「煉獄さん缶、どう保存すれば」の声

「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」は、公開から1カ月を待たず興行収入200億円突破した。作品自体もさることながら関連グッズの売れ行きも凄まじく、鬼滅とコラボしたダイドーの缶コーヒーは5000万本を突破したという。ファンならばずっと手元に置いておきたいアイテムのはず。その正しい保管方法は?

 ***

 10月5日より販売されているダイドーブレンドの「鬼滅缶」は全28種類。パッケージに作中のキャラクターがあしらわれ、ラインナップは「コーヒーオリジナル」(12種)、「絶品微糖」(8種)、「絶品カフェオレ」(8種)となっている。売れ行きについてダイドードリンコ社に尋ねると「現時点で把握している販売数量は、5000万本(約167万ケース)超です」との回答だった。

 1缶の定価は115円(税込み)ながら、フリマサイトを覗くと人気キャラの缶にはプレミア価格がついている。例えば今回の劇場版のメインキャラ・煉獄杏寿郎を含む鬼殺隊メンバーの4缶セットは1000円、冨岡義勇の缶5本と時透無一郎の缶セットは1300円といった具合だ。

「缶には専用のQRコードがついており、読み込むと主人公・竈門炭治郎ら6人の『励ましボイス』を聞くことができるようになっています。鬼滅缶の爆発的なヒットの背景には、こうした要素の効果もあるのでしょう。ダイドーのコーヒー飲料の売り上げは、前年比74・3%だった9月から、10月期には149・5%に跳ね上がっています(※自販機・流通チャネル合計値)。鬼滅缶の効果でしょう」(業界誌記者)

 これほどまでに人気となれば、缶を永く取っておきたいのがファン心理というもの。だがどうすべきか、なかなか悩ましい問題のようだ。SNS上には〈鬼滅缶コーヒー、全種類コンプして保管したいレベルなんだけど未開封のまま何年も保存しても大丈夫かな〉〈缶コーヒー、大好きな煉獄さん当たって保存しときたいけど、未開封のままで良いのか?〉といった声が確認できる。どうやって保存すればいいのか。

気づけばカビだらけ

 清涼飲料水評論家で『日本懐かしジュース大全』(辰巳出版)の著書がある清水りょうこ氏は、次のように解説する。

「ダイドーは以前にも炭酸飲料で『ウルトラマン』や『仮面ライダ―』缶を出していましたね。他社ですと、アサヒ飲料から『進撃の巨人』デザインの『ワンダ』が販売されたりしていました。最近多いこうしたコラボ缶、ファン心理では開けずにとっておきたいところですが、やめた方がいいでしょう。今回の鬼滅缶はスチール缶なので比較的長く持つ方ですが、それでも冷暗所で保管して、持つのは10年くらいと見たほうがいいです。缶は意外と腐食しますからね」

 仕事柄、多くの缶飲料を手にする機会の多い清水さんは、過去にはこんな失敗をしたことがあったという。

「定期的にリニューアルされる紅茶飲料を保管しておいて、新しくなった後にどう変わったか、飲み比べてみようと思ったんです。ところが新商品が出るまでの期間が意外とあいてしまい、気づいた時には取っておいた缶から中身が漏れ、あたりはカビだらけになっていました……。コラボ缶でいうと、1997年にUCCコーヒーから販売された『エヴァンゲリオン』缶を未開封で長年保管していた方が、知らない間に中身が漏れてしまって大変な目に遭った、という話を聞いたことがあります」

 鬼滅缶にはカフェオレ商品もあるが、乳成分を含む飲み物は特に傷みやすいから要注意だという。自動販売機でしか買えない「絶品微糖」ほか、自販機でホットの鬼滅缶を手に入れる機会も多々あり、これがなかなかのクセモノであるらしい。

「缶のホット飲料は、加温してから2週間以内に売り切ることが推奨されています。つまりわれわれ消費者は、買ってから遅くとも2週間以内に飲む必要があるのです。一度加温された缶は中身が傷みやすい。とくに乳成分を含む商品であればなおさらです。きちんと管理されている自販機であれば心配はないのですが、私は昔、ゴミの味がするホットミルクティーと出会ったことがありました。おかしいと思ってまた買っても、やっぱりまずい。ためしに別の自販機で買ったら、ちゃんとした味だった。おそらくゴミの味がしたホット飲料は、2週間を超えて放置され、腐っていたんです」

正しい保管方法は

 では、鬼滅缶はどう保存するのが正しいのだろう。答えは“中身は諦めて早めに飲み、あとはよく洗う”という、非常にシンプルなやり方だった。清水さんは飲み終えた缶は台所洗剤を使って洗って乾かし、缶が入っていたケースに入れて倉庫で保管している。開けた際のプルタブはつけたまま、だそうだ。洗っても意外と匂いは残り、虫が寄ってくる危険もあるため、心配であれば缶の上部にラップをかけて輪ゴム止めする方法をお勧めしている。

「缶ビールのコレクターの中には、プルタブがくっついたままの缶を良しとし、底に小さな穴を空けて中身を出し、見た目には未開封を保っている方もいます。ですが、私のような清涼飲料水の愛好家となると、ゼリーやらプリンやら固形物が入っている缶も保管範囲になります。底に穴を開けたくらいでは、とても中身を出せません。だから以前、清涼飲料水研究家の久須美雅士さんと話し合い、『ソフトドリンクは、プルタブを空けても缶はノーダメージということにする』と専門家間のルールを決めました(笑)。以降はこうやって保管しています」

 ツワモノの中には、缶切り等で鬼滅缶の上部を切り抜き、ペン立てとして使っているファンもいるようだ。だが「切ったあとのフチは鋭利なので危ないです。お勧めしません」と清水さん。大事なのは缶の中身ではなく、推しの鬼滅缶を求めてスーパーや自販機を回った、その思い出なのだ。

週刊新潮WEB取材班

2020年11月12日 掲載