NHK大阪放送局の武田真一アナ(55)が退局する問題で、後任は高瀬耕造アナ(47)に決まったことが、2月6日、デイリー新潮の取材で分かった。大阪放送局に詳しい関係者は「予想通りの人事ではありますが、今後を不安視する声もあります」と言う。
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高瀬アナはネット上で“まゆゆ”と呼ばれたり、いわゆる「朝ドラ送り」が話題になったりと、人気の高さで知られている。
1975年、兵庫県生まれ。早稲田大学を卒業すると、1999年にNHKへ入局した。地方局勤務を経て、2007年に東京アナウンス室へ異動した。
知名度が高まったのは、2008年から10年まで「NHKニュースおはよう日本」(平日・5:00〜8:00)のキャスターを務めたことが大きい。担当記者が言う。
「安定感のある進行が視聴者に評価されました。さらにネット上では高瀬アナの『朝ドラ送り』もたびたび話題になり、好感度のアップにつながりました。『朝ドラ送り』とは、『おはよう日本』の放送が終わる直前に、次に放送される連続テレビ小説の内容に触れることを指します」
2012年4月から、平日の午前11時、正午、午後1時、午後6時(大相撲中継の期間中)に放送される「NHKニュース」を担当した。
「『朝ドラ送り』と同じように、ネット上では『昼ドラ受け』という言葉も使われています。これは午後12時45分から再放送される連続テレビ小説の終了直後、午後1時からのニュースでアナウンサーが表情だけで感想を表現することを指します。高瀬アナは『朝ドラ送り』と『昼ドラ受け』の両方を担当したアナウンサーとしても有名なのです(同・記者)
役不足は同じ!?
武田アナと同じように報道畑を中心とし、NHKの顔として実績を重ねてきた。大阪放送局の根幹を支えるという大役にはぴったりという印象だが、高瀬アナには“心残り”もあるという。前出の関係者が言う。
「NHKで報道畑を歩むアナウンサーにとって、『NHKニュース7』(毎日・19:00〜19:30)の平日のメインキャスターを務めてこそ、名実ともにナンバーワンアナと位置づけられるのです。武田アナは経験しましたが、高瀬アナは土日祝のメインキャスターしか担当していないのです」
さらに高瀬アナは、現在、自分の実力にふさわしい番組を与えられていないという。
「高瀬さんは『ニュースLIVE! ゆう5時』(総合・月曜〜木曜・17:00〜17:57)や『美輪明宏 愛のモヤモヤ相談室』(Eテレ・毎月最終金曜・22:00〜22:25)、ラジオのニュースなどを担当しています。いずれも重要な仕事ばかりですが、視聴者が真っ先にチャンネルを合わせるような人気番組ではないのも事実です」(同・関係者)
高瀬アナが大阪に異動すれば、武田アナと同様、「大規模な災害で東京放送局が被災した場合、大阪から全国放送を行う」ことをNHKは求めるだろう。大阪放送局にとって、極めて重要な役割を高瀬アナに任せるわけだ。
高瀬アナも辞職!?
高瀬アナも期するところはあるに違いない。とはいえ、大阪でどのような仕事が待っているのかは未知数だ。
「現在の高瀬アナは『ニュースLIVE! ゆう5時』を月曜から木曜まで担当し、大阪の武田アナが金曜の『ニュース きん5時』を担当していました。もし、武田アナの仕事を引き継ぐだけということになると、高瀬アナの姿が全国に放送されるのは毎週金曜の『きん5時』や『列島ニュース』(NHK総合・平日・13:05)といった番組だけになってしまいます」(同・関係者)
午後から夕方にかけて、多くの視聴者は民放にチャンネルを合わせている。高瀬アナが持つ知名度を考えれば、役不足という状況も生まれかねない。宝の持ち腐れというわけだ。
「NHKとしては鳴り物入りで大阪行きを宣伝するでしょうが、キャリアに見合った番組が用意されていないと、高瀬アナのモチベーションが低下してしまうかもしれません」(同・関係者)
NHKのアナウンサーは全国勤務が前提だ。知名度の高い人気アナであっても地方局に異動することがある。その一方で、地方勤務が原因で辞職したと報道されたケースもある。
「大阪放送局は高瀬アナを慎重に扱ったほうがいいと思います。場合によっては、知名度に見合った、全国放送の番組を新しく製作する必要もあるのではないでしょうか。もし高瀬アナが納得できないような状態が続いてしまうと、武田アナのようにフリーに転身してしまう可能性もあります」(同・関係者)
デイリー新潮編集部