4月スタートの連続ドラマがいよいよ大詰めを迎えている。なかでも評価が高いのが、北川景子主演のラブコメディ「リコカツ」(TBS系・毎週金曜22:00〜)だろう。北川といえばこれまで「謎解きはディナーのあとで」や「HERO」第2シリーズ(ともにフジテレビ系)などでヒロイン役を好演し高視聴率となっているイメージが強いが、彼女の単独主演作ではどうか。平均視聴率のベスト3とワースト3作品(関東地区・ビデオリサーチ調べ・世帯視聴率)をご紹介する。

 1位に輝いた作品は2016年7月クール放送の「家売るオンナ」(日本テレビ系)で、平均視聴率は11.6%。本作で北川が演じたのは、テーコー不動産新宿営業所に勤務し「私に売れない家はありません!」と豪語する天才的な不動産販売員・三軒家万智だった。万智は数々の謎をまとい、誰にも媚びず、独特の哲学で家を売りまくる。神出鬼没で、突然背後に現れたり、曲がるときはほとんど直角だったりと行動パターンも特異。その生き方も常識に縛られない。会社では浮いているが、お構いなしである。当然、同僚たちは彼女に振り回されるが、次第に万智のやり方や働き方に影響を受け、感化されていく……というストーリーだった。

 彼女のコメディエンヌぶりが開花した1作である。部下に仕事を指示したあとに発する口癖の「ゴー!」や、顧客が家を購入すると決めたあとに発する「落ちた」という心の声がとにかく印象的だった。17年5月には続編となる「帰ってきた家売るオンナ」がスペシャルドラマとして放送された。こちらの平均視聴率は13.0%だった。

高視聴率ナンバーワンはあの作品

 高視聴率の同率第2位は、本作の第2シリーズとして19年1月から放送された「家売るオンナの逆襲」。テイストはそのまま、前シリーズとスペシャルのその後が描かれている。

 最大の注目は、万智の宿敵となるフリーランスの不動産屋・留守堂謙治(松田翔太)が登場したことだろう。この留守堂、整形し名前を変えているのだが、正体は万智の小学校時代の同級生だった。家購入勝負を挑まれた万智が逆転で契約をさらわれるなど、彼女が初めて敗北を味わった相手となった。大きなキーバーソンとなったこともあり、第1シリーズとほぼ変わらない平均視聴率11.5%を記録している。

 この「家売るオンナの逆襲」と並び11.5%をマークしたのが12年10月クールに放送された「悪夢ちゃん」(日テレ系)だ。恩田陸の小説『夢違』を原案としたSF学園ファンタジー作品で、予知夢が題材となっている。

 北川が演じる小学校教師・武戸井彩未は、教室や職員室でいつも笑顔の“良い先生”でいるが、内心では周囲の人間に悪態をつく腹黒い本性を持っている。そんなある日、担当する5年2組に悲惨な未来を予知する悪夢を見ることができる古藤結衣子(木村真那月)が転校してきた。そこから彩未の生活が一変していく。

 本作は日テレ系列の連続ドラマ初出演にして初主演作でもある。発生する謎を夢で解決する展開がとにかくユニークで、結衣子の見る悪夢によって、生徒に無関心だった彩未が、心を取り戻すようになっていく展開も見事。14年5月には「悪夢ちゃん The 夢ovie」として映画化され、公開前には「悪夢ちゃんスペシャル」も放送されるなど、スマッシュヒットとなった1作だ。

夫DAIGOと出会った作品だが…

 ここからはワースト3を紹介しよう。まず第3位は北川が連ドラの初主演をつとめた記念すべき作品で、07年10月クールの「モップガール」(テレビ朝日系)である。

 加藤実秋の同名小説が原作で、演じるのはウェディングプランナーから葬儀部門の特殊清掃課に左遷させられた長谷川桃子。彼女は遺品に触れると時間を遡る“タイムリープ”という能力を身につけ、戸惑いながらも死ぬ運命にある人を助けるために奔走する。

 本作は原作との相違点がかなりある。大きく変更されたのがヒロイン・桃子の持つ能力だ。原作では死者が残した念やメッセージを感じ取る設定で、死者を救うのではなく、死の真相究明に当たるストーリーだ。ドラマでのタイムリープ能力で死者を救うという流れは03〜05年にかけてアメリカで放送された「トゥルー・コーリング」というドラマと類似していた。もっとも、金曜23時台という時間帯にも関わらず、平均視聴率10.2%を獲得。ワースト3でも二桁をマークしている点はさすがだ。

 第2位は11年1月クールの「LADY〜最後の犯罪プロファイル〜」(TBS系)だ。警視庁捜査一課犯罪行動分析室に勤務する捜査官たちの活躍を描く警察ドラマで、北川が演じたのは新人プロファイラーの香月翔子。協調性に乏しく周囲には高圧的な態度で臨むものの、根は他人思いの優しい性格という難しい役どころであった。

 北側にとってゴールデンタイムの連ドラ初主演作であり、夫であるDAIGOとの出会いとなった作品なのだが、平均視聴率は9.4%と二桁割れ。各話のゲストが素晴らしく、猟奇的な犯人を演じる俳優たちの実力が感じられたものの、途中からストーリーが失速気味になってしまった感があったのが視聴率に響いたのかもしれない。

 ワースト1の作品は15年7月クールに放送された「探偵の探偵」で、平均視聴率は8.1%。フジ系の連ドラ初主演作だった。妹をストーカーに惨殺された過去を持つ女探偵が、妹の死に関係した探偵業者を見つけ出すために“探偵を探偵”するというストーリーだ。北川が演じた主人公・紗崎玲奈は物憂げな表情と冷ややかな態度、すわった目つきが特徴で、滅多に笑わないうえ、無駄口も叩かない超クールな役柄であった。

 本格アクションにも初挑戦し、本作で第1回コンフィデンスアワード・ドラマ賞主演女優賞を受賞したほどの力作。にも関わらず数字が伸び悩んだのには、あまりにも“シリアス”で“バイオレンス”すぎる展開が観る人を選んでしまったためだと思われる。それでも北川景子のカッコよさと切なさの両方を堪能できる貴重な作品で、ハマリ役であった。特に最終回での真犯人との対決シーンの演技は鳥肌もので必見である。

 結果的に二ケタを割った連ドラ主演作は2本のみ。一方、上位3作品はすべて日本テレビ系のドラマであった。「リコカツ」は果たして……。

上杉純也

デイリー新潮取材班編集

2021年6月18日 掲載