TBSの「ニンゲン観察バラエティ モニタリング」(木曜・20:00)に批判の声が広がっている。本気で歌っている芸能人を落とし穴に落とすという企画だ。これにアニメソング歌手の橋本潮が噛みついたことから、支持者が集まりだしたのだ。それでも落とし穴企画は、今も昔も民放の人気企画で……。

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 そもそも「モニタリング」の“落とし穴”は、YouTubeチャンネル「THE FIRST TAKE」のオマージュ企画という位置づけだった。

「THE FIRST TAKE」は、“一発撮りで、音楽と向き合う。”をコンセプトに、真っ白なスタジオに置かれた1本のマイクで、ミュージシャンが本気で歌うと言う番組だ。

 一方の「モニタリング」も、真っ白なスタジオで本気で歌うという同様のコンセプトを装いながら、その歌っている最中に落とす「THE FIRST “FAKE”」という企画である。民放ディレクターが言う。

「YouTubeのファンにとっては、オマージュ企画とは思えない点も、より顰蹙を買ったのかもしれません。『モニタリング』は4月15日の放送では、かつて自局で放送した『究極の男は誰だ!?最強スポーツ男子頂上決戦』の人気企画“ショットガンタッチ”を再現して、元プロサッカー選手の中澤佑二らを落とし穴にはめて、視聴者から《悪趣味》《笑えない》《一生懸命な人を馬鹿にしている》といった批判の声が寄せられていたのですが……」

真剣さを笑うな

 5月20日の「モニタリング」では“THE FIRST FAKE”を放送した。A.B.C-Zの河合郁人やフワちゃんなどを落とし、さらに6月17日には再度、A.B.C-Zの河合郁人と塚田僚一、モデルでタレントのJOYなどを落とした。ちなみにJOYは“ショットガンタッチ”でも落とされており、2度目の落とし穴に怒りをぶちまけていた。

JOY:この前やったよね! ショットガンタッチ……もう警察行くよ俺、こんなのが続くなら。

 この17日の放送中、アニソン歌手の橋本潮がTwitterに書き込んだのだ。

《前にTBSのモニタリング出演を断ったのにまた出演依頼がきたんだけどさ、やっぱり断った。で、今、放送中のモニタリングも本気で歌ってるところで落とし穴に落とすってやってるの、これさ、危ないって。下手したら舌噛んで歌えなくなる恐れがあるんだよ。何も考えず笑いを取る事だけで番組つくるなよ。》(6月17日付)

《プロでなくても、本気で真剣に歌っているところにフェイント掛けて落とすってあり得ないから。事故が絶対起こらないとは限らないし。/バラエティーで歌いたくないと思うのは、歌う当事者じゃなくても真剣さを笑い物にされるからです。》(同)

落とし穴は他にも

「『モニタリング』スタッフが橋本さんにどんなオファーをしたのかは分かりませんが、たしかにプロの歌手が舌を噛むなんてことになったら放送事故では済まないかもしれません。どう責任を取るのか……」(前出の民放ディレクター)

 もっとも、「モニタリング」に限らず、バラエティ番組では落とし穴企画がいまも多い。6月17日以降もこれだけあった。

●6月18日「オオカミ少年」(TBS)
“ドローン追い込み落とし穴”として、ケンタウルスの着ぐるみ姿のおいでやす小田を、ドローンで攻め落とした。

●6月19日「芸能人が本気で考えた!ドッキリGP」(フジテレビ)
 AKB48の卒業コンサートの終演直後、峯岸みなみがメンバーの仕掛けで落とし穴に。

●6月23日「水曜日のダウンタウン」(TBS)
 打ち合わせ中にカレーの匂いを送り続けたら、その後、全員がカレーを食う説を検証する企画として、なぜかカレーのキッチンカーの手前に落とし穴が仕掛けられる。ジミー大西や品川庄司の庄司智春らがハマる。

「70年代の『元祖どっきりカメラ』(日本テレビ)の時代から、民放のバラエティ番組で落とし穴企画は定番ネタ。もはや古典的と言っていいほどです。とりわけ、『とんねるずのみなさんのおかげでした』(フジ)で2010年にスタートした“全落”でブレイクしました。もっとも、この企画がスタートしてすぐに一般人の死亡事故が起こり、自粛することになりましたが」(同前)

 11年8月、石川県内の砂浜に掘られた落とし穴に転落し、会社員とその妻が亡くなった事故である。夫婦の友人たちが誕生日を祝うために掘った深さ2・5メートルの落とし穴に落ちて窒息死したのだ。

「この事故後、『みなおか』は“全落”から水に落とす“水落”へと企画を変更しました。“全落”が復活したのは事故から5年後の16年でした。番組内での事故はテレビ局の命取りになりかねませんから、細心の注意を払ってやっていると思います。特に落とし穴づくりは特別な技術、知識が必要になるので、プロフェッショナルな仕事が求められます」(同前)

 以来、脈々と落とし穴企画は続いているようだ。奇しくも6月27日の「相葉マナブ」(テレビ朝日)では、落とし穴に対するタレントの心構えが語られた。林の中で、相葉雅紀とバイキングの小峠英二、ハライチの澤部佑が調理している時だった。

小峠:相葉君さ、落とし穴、落ちたことある?

相葉:落とし穴? あるよ。

小峠:澤部とさ、ここに入ってきた時に、「落とし穴ありそうだな」って話してたんだよ。(林を見回し)明らかにこういう感じだったら、今日は落とされるんだなって思う。

澤部:気づいてない顔をいかにするかっていう……。

相葉:職業病だね。

 落とされる側にも技術が必要なようだ。とはいえ、それではガチのドッキリとはいえないような……。

「ドッキリの企画では、原則、打ち合わせはせず、ガチで騙すのが基本です。ただ、ターゲットや企画によっては、『本人には内緒で』とマネージャーとやり取りします。タレントによっては、本人の承諾がなければ決められない人もいますし、マネージャーとタレントとの関係性もあり、事前に知られてしまうケースもある」(同前)

「モニタリング」を批判した橋本潮の場合、当初からドッキリ企画であることを知っていたような言いっぷりだ。

「もしご存知だったとしたら、ヤラセも問題視されることになるかもしれません。そもそも『モニタリング』の落とし穴は、ただ落とすだけでなく、スポーツや歌唱といった別要素を絡めてしまったために危険度が増し、視聴者の目に“より危ない”と映ってしまったことに問題があります。さらに、一生懸命にチャレンジしている人に対して失礼という批判にもなった。落とし穴そのものよりも、企画自体に問題があったようです」(同前)

 今後、落とし穴企画はどうなっていくのだろうか。

デイリー新潮取材班

2021年7月7日 掲載