好きな飲食店や好物の話を聞けば、その人の人となりが解るというもの。ゆえに「名は体を表す」ならぬ、「食は体を表す」なのである 。この企画では、外国籍の著名人の方々にご登場頂き、行きつけのお店をご紹介してもらいます! 意外なお店のチョイスに驚くこと必至! 彼らの食に対する感性と経験が垣間見えちゃうんです。第66回は、トミー・スナイダーさん。今回は「ジンジャーグラス」に伺いました!!

 70年代に一世を風靡したグループ「ゴダイゴ」のドラマーとして、「ガンダーラ」や「銀河鉄道999」など、数々の大ヒット曲でリズムの要を担ったトミー・スナイダーさん。現在は全国の音楽学校で講師をつとめており、そのおかげで、

「いろんなうまい店もまずい店も知ってるよ」

 と笑うから頼もしい。都内での仕事の際に重宝していると案内してくれたのは、新宿の「ジンジャーグラス」。エキゾチックな草木をあしらった、桟橋を行くようなエントランスからして、まさに“都会のオアシス”である。

「ここはぼくが大好きなタイ料理、ベトナム料理の店。パリに住んでいた頃にアジアンフーズの味付けが気に入ってね。マンションの目の前にもアジアンレストランがあったんだよ」

 トミーさんがパリに拠点を移したのは1987年。パリは20の行政地区から構成されているが、まずはパリ8区のシャンゼリゼの裏近く、それから16区のブローニュの森のそばなど、27年もの間、パリジャンとして生活していたのである。

「パリのいいところは、文化を大切にするところ。例えば建物をリフォームするにしても、通りに面した壁はそのままにしておかないといけない。だからパリの“見た目”はずっと変わっていないんだよ」

 熱弁をふるううち、のどがカラカラに。となれば、ワインで潤すしかありません。お気に入りのロゼ「ポルテーニョ」を口に含めば、舌鼓の準備万端。

 オーダーしたのは、目にも鮮やかな「タイスローサラダ」や「生春巻き」、「豚肉と春雨、豆腐のベトナム風スープ」、そしてベトナム風お好み焼き「バインセオ」など。紫キャベツをはじめ、ドラゴンフルーツやマンゴーなど具沢山のサラダは、口に入れる具が変わるごとに味わいも変わる。

「一口で食べないとダメだよね」

 そう言って生春巻きをパクリ。オクラのアクセントがよく利いています。バインセオは豚肉やえび、もやしがたっぷりで、ナンプラーをかければもう夢心地……。さすが、“トミー・マジック”のかかったお店は一味ちがいます。

「週刊新潮」2020年11月26日号 掲載