〈会社の同僚から歓迎会に誘われるものの、誘いを断り足早に退社する。その理由は“ソロ活”。好きな時に好きな場所へ行き、ひとりの時間を楽しむ〉――。4月2日に始まったテレビ東京のドラマ「ソロ活女子のススメ」の主人公は“我が道”を行く個性派である。演じるのは江口のりこ(41)。彼女が育った家庭環境も、まさに「個性的」だった。

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 昨年放送の「半沢直樹」で、立憲民主党の蓮舫氏を髣髴(ほうふつ)させる「強面女性大臣」を演じ、改めて脚光を浴びた江口。現在、ドラマをかけもちし、CMにも出演する売れっ子となっている。

 失礼ながら一際目を惹(ひ)く美貌を誇るわけではなく、派手な芝居で売っているわけでもない。地味だが滋味溢れる女優。そんな江口は異色の経歴の持ち主として知られる。中卒、単身で上京し住み込みで新聞配達をしながら、劇団「東京乾電池」の研究生生活を送り、22歳で映画デビュー……。

 彼女は10歳から上京するまで兵庫県姫路市で暮らしていたのだが、中学校の同級生はこう振り返る。

「私とトントン(江口のあだ名)は同じ陸上部でしたが、彼女は当時から演劇が好きで女優さんに憧れていました。学校の図書室にあった『男はつらいよ』の本を愛読し、「私も寅さんみたいに生きたい」と、よく言っていましたね」

 実際、中学時代から「自由気儘」を実践していたようで、陸上部の顧問曰く、

「江口は度々、授業からエスケープしていました」

 フーテンを地で行くような「常識」に囚(とら)われない生き方の原点はここにあったわけだ。寅さんを愛する江口が演じる「ソロ活女子」。まさにハマり役と言えよう。

娘の後を追うように…

 また、奔放な江口を育てた母親も一風変わっていた。

「こっちに引っ越してきた時、トンちゃん(江口)のお母さんはすぐに屋根裏をリフォームして、自分の部屋に改造していました。新築の家なのに、お母さんが自らノコギリを持ってリフォームしたんですって」

 と、江口家の姫路市時代の近隣住民は回顧する。

「お母さんはタロット占いに凝っていて、私たち近所の人のこともよく占ってくれました。トンちゃんが東京に行った時は、『あの子、4畳半の狭い部屋に住んでいて、キッチンのシンクで体洗ってんのよ、ハッハッハ』と、あっけらかんとしていましたね」

 しかも、江口は5人きょうだいの4番目なのだが、女優を夢見たその娘の後を追うように母親も、

「『東京に出て本格的にタロット占いをやろうと思うの』と言い、本当に東京に行ってしまいました」(同)

 結果、今は都内で占い師として活躍中だ。彼女に占ってもらったことがある20代の女性が言うには、

「『ひとりでネイルに来たついでに占ってもらおうと思って』と言ったら、江口さんの母親だとは名乗らないものの、『流行りの“ソロ活”だね! “ソロ活女子のススメ”、今やってるね〜』と嬉しそうでした」

 そして女性にこんなアドバイスを送ったという。

「人生は、何か信じられるものを作っておいたほうがいい」

 江口にとっての「教祖」、それは車寅次郎に違いない。

「週刊新潮」2021年5月6日・13日号 掲載