お笑いコンビ・とんねるずが結成から41年目を迎えた。木梨憲武(59)は10月から司会を務める新番組「〜夢のオーディションバラエティー〜Dreamer Z」(テレビ東京)が始まったが、石橋貴明(60)は「石橋、薪を焚べる」(フジテレビ)が3月で終わり、テレビのレギュラー番組はない。2人にはどうして違いが生まれたのか。

 ***

 8月22日、とんねるずが石橋のYouTubeチャンネル「貴ちゃんねるず」(チャンネル登録者数約167万人)で共演した。その前の共演はテレビ朝日が年始に放送した「とんねるずのスポーツ王は俺だ!!」なので、実に8カ月ぶりだった。

 木梨は「貴ちゃんねるず」の企画「24分間テレビ2021〜貴ちゃんゴールであの人熱唱〜」に登場。石橋が24分間走り終えた地点で、谷村新司(72)の扮装で出迎えることになっていた。だが、石橋はゴール地点に来るのを避けたため、ツーショットは実現していない。

 石橋と木梨は1994年に2人で芸能プロダクション「アライバル」を設立。石橋が社長、木梨が副社長に収まったものの、2018年に木梨が新会社「コッカ」を旗揚げし、社長に就任。移籍した。コンビでありながら芸能プロは別々というのは珍しい。

 そもそも2人は「アライバル」にいたころから背後にいた応援団的な芸能プロが違った。このため、2人のキャスティングには別々の芸能プロが影響力を持っていた。どちらの芸能プロも芸能界での力が強い大手だ。

 1988年にスタートした「とんねるずのみなさんのおかげです」(フジテレビ)が、2018年に「とんねるずのみなさんのおかげでした」として終了した後、2人一緒のレギュラー番組がなくなったが、それは応援団的な芸能プロが別々だったせいでもある。

「コッカ」の設立が「おかげでした」の終了した2018年だったのも偶然ではない。2人はそれぞれ自由に歩むことになったのだ。約30年続いてきたとんねるずのファンクラブもやはり同じ2018年に閉じられている。

 とんねるずとしての番組は年1回の前出「とんねるずのスポーツ王は俺だ!!」が残されているだけ。2020年末までほぼ1年おきに放送されている特番「ザ・細かすぎて伝わらないモノマネ」(フジ)はコンビでやっていた「みなさんのおかげでした」から生まれた番組だが、木梨は出演していない。

不仲ではない

 2人は不仲で袂を分かったのか?

「そんなことはない。もしそうだったら、解散を宣言している。ただし、仲が良いかというと、それも違う。よく知られている通り、2人は帝京高校(東京)の同級生だが、年を重ねれば性格や志向性の違いから一緒に仕事をするのが難しくなってくる。例えると、高校や大学の同級生で組んだバンドの多くがやがて解散するのと同じ」(2人を知る芸能プロ幹部)

 2人の性格はどう違うのだろう。

「石橋さんは天才肌。普段から言っていることが独創的で本当に面白く、『根っからのお笑いの人なんだなぁ』と思わせる。日常会話を傍で聞いているだけで笑ってしまう。ただし、その分、毒気が強いので、一緒にやりたがらないタレントもいるだろう。おいしいところを全部、石橋さんに持って行かれかねないから。木梨さんは良くも悪くも常識人。他人を傷つけるようなことは言わないし、ほかの人の見せ場もつくる。努力も怠らない。2人の性格はまるっきり違うと言っていい」(同・2人を知る芸能プロ幹部)

 距離が生じたのは当然のことでもあるようだ。

 石橋は自分の信じる道を突き進むタイプだという。石橋のコネクションを使ったら、今でもテレビのレギュラーを持つことは可能だろうが、時流に迎合したり、頭を下げたりするのが嫌なタイプなのだそうだ。

「石橋さんが芸能界やバラエティ界の大物に頭を下げたというような話は聞かない」(同・2人を知る芸能プロ幹部)

「貴ちゃんねるず」の石橋は清原和博(54)と対談したり、コロナ禍で苦しむ居酒屋を訪れて激励したり、陽気で強気。ノリは40代までのままだ。確かに時流に合わせるつもりはないのだろう。

木梨は「カネのために働いている人じゃない」

 片や木梨は「コッカ」を設立したころから芸能界やバラエティ界の重鎮に面会し、今後についての助言を求めた。その言葉に対し、殊勝に耳を傾けたという。愛妻家なので妻の安田成美(54)を伴うこともあった。

 実は、木梨は東京・麻布に資産価値の高いビルを所有している。仕事をしなくても左うちわで暮らせるという。

「それでも第一線で働き続けようとしているのが常識人で努力家の木梨さんらしさ。新レギュラー『〜夢のオーディションバラエティー〜』の司会が木梨さんに合っているのかどうかはまだ分からないが、なんとかして成功させようとしているのが分かる。この番組に限らず、カネのために働いている人じゃないんですよ」(同・2人を知る芸能プロ幹部)

 この番組はLDH JAPANが行うオーディションを放送している。木梨の過去の仕事とは随分と毛色が違う。冒険だ。それでも木梨は引き受けた。

 現在のところ視聴率は世帯が2.0%、個人全体が1.0%と大苦戦(ビデオリサーチ調べ、関東地区)しているが、始まってまだ1カ月。番組の認知度が高まるこれからが注目だろう。

 木梨は10月23日、パーソナリティーを務めるTBSラジオの「土曜朝6時 木梨の会。」(土曜午前6時)に生出演し、石橋が前日22日に60歳になったことに触れた。

「貴さんも60歳。そうすると私も2022年、60歳……」(木梨)

 感慨深げだった。

 コンビでありながら、ほとんど会わないが、2人はお互いを気にし続けている。仲は悪くないが、良くもないという表現は正鵠を射ているのだろう。

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。1990年、スポーツニッポン新聞社入社。芸能面などを取材・執筆(放送担当)。2010年退社。週刊誌契約記者を経て、2016年、毎日新聞出版社入社。「サンデー毎日」記者、編集次長を歴任し、2019年4月に退社し独立。

デイリー新潮編集部