5月13日にエイベックスの3月期決算が発表された。東京・南青山の本社ビルを売却した特別利益で大きな黒字を叩き出したものの、音楽事業を中心とする本業の売り上げは「前年比40%減」という惨憺たる結果。だが、松浦勝人会長(56)は、まったく意に介してない様子である。あの“裏アカ”で、今も絶好調に“愛車自慢”を続けているのだ。

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毎日のようにスーパーカーを”爆買い”

 まずは先日話題になった、松浦会長の“インスタ裏アカ騒動”を振り返ろう。「デイリー新潮」は5月10日に、「エイベックス松浦会長 庶民を見下す『“フェラーリ爆買い”裏インスタ日記』の波紋」という記事を配信した。松浦氏は、Instagramの公式アカウントで5万9000人ものフォロワーを持ちながらも、「変な車おじさん」という名の裏アカウントを用い、毎日のようにスーパーカーを買い漁る“放蕩日記”を綴っていたのであった。

 例えば、ある日の投稿。

〈今日もなんとなく2台買っといたわ。ははは。嫌味ややつだろ! 嫌われたい! #porchegt3 #porchepanameraturbo #porche #あんまり欲しくないけどパナメーラ売りつけられた #断る勇気のない客なんだ #明日もなんか買おうかな。〉(4月12日 ※原文ママ)

 彼が2台買ったというポルシェは、いずれも1台3000万円以上もする超高級車である。5億円もの値がつく「ラ・フェラーリ」を買った日は、

〈安いから買っといた。いわゆるただの衝動買い。 #laferrari #Ferrari #ラフェラーリ #フェラーリ #日本一嫌な感じのおれ #スーパーカー好きと繋がりたい〉(4月5日)

 こんな具合に、このコロナ禍の最中、松浦氏は1カ月くらいの間に10台近いスーパーカーを爆買いし、さらにブランド物や高級寿司などに湯水のごとく大金を注ぎ込む日常を明かしていたのだ。

「フォロワーが増えすぎて困ります」

 言うまでもないが、金持ちが自分の金で何を買おうが自由である。問題視されたのは、松浦氏の庶民を見下すような稚拙極まりない物言いであった。同時に、世間からは社員たちへの同情も集まった。業績低迷が伝えられるエイベックスでは、昨年末に100人の希望退職者を募集するリストラを敢行したばかりだからである。ある社員が言う。

「私たちが頭に来ているのは、報道が出ても居直るようにインスタを続けていることです。しかも、あの人は明らかに騒ぎになって喜んでいます」

 件の記事が配信され、社内がてんやわんやしていた当日も、彼はGUCCIで買い物する優雅な暮らしをアップしていた。この日、このアカウントは数時間で、1600人足らずだったフォロワーが一気に1万6000人と10倍増する事態に。そんな中、松浦氏は大ハシャギで殺到するコメント1つひとつにご丁寧に返信し、

〈公共性のないニュースですね。フォロワー数が増えすぎて困ります〉

 とまで言ってのけていたのだ。

「実は、会長には今回の報道を待ち望んでいた節があるんです。なぜなら、彼はこの裏アカに、わかりやすい“ヒント”をちりばめていた。例えば、裏アカでお気に入りのド派手なGUCCIのサングラスを、顔が見えないようなカットでアップしていましたが、本アカでも同じものをかけて堂々と登場しています。また、日本で数人しか所有できないようなスーパーカーも、本アカでは上品に紹介されていた。鍵もかけていなかったので、随分前から私たちにはバレバレだったのです」(同)

走り屋のように公道を爆走する動画

 社員たちの気持ちも知らずに、松浦会長は今もこの裏アカにご執心だ。報道翌日の11日には、推定価格1億5000万円のマクラーレン・セナの車体をなめるように撮影した動画をアップ。翌12日には、〈絵でなく、音だけを聞いてください!〉と、自慢のラ・フェラーリで、走り屋のように爆音を響かせながら公道を走行する動画を投稿。その後も、毎日のように愛車のパーツやらサングラスやらの画像をせっせと上げている。

 一方、会長がこんな子供じみたお遊びに夢中になっているなか、黒岩克巳社長以下、経営陣は厳しい1日を迎えていた。5月13日の3月期決算発表である。今年はコロナ禍のため、動画配信となった決算説明会で、黒岩社長は苦渋の表情を浮かべながらこう述べた。

「ライブイベントの開催自粛が大きな要因となり、前年と比較して、売り上げ、営業利益共に大きなマイナスとなりました」

売れるコンテンツがない

 その後、売上高が1354億円から815億円に、営業利益も40億円の黒字から62億円の赤字転落という惨憺たる結果が明かされた。主な原因は、コロナ禍でライブイベントの自粛に追い込まれ、グッズ販売などにも大きな影響が出たこととのことだが、前出の社員はこう語る。

「コロナだけでここまでガクンと減りませんよ。説明会ではファンクラブの会員数が1年で89万人から71万人に減ったことも明らかにされました。安室奈美恵や華原朋美、浜崎あゆみが売れていた黄金期は過ぎ去った過去。今、ウチには売れるコンテンツがないのです」

 昨年売却した南青山の本社ビルで290億円もの利益が出たため、最終利益は128億円と見栄えだけは立派な結果となったが、決算書を見た専門家はこう語る。

「自己資本比率は30%を超えると良いと一般的に言われていますが、本社ビル売却の特別利益が効いて50%を超えています。財務状況だけで見ると、まったく危ない会社ではありません。ただし、今後も今季のような本業での赤字が続き、資産を取り崩していくような展開となれば、経営が傾いていく恐れはあります」(税理士で立正大学法制研究所特別研究員の浦野広明氏)

 織田信長は家臣にも“うつけ者”と思わせ周囲を油断させることで、天下統一の一歩手前まで上り詰めたという。松浦氏の酔狂な暮らしも秘策あってのことなのか。はたまた、単にやる気がなくなっただけなのだろうか――。

デイリー新潮取材班

2021年5月20日 掲載