早慶に次ぐMARCH(明治、青学、立教、中央、法政)、そして日東駒専(日本、東洋、駒沢、専修)、さらには大東亜帝国(大東文化、東海、亜細亜、帝京、国士舘)……。古くから言われる東京の私大ランキングだ。

 中でもことさらイメージを悪化させている日大。大学当局も頭を抱えているに違いないはずだが……。

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 とうとう学長まで出てきて謝罪会見――日大アメリカンフットボール部の悪質タックルに端を発する会見は、5月22日の加害選手の真摯な態度に対し、翌23日に開かれた内田正人前監督(62)、井上奨コーチ(30)の緊急会見では高圧的かつ責任逃れが非難の的となり、25日の大塚吉兵衛学長(73)の謝罪も中身がないと焼け石に水――。大学側が自らイメージを下げ続ける日大に、学生の父兄から苦情が殺到しているという。

 日本法律学校に始まり、来年(2019年)は創立130周年を迎える日本大学。学生数が日本一であることは有名だが、いまや16学部87学科にまで拡大し、その学生数たるや6万7933人(17年5月1日現在)。15年度の収入規模1882億円は、もちろん私立大学全体で第1位だ。

 さらに大学院や短大、専門学校、付属の小中高等学校、幼稚園、認定こども園まで合わせると11万人超! これまでの大学の卒業生は116万3709名(18年3月現在)とか。これだけいれば卒業生の社長数だって日本一というのも頷ける。

 その日大に、この騒ぎである。イメージは最悪で、親御さんにすれば、あんな大学に我が子を行かせたくない。来年の受験者数は激減するのでは――。こんな声も聞こえてくる。

学生数日本一の日大に暗雲?

 そんな折も折、同じ25日には東京23区の大学の定数増を原則10年禁ずるという“大学定数抑制法”が参議院で可決、成立したのである。

「正式には『地域における大学の振興及び若者の雇用機会の創出による若者の修学及び就業の促進に関する法律』といって、地方創世のため都心の大学の定員を抑えるというもの。小池百合子都知事(65)も反対していましたが、予定通り成立しました。これにより都心の大学は、さらなる定員の厳格化が進みますね」とは、出版社・大学通信の安田賢治常務である。

 定員の厳格化とは、大都市部の大学への学生集中を是正するため、16年から行われているもの。

「収容定員8000人以上の大規模大学の場合、かつては定員の1.4倍以上を入学させると国からの私学助成金が打ち切られましたが、16年から段階的に厳しくなっています。昨年は1.14倍以上、今年は1.1倍以上となりました。来春は1.0倍超が定員の超過分に応じてペナルティが科されることになるといわれています」(同・安田氏)

 学生を増やし成長してきた日大としては、痛手にほかならないだろう。

「タックル問題でここまでイメージが悪くなると、今後の処理次第ですが、推薦入学の希望者は減るかもしれませんね。もっとも、一般入試となると……」(同・安田氏)

日大志願者は増える

「一般の受験生にとって大学は年々狭き門になる一方なのですから、イメージを気にしている場合ではないのです。日大志願者も減るどころか、さらに増えるかもしれません。確かに少子化で、ピークの1992年には205万人いた18歳人口は、現在118万人と6割程度まで減っています。その一方、地方大学に学生を回すために東京の私立大学の合格者数は実質的に減り続けているのです。そのため大都市の大学は併願が増え、志願者数も倍率も上昇している状況なのです」(同・安田氏)

 大学通信の志願者速報によると、

         2017年    2018年

1位:近畿大学  14万6896人  15万6225人 

2位:法政大学  11万9206人  12万2499人

3位:明治大学  11万3507人  12万279人

4位:早稲田大学 11万4983人  11万7209人

5位:東洋大学  10万1180人  11万5441人

6位:日本大学  11万2583人  11万5180人

 以上が志願者10万人以上の大学だが、いずれも昨年よりも志願者を増やしている。

むしろチャンス?

 現在、私立大学の受験料(医学部などは除く)は3万5000円が一般的だ。10万人が受験すれば、それだけで35億円は大きい。さらに合格した学生が入学すれば、1人につき年間100万円前後が大学に入る――。

「定員の厳格化が言われる中、大学としては1人でも多くの学生を入学させたいし、定員割れだけは避けたいわけです。ただ、トップランクの大学が追加合格者を出せば、その影響は、すぐにすべり止めの大学に及びます。その大学は追加合格者を増やしつつ、定員を超えないようにするわけです。昔では考えられませんが、今では学生確保のため、大学から直接合格者に電話を入れるほどで、大学側も学生の確保に必死ですよ」(同・安田氏)

 大学が必死なら受験生も必至である。

「今回の一件は、あくまでアメフト部の問題と考える受験生もいるでしょう。ひょっとすると、みんなが敬遠しそうだから逆にチャンスと思って、志望する受験生もいるかもしれませんね」(同・安田氏)

 とはいえ、まだまだ長引きそうなタックル問題。これ以上長引かせると、来年の創立130年の節目も無事に迎えられるかどうか……。

週刊新潮WEB取材班

2018年6月2日 掲載