遊び心”だという。

「もちろん木梨さんの人柄が愛されているのは言うまでもありません。それに加えて遊び心に溢れる人です。初対面は仕事での共演でも、部活のノリというか、次第に学生の共同制作のような雰囲気になっていき、それに大物の俳優もミュージシャンも魅せられていくのではないでしょうか」

 似た雰囲気を持つテレビ番組に「有吉の夏休み」(フジテレビ系列)がある。有吉弘行(46)の冠番組であり、彼が過ごすハワイでの夏休みに密着した特番だ。

 2013年から毎年9月に放送されており、今年は1月1日に「有吉の冬休み 密着77時間 in 沖縄」もオンエアされた。

「有吉さんの番組も人気がありますが、出演者は芸人が大半で、それも後輩ばかりという点が物足りないところです。

『木梨の輪。』を見てしまうと、内容の充実度に差があるというのが率直な感想です。視聴率は有吉さんのほうが高いでしょうし、若い視聴者は佐藤浩市さんより、アンガールズの田中卓志さん(44)と有吉さんのカラミで笑うと思います。

 ですが、それでも『木梨の輪。』は、木梨さんしかできない番組であり、だからこそ評価は高いでしょう」

週刊新潮WEB取材班

2021年1月13日 掲載