好きな飲食店や好物の話を聞けば、その人の人となりが解るというもの。ゆえに「名は体を表す」ならぬ、「食は体を表す」なのである 。この企画では、外国籍の著名人の方々にご登場頂き、行きつけのお店をご紹介してもらいます! 意外なお店のチョイスに驚くこと必至! 彼らの食に対する感性と経験が垣間見えちゃうんです。第53回は、ブレケル・オスカルさん。今回は「スズコウ」に伺いました!!

 日本茶というと、ナウでヤングな世代にはとっつきにくい印象があるかもしれない。そこで日本茶の魅力を広めるため、“伝道師”を自任し、インストラクターや講師として“布教”に励んでいるのが、ブレケル・オスカルさん。スウェーデン人で、べらぼうにハンサムである。

「最初に日本に興味を持ったのは、高校の歴史の授業。よく考えれば、家のステレオもテレビも日本製でしたね。それで戦国時代までさかのぼって勉強していたら、お茶が出てきました」

 茶会の前には一日かけて茶室の準備をし、入念に手入れした庭園で客を迎える――。

「よほど魅力がないとそこまでしないはずですよ! それで奥深いんじゃないか、と思ったんです」

 それからは本を読み日本映画を観て勉強に励んで、8年前から日本で暮らしている。現在35歳、今や“日本人より日本通”である。

 そんな彼が紹介してくれるのは、東京・蒲田にある「スズコウ」。いわし料理で地元に愛される名店である。創業50年を超える店内には昭和の香りがムンムン。

「いわし好きにはたまらないお店です。特にナメロウには一目惚れしてしまいましたよ」

 そう太鼓判を押すナメロウに加え、刺身と揚げ盛りを注文。ここではさすがの“マイスター”も日本茶ではなくビールでのどを潤していると、まもなくいわし料理の“フルコース”が運ばれてきた。まずはナメロウを「最高ですね!」と堪能。味噌の加減がバッチリで、箸が止まらない。と、続いてシソの実を器用にそいで醤油皿に。刺身の味わい方も手慣れている。

 豪勢な揚げ盛りは、竜田揚げとゴマ揚げ、それに香り揚げの3種。竜田揚げを食べて一言、

「日本に来てよかった……」

 そう日本茶のプロをうならせる、まぎれもない逸品である。このお店を知ってよかった……。

「週刊新潮」2020年8月27日号 掲載