ジュリーこと沢田研二(72)はかつて、会場が満席でなかった際に、ライブをドタキャンしたこともあったほどの「こだわりの男」。だからなのか、今度は100%収容の“密”ライブを東京で開催。以下はその模様の実況中継である。

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 有楽町の東京国際フォーラムは5月28日、“静かな熱狂”に包まれていた。

「コロナだから行くか行かないか悩んだわ。でも禁断症状が出てきて……」

 と、60代の女性ファンはライブ開催に歓喜していた。

 緊急事態宣言下、都内の大規模イベントは収容定員の50%を上限とするなどの「お達し」が出ているが、約5千人収容の会場は、最前列のみをコロナ対策で空席にして他はほぼ満席。

 クラスター覚悟の開催か。ご本人に意気込みを伺いたかったものの、残念ながら、窓口となっている事務所から取材には応じられないとの由。音楽評論家で尚美学園大学副学長の富澤一誠氏がジュリーの心中を推察する。

「沢田さんは自分の居場所はテレビよりステージの上だと思っているはずです。コロナ禍で若いミュージシャンがライブを開催できない中、率先してやることで風穴を開けようという狙いがあったのでしょう」

 ライブ当日、颯爽と登壇した上機嫌のジュリーはMCでこう語った。

「『週刊新潮』が(取材依頼の際にライブ開催を)勇気ある行動と言ったけど、そんなことない。偶然でこうなったわけで、何も悪いことはしていません。静かな曲なら100%(収容)でやることは結構です、と言われて」

 チケットがほぼ売れた後、緊急事態宣言が延長され、ライブ当日が宣言期間中にかかると判明。そこで“お上”に相談したところ全席客入れにOKが出たようなのだ。

 ステージ上ではジュリーとギタリストの二人のみという、密を避けた構成。声援も禁止された静かな客席を前に、「TOKIO」や「時の過ぎゆくままに」など18曲を熱唱したジュリーは、

「秋にもまたライブを」

 と語って、終幕となった。

 マスク姿で来場していた往年の男性ファンが、

「ジュリーは毎年新譜を出していて“ライブこそわが命”。歌声は健在でした」

 都は宣言下、劇場には時短を求め、映画館は休業せよと歪(いびつ)な要請を続けた。本人が意図したかはともかく、今のライブのあり方として一石を投じたことは間違いない。

「週刊新潮」2021年6月10日号 掲載