2020年末に開催された総合格闘技大会「RIZIN」で初勝利を収めて大きな話題を呼んだプロレスラーといえば、チャンネル登録者数123万人の元祖炎上系ユーチューバー・シバター(35)氏である。有名人が不祥事を起こすと、すぐに動画でコメントを出し、ネットニュースに取り上げられる今やYouTube界のご意見番的存在でもある。ヒカキンなどと同じく収益が発生した時期から始めたユーチューバー第一世代のシバター氏に話を聞いた。

――そもそも炎上系ユーチューバーと言われて久しいシバターさんはどんな経歴なのでしょうか。

シバター:イメージにないかもしれないですが、元々漫画家志望だったんです。講談社のモーニングとかに掲載されているようなタイプの漫画を描いていました。どうしてもプロになりたくて賞に応募していましたが、自分には才能がないなと思ったので、本に関われる仕事を探し、出版社に入社しました。ただ、その出版社はかなり左寄りの会社でした。入社したといっても、雑務が多かったですし、この会社で仕事することは自分に合わないと感じていました。2010年から会社員の傍らで動画配信をしていまして、2013年にはYouTubeでお金を稼ぐことができるようになっていたので、会社を辞めて、動画配信だけに専念することにしました。

――炎上系だと、アンチコメントが凄まじい数来ると思うのですが、そういうコメントにはどのようなスタンスで向き合っていますか。精神的に病んでしまいそうなものですが。

シバター:YouTubeに付くコメントはすべてAIが作り出したスクリプトだと思っています。ネットで活動を長くやっているので、こういう動画を上げたら、こういうコメントが付くだろうと予想できるんです。なので、生身の人間がコメントしているとは思っていないので、心を病むことはないですね。まあ、あとは2010年ぐらいの時は、配信者が傷つくようなコメントばかりする動画サイトで配信していたので、そこでかなり耐性がついたというのもあるかもしれません。その当時はそのサイトしか配信するところがなかったので、仕方なかったんですよ。

「RIZIN」効果で最近の収益は

――常に批評するスタンスで動画を配信されていると思います。その影響で、シバターさんは初対面の人に警戒されたりすることはないのでしょうか。

シバター:確かに、最初は怖がられることもありますし、壁を作られているなと分かることもあります。思ったより静かですねと驚かれますし、ギャップを持たれることが多いです。でも、そこで苦しんだことはないですね。言いたいことは言わせてもらいますけど、本当に言ってはいけないことは言わないようにしているので。私は暴露系とは違い、あくまで私個人の感想を言っているに過ぎません。

――シバターさんといったら、「〇〇を救いたい」という救済動画が有名ですが、本当に動画で取り上げた芸能人本人から救ってくださいとお願いされたら、どうしますか。

シバター:もちろん一緒に動画撮影ぐらいはしますよ(笑)。ただ、私が人とコラボをすることはかなり稀です。シバターとのコラボはレアだぞと思わせた方がいいと考えているからです。

――年末の「RIZIN」での勝利で認知度もさらに上がったと思います。その影響もあって、ここ最近の収入がかなり上がっているのではと推察していますが、いかがでしょうか。

シバター:6月の収益は200万円以上ありました。最近は毎月大体そのぐらいで推移しています。「RIZIN」の影響は間違いなくありました。今は忙しさが尋常じゃないです。

新規参入について…

――今この時期にYouTubeに参入しようとしている人がいても、レッドオーシャン化しすぎて、手遅れなのではと思っております。一方、自己プロデュース力があれば、なんとかなるという考え方もあると思います。その点、どのようにお考えでしょうか。

シバター:やっぱり新しい分野に参入しないと生活できるぐらい稼ぐことは難しいフェーズに来ていると思います。全くの素人の高校生や大学生が友人と遊び半分でYouTubeを金儲けのために始めるには、とてもハードルが高い媒体になりましたね。ただ、なにかの分野を極めたプロが始めるなら話は別です。プロはその道を極めているからこそ、レッドオーシャンの分野でも、他のチャンネルにはない付加価値を付けることができます。また、自己プロデュース力があっても、なにかのプロではない人だと難しいと思います。まあでも、私は素人感が出てる動画は好きですけどね(笑)。

――最近は、テレビ番組のようなYouTube動画が増えてきており、無駄な情報は一切省くことがスタンダードになってきていると思います。そんな中でもずっと生き残っていけるチャンネルとなると、人物にフォーカスしているものは、固定のファンがいる限り、ライバルが出てくるとか関係なく、続いていくのではと考えています。例えば、私が最近よく観る「岡田を追え!!」というチャンネルがあるのですが、これはまさにピンで活動する芸人である岡田康太という人物に密着し続ける動画です。結局、こういうチャンネルが一番強いのかなと思っております。

シバター:私も同感です。結局、人間は人間を観たいんですよ。他人がどのような日常を過ごしているのか、なにを考えているのかなどを知りたい生き物が人間なのだと思います。私がプロデュースしているユーチューバーにいつも「動画には人生を映せ」と言います。全部をさらけ出した方が親近感も湧くし、長い目で見たら、そっちの方が長く続くという持論を持っています。岡田さんのキャラもみんながついつい追ってしまうものなんでしょうね。

――スキャンダルでテレビには出演できなくなった芸能人が新規参入する場としてYouTubeが選ばれていますが、第一世代としてはどのように見ていますか。

シバター:本音を言うと、芸能人が参入すると、視聴時間の奪い合いになるので、入ってきてほしくなかったです。有名ユーチューバーが手助けをしたことによって、芸能人の参入が予想よりも1年間早くなったので、視聴時間が奪われ、5000万円ほど損をしたと思っています。でも、すでに入ってきているので、共生するしかないですけどね。芸能人が参入してきて、YouTubeはビジネスの場になったんだなと改めて思います。昔は、人生につまずいた人の逃げ道としての居場所だったんです。今からYouTubeを始めるのはお勧めしませんと先ほど言いましたけど、それはあくまで金儲けの手段としてです。誰にも見られなくても自分が好きなことを投稿する場として使うのは全然良いことだと思います。YouTubeは元々そういう場だったんですから。

村嶋章紀/フリーライター

デイリー新潮取材班編集

2021年9月27日 掲載