長谷川京子さんは、一体どこへ向かうのか。かつて女性誌の看板モデルとして活躍し、CMクイーンとして名を馳せたハセキョ―。当時はキュートな雰囲気で、そんなに自分のことをあけすけに語るタイプでもなかった。今では外見も言動もずいぶん貫禄が出て、「姐さん」と呼びたくなるほどである。

 人気絶頂時にポルノグラフィティのギタリスト・新藤晴一さんと交際3カ月で結婚して13年。2人の子どもにも恵まれたが、家を出て現在は別のマンションでひとり暮らし中だと報じられたハセキョ―姐さん。週刊誌に撮られた姿は胸元が大きく開いており、MCを務める「グータンヌーボ2」で見せる過激な発言も含めて、さまざまな反響を呼んでいる。

 とはいっても、すわ離婚という話は出ていない。数年前に新藤さんの浮気報道があったくらいで、その後も家族仲は良好と見られていた。長谷川さんが昨年開設したYouTubeチャンネルでは、お子さんたちとの和やかなやり取りが垣間見えることもある。先月も子育てや食にまつわる雑誌連載が書籍化されたばかり。経済力も人気もある彼女だからこそできる、新しい家族の形では、と冷静に見ている人も少なくない。

 一方で、彼女のここ数年の変化が大きかったのは確かだ。「グータン」では、「もうそろそろ一人の人間に戻してもらえない?と子育て中に思う時がある」と発言したこともある。この時テロップでは、「人間(女)」とわざわざ付け足されていた。共演者にも、「最近グッとエロくなった」と言われて意味深に微笑むと、「第二の高岡早紀さん枠に入りたい」「“魔性の女”枠に入ろうかなと思ってる」と宣言。脱ぐシーンの依頼が来たらやりたいと唐突に語りだすなど、最初から最後までセクシーアピールを欠かさなかった。他の回でも小島瑠璃子さんに「付き合う前に体の関係を持つか」と聞いたり、MC陣に「エロいと思う芸能人は?」と質問するなど、なんだか性的な話題に積極的な人という印象だ。YouTubeでも自身の手がける下着ブランドの撮影風景や、「エクスタシー」「おっぱい」などの煽情的な単語が並ぶ。色っぽさというより、ちょっと胸焼けしそうな脂っこさを感じてしまう。

 でもなぜ彼女はそんなに、キャラ変を急ぐのだろうか。長谷川さんは妖艶な役というより、元気で可憐なヒロインや、憧れのきれいなお姉さんという王道を歩んできた人だ。ただ、当たり役というものには恵まれなかったのではないだろうか。同じモデル出身でも、「やまとなでしこ」の松嶋菜々子さんとか、「ドクターX」の米倉涼子さんみたいな、わかりやすく挙げられる代表作がないように思う。かといって、モデル一本で活躍し続けるエビちゃんこと蛯原友里さんのようなタイプでもない。女優といえば女優だし、モデルといえばモデル、ママタレントといえばママタレントともいえそう。そういう肩書の不安定さに、長谷川さん自身が一番焦っているのではと感じるのである。

頭打ちになりがちな「モデル上がり」の女優たちの現実 ハセキョ―は第二の高岡早紀になれるのか

 思えば、「モデル上がり」の女優たちは演技にケチをつけられがちだ。若いころの長谷川さんもそうだったし、本田翼さんや佐々木希さん、中条あやみさんらも「棒演技」と批判されることが多い。結婚しても子どもを産んでも主演の仕事が回ってきて、なおかつ演技も評価されるというのは至難の技だ。松嶋菜々子さんや杏さんは異例中の異例だろう。モデル上がりのママ女優たちのキャリア戦略は、相当に難しいように思われる。結婚や出産を機に、海外移住やテレビの仕事をセーブするパターンは多い。

 でも難しいからこそ、よりライバルが少ない道を選ぶ。母であり魔性の女という、高岡早紀枠に狙いを定めた長谷川さんは正しいのだろう。モデル上がりと言われながらも、役柄を絞って成功した菜々緒さんのような例もある。そしてイメージを定着化するには「実績」が必要だ。高岡さんの魔性ぶりに説得力があるのは、その手の役が得意だからというより、不倫などの奔放な恋愛遍歴や、鮮烈なヌードシーンが多くの人の記憶に残っているからだろう。ならばまだ役の幅の狭い長谷川さんは、できる限りの「高岡早紀しぐさ」をこなすしかない。それがセクシーな姿や言動のアピールなのではないだろうか。

 そもそも魔性とは天性のものという気もする。天然だから破壊力が強いのであって、小手先のスキルで作られても逆効果だ。それでも、あえてチャレンジする長谷川さんの姿勢は素晴らしい。第二の住まいは、第二の高岡早紀枠を手にするための覚悟の表れ。まずはアパガードのCMあたりから狙ってみてほしい。

冨士海ネコ

2021年10月8日 掲載