好きな飲食店や好物の話を聞けば、その人の人となりが解るというもの。ゆえに「名は体を表す」ならぬ、「食は体を表す」なのである 。この企画では、外国籍の著名人の方々にご登場頂き、行きつけのお店をご紹介してもらいます! 意外なお店のチョイスに驚くこと必至! 彼らの食に対する感性と経験が垣間見えちゃうんです。第48回は、ピーター・バラカンさん。今回は「南インド料理 シリバラジ」に伺いました!!

 テレビやラジオで音楽番組のパーソナリティをつとめ、熱心な音楽ファンに愛されているピーター・バラカンさんが来日したのは、1974年のこと。

「その頃はまだ日本に本格的なインド料理屋がほとんどありませんでした。徐々に出来始めたのは90年代に入ってからかなあ」

 そう述懐するバラカンさんが紹介するのは、東京・中目黒の「Sri Balaji」。カレーが食べたくなると、つい足が向いてしまうという。

「イギリス人にとってカレーは、日本人にとってのラーメンみたいなもので、不可欠なんですよ。インドからの移民が多いから、どの町にもインド料理屋がありますし。極端にまずいっていうのも、あんまりありませんよね(笑)」

 この店にはかれこれ7〜8年は通っているバラカンさんは、一聴しただけでは聞き取れないメニューを慣れた様子でオーダー。白ワインでのどを潤しながら、解説してもらうことに。

「〈チキンシャイクルマ〉は、カシューナッツの風味でマイルド。〈ゴアンフィッシュカレー〉は、カジキマグロのカレーです。ゴアというのはインドのリゾート地のことですね。〈ダルタルカ〉はレンズ豆の煮込みカレー。レンズ豆はインドの家庭で本当によく食べるものですよ」

 丁寧な講釈のさなか、運ばれてきたのは店長イチオシの前菜、マサラドーサ(掲載写真)。呆気にとられるほどビッグサイズである。筒状で中にはポテトの炒め物が。米と豆の生地で出来たクレープみたい。なんでも、かの地では朝食として親しまれているそう。お待ちかねのカレーは、ライスでもナンでもなく、パラタという厚焼きバターパンで食べるのがバラカンさんの流儀。

「ロンドンにいた頃よく食べていたから、懐かしい味なんです。それにしても、カレーは手がベタベタになっちゃうね(笑)」

 いやもう全身浸かりたいです。

「週刊新潮」2020年7月16日号 掲載