片寄涼太(GENERATIONS from EXILE TRIBE)×作詞家・小竹正人 往復書簡40

 コロナ禍に始まってコロナ禍に終わることになった往復書簡。小竹の非凡な日常が明かされる。

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拝啓 片寄涼太様

 2021年4月某日。

 朝6時半に起きる。起きてすぐに弁当作り。いけしゃあしゃあと自分で言わせてもらうが、私は料理が得意だ。けれど、誰かのためにごちそう的なものを用意してそれをふるまうのは趣味じゃない。私が好きなのは「弁当作り」なのである。

 弁当作りは作詞に通ずる。小さな弁当箱の中に栄養バランスを考慮しながらも彩りよく自分の作ったものをみっちりと詰めるという作業が、音符たちに独自の言葉を乗せて1曲の歌詞を完成させることにそっくりなのだ。やり終えた後に気持ちのいい達成感があるところも似ている。

 今日の弁当は、私の家の目と鼻の先に住んでいるHIROさんの子供が幼稚園に持って行く。こんなふうに私はたまにお子様弁当作りを自ら申し出る。最近気づいたのだがこれが今の私の最高のストレス解消法(毎日の日課や任務になったら絶対に楽しめないが)。

 ちなみに、弁当作りの際の味見やつまみ食いが私の朝食。

 10時前に洗濯と軽い掃除を済ませ、そこから昼まで作詞。きっちりと部屋が片付いていないと私は執筆ができない。しかも執筆集中力は2、3時間しかもたない。

 今日書いた歌詞はロマンティックがダダ漏れのラブソング。ふと「最近、救いようのないドロドロの失恋の歌詞を書いてないな」と思う。小竹正人の代名詞のような病みソング(自虐含んでます)をそろそろ書きたい。

 午後1時、風呂に入り、腹が減ったので今朝の弁当のおにぎりとおかずの残りを食べる。またまたしゃあしゃあと言わせてもらうが……美味しい。私は自分が作った甘すぎる卵焼きや紫蘇のふりかけをまぶして塩辛くした茹で野菜が大好きだ。料理が得意と豪語しておきながら何だが、私の作るものは万人受けしない味なのかもしれない。しかも私、昔から温かい食べ物より冷たい食べ物が好き。特に白米。炊き立てより冷や飯の方がずっと旨いと思う。

 食後、読書でもしようと思った矢先、涼太から往復書簡の返事が来る。これが涼太からの最後の手紙。今までの涼太からの手紙の中で最もグッとくる内容だったこともあって、この連載が終わるのが無性に淋しくなる。

 しかし、涼太が書いてくれた昔の私とのエピソードをどれひとつ覚えていない薄情な私。私はなぜこんなにも過去の自分の言動の記憶をすぐに喪失してしまうのだろう。

 午後3時ちょっと前、上戸彩ちゃんとその子供(私の天使)がふらりと我が家に来る。完食してくれた空の弁当箱を持って。

 我が家に来た途端、「おだちゃん、ハロハロを見せて」と言う天使。すぐさま、録画してある「Eダンスアカデミー」(NHK Eテレで放送中)を再生。

 私が作詞してGENERATIONSが参加してくれたこの番組のテーマソング『HELLO! HALO!(feat. DANCEARTH)』(通称ハロハロ)の初オンエア以来、すっかりこの曲の虜になった天使。我が家に来ると必ず見て聞いて歌って踊っている。

 今日初めてこの曲のテレビパフォーマンスを見た彩に、「ママも一緒に踊ろう!」とレクチャーし始める天使。2人でテレビの前で踊っている。ときどき「そこはそうじゃないよ」とママにダメ出ししているのがおかしくて、笑いをかみ殺しながらこっそり動画を撮る私。ひとしきり踊った後、2人は風のように帰って行った。

 それにしても、天使が夢中になってくれる曲の歌詞を書かせてもらえるなんて、作詞家冥利に尽きます。そう言えば「Halo」という単語には「天使の輪」という意味があるんです。

 夕方。近所の100円ショップに消耗品の乾電池やらビニール手袋を買いに行く。ついでに青果店でイチゴを買い、それを持ってHIROさん宅へ。夕飯を一緒にいただく。食後は、ひたすらHIROさんの子供たちと遊ぶ。

 午後8時。ヘトヘトになったところで帰宅。寝るまでダラダラ。

 これが、ごくごくありふれた私の日常。もしかしたら他の人には全然平凡ではないのかもしれないが、私にとってはこれが平凡。

 非凡を求め続けてたどり着いた平凡、それが私の幸せである。

 さあ、明日は涼太との初対談の日(詳細は追々)。久しぶりに直に会って、色んなことを話す予定。間違いなく話が弾みすぎて、間違いなく世間には公表できないような話題も出て、担当の人が困るんだろうなあ。これ、私がインタビューを受けたり対談したりしたときのあるある。

 あっ、涼太。明日、この往復書簡の最終回用に君の写真を撮るからね。最後の写真だから、とっておきの笑顔を見せてもらおうじゃないか。

 それじゃ、「また、アシタ」

小竹正人

敬具

片寄涼太 Ryota Katayose
GENERATIONS from EXILE TRIBEのボーカル。1994年8月29日生まれ。大阪府八尾市出身。祖父と父が音楽教師で、若いころからピアノに親しむ。2012年にデビュー。14年にドラマ「GTO」で俳優デビュー。19年に映画「午前0時、キスしに来てよ」で橋本環奈とW主演。GENERATIONS、25枚目のシングル「雨のち晴れ」が発売中。

小竹正人 Masato Odake
作詞家。3月10日生まれ。新潟県出身。東京・本郷高校、カリフォルニア州立大学卒業。 作詞曲「Unfair World」で第57回日本レコード大賞受賞。「花火」(三代目J SOUL Brothers from EXILE TRIBE)など、数百曲を手掛けた。小説は『空に住む』『三角のオーロラ』(共に講談社)、歌詞&エッセイ集に『あの日、あの曲、あの人は』(幻冬舎文庫)。2017年から、自身の歌詞をモチーフに、三池崇史、行定勲、河瀬直美、石井裕也らが映像化する「CINEMA FIGHTERS project」のコンセプトプロデューサーを務める。

2021年4月25日 掲載