一昔前までは男性が嗜むものというイメージだった「サウナ」に、最近、女性の利用客が増えている。広瀬すず、北川景子、天海祐希ら女性芸能人も「サウナ好き」を公言し、女性人気が広がりつつあるのだ。なぜ、彼女たちはサウナにハマるのか。女性のサウナブームの火付け役で、ブログ「サウナ女子の世界」を運営する「サウナ女子」さんに解説してもらった。

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 2019年7月から10月にかけ放送された原田泰造主演のドラマ「サ道」(テレビ東京)などの影響もあり、その魅力が再認識されている「サウナ」。一昔前までは、温泉施設や銭湯では男性側の浴室にだけサウナが設置され、女性側にはないという場合もままあった。日本における「サウナ」は、男性主体の娯楽だったのだ。

 しかし最近は、男性専用サウナの「女性解放デー」が増えたり、女性専用のサウナ施設も登場しているという。そもそも、なぜ「サウナ=男性の趣味」というイメージが強かったのだろうか。

「高度経済成長期のころ、飲んだ帰りにサウナに行く男性が多く、男性専用の施設が増えたことが理由ではないでしょうか。また、男性はスリルやストレスを受けたあとの解放感に喜びを感じやすく、温冷のギャップが激しいサウナが好きなのかな、とも思います。女性はサウナより岩盤浴や温泉に魅力を感じる人が多いことも、『サウナ=男性の趣味』という認識を強めているのかもしれませんね」

 そう語るのは、SNSやテレビ、ラジオなど、さまざまなメディアで女性向けのサウナ情報を発信する「サウナ女子」さん。元々温泉や銭湯に通うのが好きだった彼女は、友人男性の熱心な誘いで16年にサウナデビュー。はじめて訪れた瞬間からサウナの魅力に目覚め、“サ活”を始めたという。仕事柄、出張が多いことも影響し、これまでに国内約230施設、海外14カ国のサウナを探訪。サウナに通い始めてから、平熱が35度から36.8度に上がったと、誰よりもサウナの効果を実感している一人だ。

「私の個人的な見解ですが、基礎体温が上がったことで、風邪を引きづらくなりました。周りには、冷え性や肌荒れのほか、不眠が改善されたという人もいますし、サウナは汗をかくので、代謝アップや肌荒れ改善も期待できます。こうした効果が、サウナにハマる女性を増やしているのだと思います」

 女性の間で人気が高い「岩盤浴」は、室温が40〜45度前後であるのに対し、サウナは80〜110度。これまで体験してこなかった“刺激の強さ”、そして、刺激を受けた後に得られる解放感こそが、女性たちを魅了しているのだ。

キャリアウーマンほど刺激を求めている

 サウナ女子さんによれば、バリバリと働くキャリアウーマンほど、サウナの虜になることが多いという。

「サウナは、自分を追い込んで負荷をかけることを楽しめる人がハマりやすいように思います。今は女性も男性同様に社会進出が進んでいて、仕事、家事、育児と、ハードな生活を送る人が多い。ストイックな人ほど、刺激が強いサウナにのめり込みやすい印象です」

 さらに、サウナ最大のメリットが「ととのう」ことだ。

「サウナ→水風呂→休憩→サウナ…というサウナルーティンを行うことで、ディープリラックスの状態(体がじーんと痺れてくる状態)になります。このディープリラックスを、我々サウナーの間では『ととのう』と呼ぶのですが、ととのっている状態だと、自分の思考に意識が向くようになるのです。すると、抱えている問題の解決策が浮かんだり、仕事の考えが整理できたりします。サウナは仕事のパフォーマンスの向上にもつながるため、忙しく働く人こそ魅力を感じやすいのでしょう」

 またスマホ疲れにも効果があるようで、

「サウナ内にはスマホなどを持ち込めないので、デジタルデトックス(デジタル機器やインターネットから距離を置くこと)にもなります。情報が遮断されると感覚が研ぎ澄まされ、血液の流れやいつの間にかできていた小さな傷など、普段気にもとめない身体の些細なことにまで目が向いたりするのです。そこまでオフになれる時間って、現代社会では意識しないとなかなか作れませんよね」

 サウナは、自分の心と体をいたわることができるサードプレイスなのだ。

鬼門は水風呂と施設の独自ルール

 しかし、女性がサウナルーティーンを行ううえで、壁もあるという。

「私もそうでしたが、はじめてサウナに来た女性の中には、水風呂に戸惑う人も少なくありません。遊泳プールの平均水温が26度〜31度といわれていますから、平均17度前後の冷水に全身を浸すなんて、恐怖心を覚えるのも無理はありませんよね。そういう時は徐々に冷水に体をならしていき、やがて肩までつかるようにしてみるといいですよ。水風呂という最大の難関をクリアできれば、サウナの虜になるのに時間はかかりません」

 さらに、女性ならではのこんなトラブルにも気を付けたほうがよさそうだ。

「銭湯のように、毎日でも通える低価格の施設には常連客が多く、かなりの確率で独自のルールが存在します。ハウスルールを知らずに行き、常連から怒られてしまうと、イヤな思い出になってしまうことも……。そのためサウナに初めていく女性には、なるべく料金が高くて常連がいないような施設、2千円前後の店に行くことをおすすめしています」

 実際、サウナ女子さんも「そこは●●さんが座る場所よ」「水風呂には桶を入れないで!」など、常連の女性が新参者にハウスルールを説いている場面に、何度も遭遇したことがあるという。もちろん、全員が気持ちよく利用するために“マナー”は守って然るべきだが、その施設の常連の間でしか通用しない“独自ルール”の強要は、控えてもらいたいものだ。

 ほかにも、入場料の高い施設は、エステやマッサージ、アメニティや食事が充実していることも特長だ。なかにはタオルやクレンジング、スキンケアアイテムの貸し出しをしているところも多く、手ぶらで気ままに立ち寄れる施設も多い。今後サウナは、“女子会”のスペースとしても、多くの女性から注目を集めるかもしれない。

取材・文/清談社 ますだポム子

2020年2月16日 掲載