NHK・Eテレは9月13日月曜日の午前8時25分から、「ワルイコあつまれ」を放送した。出演したのは、「新しい地図」の稲垣吾郎(47)、草なぎ剛(47)、香取慎吾(44)の3人だった。

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 この番組は、事前の広報が一切なかったことも大きな話題となった。

 デイリー新潮編集部に送られてきたプレスリリースには、「本日13日(月)朝8時25分解禁」と書かれていた。

 放送時間と解禁時間が同じというのは異例だ。リリースの冒頭に書かれていたのは、以下の文章だ。

《今回、敢えて、番組放送前に宣伝、告知を一切行わない、/という実験的手法をとりましたため、/放送と同時に、突如お知らせすることになりましたことご了承ください。》

 つまり番組は、一種の“サプライズ”として放送された。「事前に宣伝しなかった宣伝効果」は抜群で、多くのメディアが取り上げた。

 同じ日の午後7時25分からの再放送も話題となり、朝と夜、いずれの時間帯でもTwitterのホットワードになった。

《子供も楽しかった模様。レギュラー化してほしい〜》
《面白かった!NHKの良さが出まくってる》
《今日になってもTLがワルイコあつまれ賞賛ツイートで溢れている》

 Twitter上では、こんなツイートが延々と表示される。NHKの「番組へのご意見・お問い合わせメールフォーム」にレギュラー化を要望したという投稿も多い。

慎吾ママのインパクト

 では、筋金入りのSMAPファンはどのように受けとめたのだろうか。1991年9月、SMAPが「西武園ゆうえんち」で行った伝説のデビューイベントを観覧したという女性ファンに取材を依頼した。

「番組を見て、“びっくりした”の一言に尽きます。3人が登場したというだけでなく、番組が攻めの姿勢で貫かれていたことにも驚きました。民放がゴールデンで放送するバラエティ番組と変わらないくらい、笑いを取りにいった番組だったと思います」

 エンディングで構成としてクレジットされた1人に、放送作家の鈴木おさむ(49)がいる。

 放送作家としての人気、知名度は群を抜いており、フジテレビ系列で放送された人気番組「SMAP×SMAP」(1996〜2016年)のスタッフだったことでも知られている。

「最初に放送されたのが『慎吾ママの部屋』で、ゲストとして紹介されたのは草なぎ剛さんが演じる徳川慶喜でした。対談と言えば聞こえはいいですが、要するに草なぎさんがボケて笑わせたわけです。一応は大河ドラマ『青天を衝け』の番宣という体裁なのでしょうが、見ていて“本当に宣伝になるのかな?”と心配になりました(笑)」(同・女性ファン)

高いレベル

 大河のスタッフがクレームをつけてもおかしくない。それほど、貪欲に笑いを取りにいっていた。

 むろん、元SMAPの3人だからこそできた芸当とも言える。Twitterでも類似の感想は投稿されているが、女性ファンが改めて実感したのは、「バラエティ番組と3人の相性の良さ」だった。

「彼らはアイドルでありながら、バラエティ番組『SMAP×SMAP』で国民的な人気を獲得しました。ジャニーズ事務所もSMAPを成功例として、所属するアイドルをバラエティ番組に出演させるようになりましたが、誰もがSMAPのようにうまくいったわけではありません」(同・女性ファン)

 レベルの差は厳然として存在するという。その差を分けるのは一体、何なのだろうか。

「一部のジャニタレは、“バラエティ番組に出演しています”という意識が透けて見えます。そうすると視聴者は、心の底から笑えません。一方、新しい地図の3人は、『SMAP×SMAP』で鍛えられました。気負いも衒いもなく、自然体で番組をこなします。番組に溶け込むことができる。だから視聴者は大笑いするのです」(同・女性ファン)

2016年末の解散

「ワルイコあつまれ」と「SMAP×SMAP」はコンセプトが異なる番組だが、「SMAP×SMAP」を思い出した人は多かったようだ。

 2016年、SMAPの解散騒動が勃発した。1月18日に放送された「SMAP×SMAP」では一部が生放送となり、メンバーがカメラの前で解散騒動について謝罪した。ある種、異様な放送は、視聴者に強いインパクトを与えた。

「その年の大晦日にSMAPは解散しました。ところが翌17年9月、株式会社CULENが『新しい地図』の公式サイトを立ち上げました。3人が復活したことを喜ばないファンはいません。とはいえ、“どうして5人じゃないのかな”という疑問も消えることはありませんでした。何より、新しい地図の3人を『悲劇のヒーロー』として見てしまうところはあったと思います」(同・女性ファン)

 ジャニーズと“敵対関係”になっただけではなく、エンタメ界にコロナ禍という未曾有の事態が襲いかかった。

 凡百のタレントなら、とっくに姿を消していただろう。だが、3人の芸能活動が中断することはなかった。

笑って、泣いて

「コロナ禍にあっても、3人が“過去の人”になることはありませんでした。いわゆる『芸能界を干された』、『芸能界を放逐された』状態になることはなかったのです。これがどれだけ凄いことか、説明の必要はないでしょう。ただ、それでも3人の活躍を『ジャニーズ事務所に迫害された被害者』という観点から応援していたのは間違いありません」(同・女性ファン)

 ジャニーズを脱退する所属アイドルが後を絶たない状況になっても、「3人は被害者」という考えから抜け出せなかったという。

 ところが「ワルイコあつまれ」を見ていると、女性ファンは「心の底から素直に番組を楽しんでいる自分に気づいた」という。過去の“わだかまり”を忘れることができたというのだ。

「番組での3人は輝いていました。ジャニーズ事務所の対応には今でも納得していませんが、『ワルイコあつまれ』を見ている時は、恨みは忘れていました。解散してから初めてのことです。NHKオンデマンドで視聴して笑って、終わると泣いて、また番組を見ては笑って、終わると泣いてを繰り返しました。その涙は、これまでのものとは正反対でした」(同・女性ファン)

潰されなかった3人

 SMAPが解散してから、このファンの女性は泣き続けてきた。解散が悲しくて涙を流してきた。

 だが今回の涙は、過去の涙とは全く違う。嬉しくて泣いているという。

「ジャニーズ事務所の横槍よりコロナ禍のほうが、3人に与えた影響は大きかったと思います。何しろ芸能界全体が、仕事の減少に苦しんだのですから。にもかかわらず、3人は潰されませんでした。NHKは『紅白歌合戦』を抱えています。ジャニーズに忖度する必要もあると思いますが、『ワルイコあつまれ』を制作して放送しました。それもひっくるめて、3人の実力を再認識した人は多かったのではないでしょうか」(同・女性ファン)

 レギュラー化を求める声が多いことは前に触れたが、このファンの女性は「視聴率を取る番組に化けても不思議はないと思います」と言う。

「SMAPの女性ファンで一番若いのは、20代後半です。20代後半から40代後半だと、子育て中の人も少なくないと思います。彼女たちは多分、平日の朝はEテレをつけっぱなしにしているでしょう。そしてSMAPの女性ファンのコア層は、50代から70代というところだと思います」(同・女性ファン)

期待は、あのサプライズ

 子育てを卒業した女性にとって、午前8時25分という時間帯は、チャンネルを合わせやすいという。

 意外や意外、朝のEテレという時間帯は、ファンにとって視聴に理想的な時間帯という可能性が出てきた。

「NHK側も実は考えに考え抜いて、あの時間帯に放送したのではないかと思います。回を重ねれば視聴率も上向くのではないでしょうか。ファンとしては、『チコちゃんに叱られる!』(金・19:57)レベルの人気番組になってほしいと願わずにはいられません」(同・女性ファン)

 多くのファンが夢見るのは、中居正広(49)のサプライズ出演だという。

デイリー新潮取材班

2021年9月18日 掲載