夏ドラマが出揃ったところで、早くも明暗がハッキリと現れている。ラブコメは揃って不調で、医療モノや警察モノが高視聴率を記録している。そろそろネタも尽きたと思いきや、そこには意外な共通点があるという。

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 中川大志と新木優子の「ボクの殺意が恋をした」(日本テレビ系/読売テレビ制作)の不調については、デイリー新潮「『ボクの殺意が恋をした』は苦しいスタート 新木優子は“低視聴率女優”なのか」(7月18日配信)で既に報じた。7月4日の初回視聴率5.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区:以下同)以来、低視聴率が続いている。もっとも、このドラマほどではないにせよ、今期のラブコメは軒並み苦戦中だ。

 Sexy Zoneの中島健人と小芝風花のW主演「彼女はキレイだった」(フジテレビ系/関西テレビ制作)は、初回(7月6日)7.6%以来、7.0%、7.1%と7%台が続く。

 演技派・二階堂ふみと眞栄田郷敦の「プロミス・シンデレラ」(TBS/共同テレビ制作)も初回(7月13日)7.9%、第2話7.8%である。

 深キョン(深田恭子)の体調不良で、急遽、比嘉愛未が代わりを務めた「推しの王子様」(フジテレビ系/共同テレビ制作)は、7月15日の初回は6.0%だった。民放プロデューサーは言う。

“恋ぷに”の前兆

「ここ数年、民放各局はドラマ好きの女性視聴者に向けて、ラブコメを大量に制作してきました。4月クールでは、石原さとみと綾野剛という2大人気俳優の夢の共演が実現した『恋はDeepに』(日本テレビ系)がありましたが、平均視聴率は8.4%で、期待を大きく裏切る結果となりました。ラブコメなら何でも数字が取れるという時期は終わったということですね」

 一方、安定しているのがシリーズものだ。東山紀之主演でシリーズ7を数える「刑事7人」(テレビ朝日系)は初回(7月7日)11.9%、第2話11.7%と安定の人気。

 天海祐希主演の「緊急取調室」4th SEASON(テレビ朝日系列)は初回(7月8日)14.7%で、以降も14%台が続いている。

 2年ぶりのシリーズとなった唐沢寿明の「ボイスII 110緊急司令室」(日本テレビ系)は初回(7月10日)11.3%を取ったが、第2話では7.6%と急落した。

「この日、日テレはサッカー『U-24日本vsU-24スペイン』の放送が入ったため、『ボイスII』が30分繰り下げとなったため、数字が落ちたとみられています」

“緊急”というキーワード

 シリーズものはいずれも警察モノ。もっとも同じ警察モノでは、戸田恵梨香と永野芽郁の「ハコヅメ〜たたかう!交番女子〜」(日本テレビ系)が人気を呼んでいる。

「舞台が交番で、コメディ要素も交えているところが、他の警察モノとは一線を画しています」

 医療ドラマも好調だ。波瑠主演の「ナイト・ドクター」(フジテレビ系列)は初回(6月21日)の13.4%を皮切りに未だ2桁を維持している。

 鈴木亮平主演の日曜劇場「TOKYO MER〜走る緊急救命室〜」(TBS)は14%台を躍進中だ。

「今期は“緊急”、つまりスピード感をウリにしたドラマが成功しています。タイトルだけでも『TOKYO MER〜走る緊急救命室〜』はじめ『緊急取調室』、『ボイスII 110緊急司令室』と“緊急”というワードが入ったものが3作もある。またタイトルに入っていなくても、『ナイト・ドクター』は夜間“救急”専門医たちが主人公のドラマです」

「ハコヅメ」は、ちょっと違うのでは?

「原作マンガにもギャグが入っており、のんびりしたイメージがありますが、ドラマを見れば、新米の永野は戸田に“行くよ!”と急かされ、緊急出動の連続です。1話に複数の事件が重なり、勤務日誌を書き込む暇もないほど。SNSでは《交番の警察官も忙しくて大変なんだ》《休む暇なんてないんだね》といった書き込みが見受けられます。『ハコヅメ』は1話につきひとつずつ事件を解決するのではなく、実はスピード感のある新たな警察モノだと言えます」

 言われてみれば、「ハコヅメ」も忙しいドラマだ。

「夏ドラマは“緊急”というキーワードを取り入れた、スピード感あるドラマしか視聴率を獲得できていません。ラブコメがウケたからといって、いつまでも同じモノを作っていては視聴者は離れてしまいます。連ドラもバラエティ番組以上にヒットの法則を読み取り、トレンドを取り入れることが必要な時代になったということでしょう」

デイリー新潮取材班

2021年7月28日 掲載