「アナウンス部署改善委員」。先日6股交際が発覚した、TBS小林廣輝アナの自己PRにはそう書かれている。SNS企画もやっていたとのことだが、当の本人がインスタでナンパをしていたことが明らかに。そのインスタでのプロフィールには「ニュース司会者」とあった(現在は削除)。なんともたいそうな自己紹介に見えるが、肩書がとにかく好きなブランド主義なのだろう。承認欲求の強さの表れとも言える。

「ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」で入賞した慶應ボーイ。在学中にはサッカー同好会で全国優勝を果たし、ミスター慶應コンテストでも準グランプリに。そしてTBSアナウンサーとして採用され、元アイドルの女子アナと交際。彼の経歴は、高スペックのスタンプカードのようである。まさかこんなところで、ゲスな無責任男という烙印が押されるとは思ってもいなかったに違いない。

 キー局アナウンサーを目指す学生が、本気でアナウンスをしたいわけではないことは今や誰もが知っている。有名タレント並みの知名度と収入を得たいが、下積みから芸を磨くつもりはない。そういうミーハーな男女の最高峰はフジテレビだろうが、近年のTBSはなかなか「穴場」だ。どんどん有名どころがフリーになり、安住紳一郎アナ一強状態。そのアナウンサー層の薄さ、特に男性アナ層の薄さは、ライバルの少なさと同義でもある。野心に燃え、自分の要領の良さを自覚している小林アナにとっては、ちょろい職場に見えたことだろう。そして今までの彼の行動力を見れば、安住アナ級の人気アナになることも、全くの夢物語とは言い切れなかった。

 しかし小林アナのロールモデルは、安住アナではなかったのは確かだ。どちらかといえばフリー転身組の女子アナたちではないだろうか。青木裕子、小林麻耶、田中みな実、宇垣美里。みなルックスを武器に人気を博し、有名人との交際で名前を大々的に売ってフリー転身というところまで同じだ。その後はそれぞれのやり方で、メディアをにぎわせ続けている。フリーアナウンサーといっても、アナウンスの仕事は正直多くはないように見える。でも在局中の女子アナを上回る、注目と人気を集め続けている。

 タレント並みの人気を備え、自分の名前で稼ぐOGたちの「成功法則」。それは承認欲求が強い小林アナにとって、まぶしく見えたことだろう。これまでの輝かしい経歴を思えば、こんなスキャンダルで傷がつく人生なんて彼のプライドが許せないはず。今回の報道に対して、アナウンス部署改善委員たる本人のコメントは出ていない。おそらくアナウンサーとしての再起より、第二の場所で華々しく出る機会を探っているのではないだろうか。

承認欲求の高い若者世代には不向き? イジられてナンボの男性アナ文化

 彼がアナウンサーに見切りをつけると思う理由はもう一つある。男性アナの「イジられ」文化である。

 若くて可愛ければ芽が出やすい女子アナと違い、男性アナが目立つのは難しい。女子アナのように、コスプレやダンスをしたところで話題になるとは限らない。むしろ、チャラチャラするなと猛批判を浴びるだろう。かといって、きちんとニュースや中継をこなしていても、お茶の間に覚えてもらえない。

 積極的に自分をアピールすることが嫌がられる彼らにとって、唯一のチャンスが共演者に「イジられ」ることだ。普段の真面目な姿とのギャップを、嫌味なく見せなくてはならない。

 安住アナしかり、日テレの桝太一アナしかり。フジテレビのアミーゴ伊藤こと伊藤利尋アナや、フリーなら羽鳥慎一アナもそうだろう。みな毒舌タレントやお笑い芸人にからかわれながら、ユーモアをもって受け答えする。でも「うまいこと言っただろう」というドヤ顔ではなく、一般人ですという姿勢を崩さない。芸能人との交友もひけらかさない。そうやって可愛げと謙虚さを見せ続けた彼らは皆、好きなアナウンサーランキングの常連であり続けている。

 しかしこうしたやり方は、小林アナのようにプライドが高い若手には嫌がられることだろう。承認欲求の高い若者は、人前での失敗を嫌う。勝てる勝負しかしたくない彼らにとって、イジられて反応をジャッジされる現場など、居心地が悪いだけだろう。

 現在は「ニュース司会者」を降ろされている小林アナ。田中みな実という大先輩同様、嫌われアナから人気者への逆転劇は叶うのか。一部報道によれば、YouTuberへの興味を示しているという。インスタのプロフィール内には、「事業開発」という言葉もある。ただ一つ言えるとするならば、YouTuberやCEO、あるいはタレントという肩書が彼のSNSに加わる日は、そう遠くないだろうということだ。

冨士海ネコ

2021年6月30日 掲載