来年2022年度下半期のNHK連続テレビ小説が「舞い上がれ!」に決まった。ヒロイン・舞が空を飛ぶ夢に向かっていく挫折と再生を描くオリジナル脚本の作品だという。制作を手掛けるNHK大阪拠点放送局は、ヒロインをオーディションで決めると明らかにしている。

 ここ最近の朝ドラは、オーディションではなくNHKからのオファーでヒロインが決まることが多かった。そのため連続ドラマの主演級の女優が選ばれる傾向が強かったわけだが、今回のようなオーディション形式の場合、若手の抜擢が期待できる。そこで朝ドラヒロイン選考の3つのポイントを押さえつつ、「舞い上がれ!」のヒロインに選ばれる可能性のある若手女優を予想してみようと思う。

ヒロインを多く輩出した事務所は…

 まず1つ目のポイントは、所属事務所だ。ちょうど10年前の「梅ちゃん先生」(12年上半期作)から「ちむどんどん」(2022上半期作)までヒロインを輩出した芸能事務所は計15あり、そのうち複数人が選ばれたのが5事務所あった。最多がアミューズとソニー・ミュージックアーティスツで、それぞれ「3人」の所属女優が朝ドラヒロインを演じている。前者は「花子とアン」(14年上半期作)の吉高由里子、現在放送中の「おかえりモネ」の清原果耶、そして次回作の「カムカムエヴリバディ」の深津絵里。後者は「まれ」(15年上半期作)の土屋太鳳、「エール」(20年上半期作)の二階堂ふみ、そして「ちむどんどん」の黒島結菜だ。

 この2社に次ぐのが、「2人」のヒロインが所属する以下の3事務所。スターダストプロモーションには「わろてんか」(17年下半期作)の葵わかな、「半分、青い。」(18年上半期作)の永野芽郁。フラームからは「ひよっこ」(17年上半期作)の有村架純と「スカーレット」(19年下半期作)の戸田恵梨香。ホリプロ系列の、ホリ・エージェンシーには「あさが来た」(15年下半期作)の波瑠、ホリプロには「とと姉ちゃん」(16年上半期作)の高畑充希がいる。今後もこれらの事務所に所属している若手女優が抜擢される可能性は高いとみていいだろう。

「年齢」もポイントに

 次は年齢をみてみよう。ここ10年間の朝ドラで、オーディションで選出された女優は11人。最年長は「カムカムエヴリバディ」の川栄李奈の25歳で、最年少は「半分、青い。」の永野芽郁で17歳だった。11人の平均年齢は21歳だが、最も多く選ばれているのは19歳で、「あまちゃん」(13年上半期作)の能年玲奈、「まれ」の土屋太鳳、「べっぴんさん」(16年下半期作)の芳根京子の3人がこれにあたる。次に多いのが「あさが来た」の波瑠と「とと姉ちゃん」の高畑充希で23歳。これに「純と愛」(12年下半期作)の夏菜、「カムカムエヴリバディ」の上白石萌音の22歳が並んでいる。19〜23歳くらいまでの若手女優にかなりのチャンスがあるとみている。

3番目のポイントは…

 3番目はヒロインに起用されるうえで見逃せない「NHKドラマへの出演歴」だ。来年上半期の作品「ちむどんどん」のヒロインに起用された黒島結菜がこの典型だが、脇役ですでに朝ドラに出演経験があるか否かもポイントのようだ。黒島は「マッサン」(14年下半期)と「スカーレット」の2本に出演していたし、現在放送中の「おかえりモネ」ヒロインの清原果耶も「あさが来た」で二役をつとめ、「なつぞら」(19年上半期作)ではヒロインの妹という重要な役どころを演じていた。この「ヒロインの姉妹」パターンはよくあり、「花子とアン」で土屋太鳳が、「とと姉ちゃん」で杉咲花がそれぞれヒロインの末妹役を演じていた。ヒロインの義理の妹(夫の妹)役で「ごちそうさん」(13年下半期作)に出演していた高畑充希の例もある。このほか「花子とアン」に芳根京子が、「おひさま」(11年上半期作)に安藤サクラが、「とと姉ちゃん」に川栄李奈が脇役で出演していた。「あまちゃん」の有村架純も今となっては懐かしい。

 朝ドラでなくても、NHKの他の作品で出演実績があった例もある。例えば二階堂ふみは「平清盛」(12年)、「軍師官兵衛」(14年)、「西郷どん」(18年)と3本の大河ドラマに出演。そのほか4本のドラマ出演作がある。朝ドラ次回作の「カムカムエヴリバディ」で3人のヒロインの1人として出演する上白石萌音も、「江〜姫たちの戦国〜」(11年)、「西郷どん」、そして現在放送中の「青天を衝け」と3本の大河ドラマに出演。そのほか6本ものNHKドラマに出演歴があるのだ。

で、候補は…

 この3つのポイントを考察したうえで、有力候補を予想しよう。まず浮上するのがフラーム所属の松本穂香だ。有村架純と戸田恵梨香という朝ドラヒロインがおり、事務所的には3人目の期待がかかる。年齢は今年24歳と、前述の「23歳ライン」を少しオーバーするものの、NHKドラマにはすでに5本の出演実績がある。そのうちの1本が朝ドラの「ひよっこ」(17年上半期作)で、演じたのはヒロインが勤務する工場の同僚だった。

 また19年には単発ドラマながら「夢食堂の料理人〜1964東京オリンピック選手村物語〜」でヒロインに抜擢されている。64年の東京オリンピック選手村を舞台に、東京五輪を陰で支えた若者たちにスポットを当てた作品で、選手村内理髪室の理髪師・島田恵子を好演し、物語を支える重要な役割を担った点は大きい。

 2人目は小西はるだ。葵わかな、永野芽郁と、2作連続で朝ドラヒロインを送り出したスターダスト所属である。年齢は今年の10月で21歳。NHKのドラマ出演実績は2本あり、1本は大河ドラマの「いだてん〜東京オリムピック噺〜」で、もう1本が前作の朝ドラ「おちょやん」(00年下半期作)だ。後者で演じた朝日奈灯子はヒロインの夫と不倫関係になり、子供まで身ごもってしまい、挙げ句、結婚してしまう役だった。当然、SNS上をかなりざわつかせる結果となり、ある意味、ヒロインの“敵役”として強烈なインパクトを残した点は見逃せない。

 そしてこの2人にはある共通点がある。ともに大阪府堺市の出身なのだ。「舞い上がれ!」のヒロインが大阪府東大阪市で生まれ育ったという設定なので、2人にとってのアドバンテージと言えるだろう。

 最後に“大穴”の名を挙げたい――藤野涼子である。神奈川県出身の21歳で、中学に在学していた14歳のときに映画「ソロモンの偽証」のオーディションに参加。約1万人の中から主人公の藤野涼子役に抜擢された実力者だ(この映画の役名をそのまま芸名にしている)。

 所属事務所はケイファクトリー。朝ドラヒロインの輩出実績はない。なのになぜ候補にあげるかというと、NHKドラマの出演経験がとにかく豊富なのである。朝ドラ「ひよっこ」でのヒロインの同僚を筆頭に、これまで計8本の作品に出演。うちの1本は現在放送中の大河ドラマ「青天を衝け」で、主人公・渋沢栄一(吉沢亮)の妹を演じた点は大きなポイントだ。ゆえに、朝ドラヒロインに急浮上してくる可能性は捨てきれないのである。

 「舞い上がれ!」のヒロインでなくても、この3人はいずれ朝ドラのヒロインに起用される可能性がかなり高いのではないだろうか。

上杉純也

デイリー新潮取材班編集

2021年10月5日 掲載