6月11日に公開されたアニメ映画「漁港の肉子ちゃん」(渡辺歩監督)の宣伝に、企画・プロデューサーを務めた明石家さんま(65)が奔走している。製作は吉本興業で、どこのテレビ局も関わっていないから、どの局でも宣伝できるのが強み。だが、情報番組のスタッフたちは“お笑い怪獣”の登場に戦々恐々なんだとか。

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 西加奈子の同名小説に惚れ込んださんまが、企画・プロデュースしたという今回の作品。アニメーション制作は世界的にも名高いSTUDIO 4℃。声の出演は、さんまの元妻・大竹しのぶ、キムタクの娘・Cocomi、マツコ・デラックス、吉岡里帆、花江夏樹、さらに宮迫博之と話題性も十分である。とはいえ、5月の完成披露会見で最も目立ったのは、さんま自身だった。あるバラエティ番組のスタッフは言う。

「出演者の誰よりも喋りが立つのがプロデューサーですからね。人生初の企画・プロデュース作品ということもあって力が入っています。会見では、さんまさんと大竹さんの元夫婦ネタもあるから、とにかく面白かった。どの局の情報番組もこの時の映像を使っていました」

スタッフが緊張

 6月に入ると公開に先駆け、ローカル局を中心に“特別番組”が放送され、公開が近くなると朝の情報番組にもVTRで出演した。6日には、間寛平の舞台にサプライズ出演して、映画宣伝も行った。ちなみに予定された10分出演は30分になったとか。

 12日の舞台挨拶も、当然のようにさんまプロデューサーは舞台に上がった。さらにこの日は「王様のブランチ」(TBS)にも、初の生出演までしたのである。

「バラエティ番組や情報番組に俳優が出演する時は、映画やドラマの宣伝というケースが多い。番組スタッフとしては、滅多に出てくれない大物、人気者が出てくれることは大歓迎ですから、映画の公開予定などを見つつ、バラエティ班からオファーすることもあります。もっとも、さんまさんの場合、バラエティではベテラン中のベテランですし、テレビのことも知り尽くしていますからね。『ブランチ』のスタッフは、歓迎するというよりも緊張したでしょう」

「ブランチ」の放送時間帯は9時30分から14時まで。総合司会の佐藤栞里はじめ、藤森慎吾(オリエンタルラジオ)、児嶋一哉(アンジャッシュ)、ニッチェ(江上敬子、近藤くみこ)、映画担当のLiLiCoらがレギュラー出演している。さんまが登場したのは10時50分だった。

知らんがな!

さんま:今日はプロデューサーとして今日は来てるから、(プロデューサー風に)栞里はさぁ〜。

――そこへ藤森が割り込もうとするが、

さんま:ごめん、吉本から「(藤森とは)しゃべらんとけ」って……。

藤森:(吉本を)辞めたらダメなんですか!

――構わず、児嶋のほうを向いて、

さんま:ほんであちら? 児嶋かよ!

児嶋:児嶋だよ! やり方が違う。全然プロデューサーっぽくないじゃないですか!

――一通りレギュラー出演陣の顔見せを済ませると、映画の紹介VTRが流され、ナレーションが入る。

ナレーション:制作の舞台裏や作品への思いを、この後たっぷりと語っていただきます。

さんま:たっぷりと語っていただくって、(腕時計を見つつ)これ、2時までですよね。

――スタジオの出演者たちが全員、手を振って“違う違う”と否定する。

LiLiCo:このコーナーだけにしてもらっていいですか。

――ようやく映画の話に戻り、司会の佐藤が映画を見た感想を述べる。

佐藤:めちゃくちゃ笑って、めちゃくちゃ泣きました!

さんま:まあねぇ、本人前にしたら、そう言いますよね。

ニッチェ江上:宣伝する気あるの?

佐藤:なぜ今回、アニメ化を?

さんま:知らんがな!

――そこへカンペが目に入り、話題が逸れる。

児嶋:さんまさん、動いてるものに反応しちゃうから、(みんな)動かないで!

 一向に映画の話題に移ろうとしないのである。LiLiCoも「『ブランチ』じゃないみたい」と言っていたが、まさに“さんま劇場”と化していた。

「こうした宣伝に俳優さんを呼んだ場合、せいぜい出演は15分がいいところ。口下手な俳優さんなら10分というのが相場でしょう。あくまで宣伝ですからね。ところが、この日のさんまさんは、なんと30分もスタジオを乗っ取った。せっかくさんまさんに出演してもらうのだから、短くては失礼だし、もったいないと思ったんでしょう。想定内にせよ、冷や汗を流したスタッフがいたはずです」

 さんまの収録は長いというのは有名だが……。

「さんまさんのレギュラー番組のスタッフなら、気心も知れていますし、収録が長くなるのはいつものことと落ち着いているでしょう。しかし、『ブランチ』は生放送ですし、さんまさんが出演するのは初めてですからね。彼が大物であることも、喋りが上手いことも重々承知でしょうが、慣れないスタッフにとっては戦々恐々だったでしょう。なにしろ、自分が出演した番組は必ずチェックすると公言している“お笑い怪獣”なのですから。VTRを交えた構成で、MCとこんなやりとりをしてほしい、こんなテーマで喋ってほしいと、予定していた通りに話が進まなければ、尺が足りない、構成がめちゃくちゃになる……と思ったスタッフもいると思います」

 面白ければいいのでは?

「もちろん楽しめるテレビマンは多いのですが、中にはそれを面倒だと思う人もいますからね。実は、番組を乗っ取られるとか、さんまさんは大物なので編集が面倒くさいといった理由から、さんまさんNGと言い出す番組もあるのです。すでに公開された作品なので宣伝活動は減るでしょうが、それでも『さんまさん以外でお願いします』という番組が出てくるかもしれません」

 この日の夜、「ヤングタウン土曜日」(MBSラジオ)に出演したさんまは、こう呟いた。

さんま:だいたい、寝ている時間ですから、9時半というのは。だいたい、(朝の)6時、7時に寝ますからね。番組にはちょっと、迷惑かけたかもわかりませんけども。朝は、あんまりキレキレじゃないからね、昔から……。

デイリー新潮取材班

2021年6月16日 掲載