ハライチ・岩井勇気(35)が投じた一石、「番組アンケートが嫌い」という発言がテレビ業界で波紋を呼んでいるという。ラジオでの発言だったが、そもそも番組アンケートとは何なのか。そしてなぜ嫌われるのか。テレビマンに聞いた。

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 麒麟・川島明(42)がパーソナリティを務める「SUBARU Wonderful Journey〜土曜日のエウレカ〜」(TOKYO FM)は、ゲストと共にドライブする体で繰り広げられるトーク番組だ。

 10月9日のゲストがハライチ・岩井だった。NHK付近を走行中というナビの声に合わせ、2人がNHKでのエピソードを披露し、番組はスタートした。

川島:そんなんも踏まえて、いろいろと聞いていきたいことが今日はたくさんあるんですけども。

岩井:よろしくお願いします。

川島:スタッフさんが聞いたところによると、「アンケートが嫌い」という返事が“アンケート”で返ってきたと……。

岩井:いや、めちゃくちゃアンケートって来るじゃないですか。バラエティとか他の番組とかでも。で、最近やっぱり僕、書き物とかやらせていただいていて。エッセイとか、あとは脚本とか、漫画原作とかもやらせてもらっているんですけど。その中で「この書くやつをここで書こう。この日の夜に書こう」とかって考えている時に、とてつもない量のアンケートがポンと来ると、ふざけんなよ!って。

鉄板エピソード、どうぞ!

川島:本当にこれ、ここだから言えるけども。マジで40問とかを「明日までにお願いします」とか平気で来るんですよ。

岩井:おかしいっすよね? で、エッセイとかは全部、書いたら原稿料とかあるのに、アンケートはタダなんかい!っていうの、あるじゃないですか。

川島:まあ同じぐらいね、本当に脳に汗をかいて書いているじゃない? 手を抜きたくないから。

岩井:なんか文字数で言ったらアンケートのほうが多くないか?っていう時があって。どうなってんの、これ?っていうのと、アンケートは送り放題なんですよね。向こうからしてみたらね。

川島:そう。だからホンマに試食され放題っていうか。「コンビニで何か面白い話ありますか? スーパーで面白い話は? 旅行先で、家族で……」って。で、最後の最後に「鉄板エピソード、どうぞ」って……。

岩井:いや、そうなんすよ!

川島:ほんで変にね、弱いエピソードだけ本番で使われたりするのよね。

岩井:それが採用されていて。全員によくないことが起こっているっていう。

川島:番組もクオリティーが下がっているし、本人もオモロないと思われてしまうっていう。いや、これだけで今日のドライブ、終わっちゃいそうなんで。ちょっとこのへんで1回、止めますけども。この番組もかなりアンケートが多いと思うんですよ。

思わぬ波紋

 わずか2分程度のトークだったが、これを重く受け止めたのはテレビマンだ。民放ディレクターが言う。

「バラエティ番組全般で、台本用に事前アンケートを採る番組が一般的になっています。芸人やタレントのみならず、俳優やアーティストにも回答をもらいます。例えば、旅番組のゲストにロケ地での思い出を尋ねたり、歌番組でもトークネタを披露する際にアンケートを行うこともあります」

 その程度であれば、岩井も川島も不満は漏らさないだろう。

「確かにここ数年は、アンケートの質問数が多くなっていると思います。さすがに40〜50問は滅多にありませんが、10〜20問が一般的です。ただ、無茶ぶりな質問をされたり、返信までの時間が少ないなど、多忙なタレントにとって面倒であるのも事実でしょう」

 アンケートを基に番組を作っていたのか。以前は違ったのだろうか。

「昔は番組スタッフがゲストに直接会って取材することが多かったんです。ディレクターが直接聞いて、そこで深掘りしたりしないと、ネタになるかどうかの判断は難しいからです。今でもゲストが1組という番組では対面取材をすることはあります」

 なぜアンケート方式になったのだろう。

芸人は必至に書く

「10年くらい前からエピソードトーク重視する“ひな壇トーク”の番組が増え、出演者の人数も格段に増えた。そのため対面ではなく書面でのアンケートになったんです。もちろん、昔ほど時間をかけず、汗をかかずに番組を作っているということも言えますが……」

 今やアンケートは重要な資料ということらしい。

「制作側からしたら、アンケートに一生懸命答えてくれるタレントの評判は良く、無回答などが多いタレントの評価は下がります。アンケートを見て、“つまらない”“やる気を感じない”“返信が遅い”という評価が出ると、同じ番組に呼ばれなくなる可能性もありますからね。俳優やアーティストはバラエティ番組に出演する機会が少ないので、あまりノリは良くないですね。マネージャーが代筆、もしくはなりすますケースもあります。しかし、バラエティが主戦場の芸人やタレントは一生懸命に書いてくるケースが多いですね」

 そんな中で飛び出した2人の発言は、どう受け止められているのか。

アンケートでは伝わらない

「紛れもない本音ですね。彼らもアンケートでは面白さが伝わらないと考えているはずです。それぞれの番組から同じような質問やどうでもいい質問、わざわざ作らなければならないネタなどもあり、それでいて番組で使われるのは少しだけ。しかも弱いエピソードが採用されるのなら、わざわざ書く意味もないということでしょう」

 話し言葉と書き言葉は異なるものだが、アンケートだけでトーク番組は面白くなるはずもない。

「アンケートだけでは、どれほど面白いネタなのかが伝わりにくいことは間違いないでしょう。今はそれを、芸人やタレントのトーク任せにしているケースが多いんです。アンケートでは面白そうだったのに、いざ喋ってみたらそれほどでもなかったというケースももちろんあります。それをイジったりすることで成立させるケースも少なくありません」

 制作側もアンケートだけでは伝わらないとわかっているのだ。

「アンケートに不満を感じているのは彼らだけではないでしょう。芸人たちから不満、不評の声が上がり始めた以上、アンケートの在り方を見直す時期になったのかもしれません。頭の痛い問題です」

デイリー新潮取材班

2021年11月1日 掲載