有吉弘行さんと、夏目三久アナの電撃結婚。本当におめでとうございます。「マツコ&有吉の怒り新党」での微笑ましいやりとりを見てきた視聴者として、思わず「良かったね〜!」と声をあげてしまった。

「怒り新党」と言いながら、番組での三人は温かい雰囲気に満ちていた。それは似たものどうしであることに、それぞれが気づいたからではないだろうか。

 シャイで繊細、反骨心も旺盛。三人とも夢見た場所で一度は敗れ、王道は歩めないと悟った挫折経験がある。毒舌タレント二人と、スキャンダルで追われるようにフリーになった若い女子アナの組み合わせは、相当不安定に思えた。けれども手探りしながらの騒々しいやりとりを重ねるうち、それぞれが互いを気遣う様子が垣間見えるようになった。有吉さんが過激な発言をした時はマツコさんが茶化して落とし、夏目アナが感極まった時は有吉さんがコメントを引き取る。下ネタが過ぎる時は夏目アナがズバッと切り捨てる。自分の身を削りながら、残る二人のための場所を作り出そうとする切実さとまっすぐさ。単なるなれ合いではない、大人のチームワーク。番組内ではよくマツコさんが「二人つき合っちゃえば?」とうながしていた。番組風に言えば、今回の結婚にあたっての三大アシストの一つだったと思う。

 ちなみにマツコさんが有吉さんに薦めた女性タレントがもう一人いる。SHELLYさんだ。彼女もまた、明るさの裏にシャイネスと繊細さ、反骨心を感じる人である。有吉さんが認める女性の条件を、マツコさんも感じ取っていたのだろう。

 今やNHK含めキー局5局全てに冠番組を持つ有吉弘行さん。もはやMCという役割以外に、売れる女子アナや女性タレントのリトマス紙のようである。「有吉の壁」よろしく、アシスタントを務める女性たちに下しているだろう○×は、そのまま世間の人気とも不思議とリンクしている気がする。前述のSHELLYさんもバラエティの常連となったが、ブレイクのきっかけは「有吉さんの番組で無茶振りに応えていたから」と語っていたほどだ。

みちょぱ、水卜アナに佐藤栞里さん……バランスよりも不安定さを信じる審美眼

 夏目さんやSHELLYさんに限らず、有吉さんが信頼を置くのは「恥じらい」と「覚悟」がある女性ではないか。爪痕を残そうと出しゃばったり、他人にマウントを取る人は論外。かといって自分や大御所に媚を売る甘え気質の女性にも手厳しい。乱暴なフリに一瞬顔をしかめる常識を持ちながらも、一生懸命にリアクションを見せる不器用さがある女性との相性が良いように思える。

 例えば「ヒルナンデス!」「有吉ゼミ」での水卜麻美アナ。有吉さんに「子豚ちゃん」といじられたりしながらも健気に立ち向かっていた。でも嬉々として前に出てきたり、タメ口で懐に入るようなテクニックは使わない。あくまでもアナウンサーという立場を崩さず進行した。なお「有吉ゼミ」の始まった年に、彼女は好きなアナウンサーランキング初の首位を獲得し、その後殿堂入りしている。

 最近では「有吉の壁」の佐藤栞里さんがいる。ふんわりした容姿と喋り方、何よりよく笑う姿が印象的だ。変なツッコミをすることもなく、出演者に光が当たるよう心を砕いているのがよくわかる。彼女も「有吉の壁」出演後、「笑ってコラえて!」のサブMCや「王様のブランチ」のMCに抜擢された。

 親交の深いみちょぱこと池田美優さんも、「占ってもいいですか?」のMCに続いて「スッキリ!」のコメンテーターが決定。見た目はギャルでも、地に足のついた発言や落ち着いた態度は、やはり有吉さんの女房役たちの系譜に乗っているように見える。

 かつて夏目アナとの対談番組で、芸人でも女性でもダメな人が好きと答えていた有吉さん。容姿や要領の良さで世渡りする人ではなく、不格好にもがく常識人たちを評価しているのではないだろうか。派手さはなくとも普通であることの良さ、それでも普通の枠を超えようと頑張る姿勢。だから世間の空気とブレることなく、ネクストブレイク女性を見出すことができるのかもしれない。

 先の対談では、「いい女はどこにいる?」「美人っていう意味じゃなく、ちゃんとした女ってこと」と問いかけていた。はからずも目の前にいたわけだが、有吉さんもやはり恥じらいと覚悟を持った「ちゃんとしたいい男」なのだろう。報道後のラジオでは、さらっと結婚に触れた後は大食い対決やらリスナーからの下ネタ投稿やら「通常運転」だった。浮かれて長々と自分語りをするような無粋な真似はしたくなかったのだろう。夏目アナも、生放送での報告は短かった。マツコさんも、ネットニュースで知ったという姿勢を崩さず、お祝いコメントも会社発信だ。かつてマツコさんが番組内で、「こういう茶番をやれちゃう私たち三人ってね、いい人ってことよ」としみじみ言った言葉がよみがえった。

冨士海ネコ

2021年4月7日 掲載